2026年7月25日20時(日本時間)時点、BTCは6万3,993.53ドル(24時間+2.0%)、ETHは1,856.95ドル(同+1.6%)まで戻し、7月1日の安値5万7,750ドルから累計13%超の反発を続けている。だが同じ期間の恐怖強欲指数は7月17日27、18日25、19日28、20日29、21日25と「恐怖」圏の24〜28レンジに張り付いたままで、価格の戻りにセンチメントがついてきていない。この価格とムードのねじれこそが、FOMC(7月28〜29日)を目前に控えた今の相場を読む鍵になる。
いま相場で何が起きているか
市場全体の時価総額は2兆2,550億ドル、24時間出来高は559.74億ドル。BTCドミナンスは56.9%、ETHドミナンスは9.94%で、7月中旬までのAI・アルト主導の資金移動が一服し、主要2銘柄への資金集中が続いている構図に大きな変化はない。BTCは6万4,000〜6万6,800ドルのレンジで推移しており、直近高値圏を明確に上抜けられていない。AIセクターの合計時価総額は21.5億ドルで24時間-2.2%とやや縮小した一方、個別ではNEARが1.79ドルで+5.7%、VIRTUALが0.5819ドルで+3.8%、RENDERが1.45ドルで+2.9%、FETが0.1509ドルで+2.5%、LINKが8.31ドルで+2.4%、TAOが190.12ドルで+1.2%、ICPが2.12ドルで+1.7%と、上位個別銘柄はいずれもプラス圏を維持している。セクター合計と個別銘柄の方向性が食い違うのは、時価総額の小さい裾野銘柄が売られ続けている裏返しであり、「AI銘柄全体が買われている」わけではない点に注意が必要だ。
何がこの動きを作ったか
価格の反発自体は、7月1日安値からの自律反発とロング清算の減少が主因とみられる。市場データによれば、直近30日間の比較でロング清算額は22億ドルから10億ドルへと大きく減少した一方、ショート清算額は8億ドル前後でほぼ横ばいだった。つまり急落局面で溜まった過剰なロングポジションが整理され、下方向への圧力が一巡したことで自律反発が生まれた形であり、新規の強気資金が大量に流入したわけではない。AI個別銘柄の上昇についても、NEARはIntentsエコシステムの手数料還元や提携拡大、VIRTUALはRobinhood Chain経由のエージェント取引高拡大など、それぞれ固有の材料が背景にある。セクター全体を押し上げる共通の材料は見当たらず、選別色の強い相場という評価が妥当だろう。
ファンダメンタルをどう見るか
デリバティブ指標を見ると、慎重な見方がにじむ。BTC先物建玉は週内高値の760K BTC超から743K BTCへと縮小し、平均パーペチュアル建玉も月次で-10.6%(約329億ドルから約294億ドルへ)減少している。価格が上昇する局面で建玉が減るのは、新規のロング参入よりもポジション解消が優勢であることを示唆し、いわゆる「踏み上げ的な反発」に近い性質を持つ。ロングショート比率もほぼ均衡しており、方向感に強い確信を持つトレーダーが少ないことがうかがえる。AAVEについては話が別で、7月16日のAvalanche展開拡大や大手取引所への上場観測を受けてネットワーク成長が2021年以来最大を記録するなど、実需に基づく指標改善が確認されている点はAI銘柄群とは一線を画す。
資金はどこへ動いているか
ETFフローは一進一退が続く。スポットBTC ETFは7月17日までの週で7,560万ドルの流入と2週連続のプラスを記録したが、7月単月ではなお2億5,350万ドルの流出超過で、6月の45億ドル規模の流出(ETF開始以来最悪の月間流出)の傷は癒えていない。7月7〜11日の週にはBTC・ETH ETF合算で2億8,200万ドルの流入となり、8週連続・累計約94.6億ドルの流出局面をようやく止めたばかりの段階だ。この「流出は止まったが本格回帰はまだ」という中途半端な資金状況が、価格の反発力を鈍らせている一因とみられる。一方でDeFiセクターは6月時点でBTCが22%下落する中、主要DeFiトークンの下落率が4%にとどまるという相対的な強さを見せており、資金の受け皿としての存在感は7月に入っても続いている。
過去の類似局面との比較
7月に入ってからのBTCは、急落からの自律反発と、それに追いつかないセンチメント指標という組み合わせを複数回繰り返している。過去の同型局面では、恐怖指数が低位のまま価格だけが戻る展開は長続きせず、イベント(決算・FOMC・大口の売買)を境に方向感が定まるパターンが多かった。今回もFOMC(7月28〜29日)という明確な日程が控えており、この会合を挟んで建玉とセンチメントの乖離が解消される可能性が高い。AI銘柄についても、セクター合計と個別上位銘柄の方向性が割れる状況は7月半ば以降たびたび見られており、上位集中・裾野縮小という構造自体は目新しいものではない。
注目銘柄と価格水準
BTCは6万4,000〜6万6,800ドルのレンジが直近の攻防ライン。上抜けにはロング建玉の純増を伴う出来高回復が条件になる。NEARは1.79ドルで週間ベースの強さが続いており、次の意識水準は心理的節目の2ドル。VIRTUALは0.58ドル台でRobinhood Chain関連の取引高動向が引き続き材料視される。AAVEはネットワーク成長を背景に、DeFiセクターの中心銘柄として資金流入が続くか注目される。TAOは190ドル台で、8月に予定される現物ETFのSEC判断が唯一の明確な日程材料として意識され続けている。
想定されるシナリオとリスク
上振れシナリオは、FOMCで市場予想通りかそれ以上にハト派的な内容が示され、建玉の純増を伴ってBTCが6万6,800ドルの直近高値を出来高付きで上抜けるケース。この場合、恐怖指数の改善とともにAI銘柄セクター全体への資金回帰も期待できる。下振れシナリオは、FOMCで想定以上にタカ派的なコメントが出て国債利回りが上昇し、ロング建玉が再び積み上がる前に相場が反落するケース。この場合はAI銘柄の裾野からさらに資金が抜け、DeFiなど個別ファンダメンタルの明確な銘柄への集中がより鮮明になる可能性がある。いずれの場合も、現時点では建玉・センチメント双方に確信を持てる材料が乏しく、断定的な判断は避けたい局面だ。
まとめ
1つ目は、BTC・ETHの価格反発と恐怖強欲指数の乖離が続いており、反発の持続力を測るには建玉の純増を確認する必要がある点。2つ目は、AI銘柄はセクター合計では縮小が続く一方、NEARやVIRTUALなど個別材料を持つ銘柄への選別が鮮明になっている点。3つ目は、FOMC(7月28〜29日)という明確な日程イベントを前に、市場全体が方向感を絞りきれない様子見の色が濃い点だ。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。
