2026年9月25日、AI関連銘柄の時価総額がCoinGecko基準で242億ドルまで回復し、24時間で2.8%の上昇となった。前日にTAOが8.55%安まで売られてAIセクター全体が軟調だった反動で、FETは16.6%高、ICPは8.3%高、RENDERは8.1%高と軒並み急伸。TAOも285ドル台から294ドル台へ切り返している。一方でBTCは84,220ドル前後で横ばいにとどまり、AIセクター単独の反発という色合いが強い一日になった。

いま相場で何が起きているか

9月25日時点、BTCは84,220.05ドル(24h-0.4%)、時価総額は1兆6,920億ドルで小動きが続いている。対してAIセクターの時価総額は242億ドル(24h+2.8%)まで反発し、BTCの値動きを上回るパフォーマンスとなった。個別銘柄ではFETが0.2276ドル(24h+16.6%)、ICPが3.10ドル(24h+8.3%)、RENDERが1.86ドル(24h+8.1%)、NEARが4.58ドル(24h+5.4%)、VIRTUALが0.7401ドル(24h+7.8%)と上位銘柄が軒並み二桁近い上昇を記録。TAOは294.11ドル(24h+3.3%)で、前日記事時点の285.65ドル(24h-8.55%)から一夜で切り返した形だ。BTCの資金調達率は年率8.18%、先物OIは615.8億ドル(30日+7.47%)、Fear&Greed指数は71と「強欲」圏を維持している(いずれも9月21日時点)。

何がこの動きを作ったか

直接の引き金は前日までのAIセクターの売られ過ぎ状態からの反動だが、個別に見ると材料はやや異なる。FETは0.19ドル付近の抵抗線と200日移動平均線を出来高を伴って上抜けたテクニカルな戻りが主因とみられ、9月20日にイーサリアム側のトークンコンバーターで約870万トークン(約156万ドル相当)が流出したブリッジ悪用事案からの回復局面という側面もある。ICPは取引処理能力の高さを背景にAI・分散型インフラ関連への資金ローテーションが続いているとの見方があり、ステーブルコイン流動性の拡大も追い風とされる。BTC本体は米中首脳会談を経ても大きく動いておらず、AIセクターの反発はBTCに連動した全面高というより、セクター固有の売られ過ぎ修正という性格が強い。

ファンダメンタルをどう見るか

米中首脳会談は9月23日から25日までのシー国家主席の訪米日程の中で行われ、ベッセント財務長官が9月24日、貿易休戦を当初の11月期限から2027年1月10日まで2か月延長すると発表した。この延長幅は事前に市場が期待していた6か月超の延長より明らかに小幅で、関税の引き下げなど踏み込んだ合意には至っていない。つまり「材料出尽くし」に近い受け止めであり、BTCが急騰も急落もせず84,000ドル台で横ばいにとどまっているのはこの評価と整合的だ。AIセクターの反発がBTCと連動していないという事実は、今回の動きが首脳会談の結果を織り込んだマクロ主導ではなく、個別銘柄のテクニカル・需給要因が主導していることを示唆している。

資金はどこへ動いているか

BTCドミナンスはここ数日57〜60%台で推移しており、AIセクターへの資金流入がBTCからの明確なシェア移動を伴っているとまでは言い切れない状況だ。BTC先物OIは615.8億ドル(30日+7.47%)と拡大基調が続いており、レバレッジポジションはむしろBTC側に積み上がっている。この中でAIセクターの時価総額242億ドルという規模はBTCの1兆6,920億ドルと比べれば小さく、比較的少額の資金流入でも値幅が出やすい。FET・ICP・RENDERの二桁上昇は、大口の新規資金というより、前日までの急落で薄くなった板を押し上げた売り方の買い戻しという性格も考えられる。

過去の類似局面との比較

AIセクターはこの一週間だけでも9月21日に+9.66%高、9月24日に-8.55%安(TAO)、そして9月25日に+2.8%高と、方向感の定まらない乱高下を繰り返している。過去の類似局面では、急落直後の反発が出来高を伴わず数日で剥落するケースが多く見られた。今回のFET・ICPの上昇も、直近のニュースフローが乏しい中でのテクニカルな戻りである点は共通しており、実需の裏付けとなる利用データやオンチェーン指標の改善が続くかどうかが、一過性の戻りか底打ちかを分ける分岐点になる。

注目銘柄と価格水準

TAOは294ドル台で、前日割り込んだ298ドルの節目を回復できるかが焦点。298ドルを上抜ければ押し目買いの再流入、285ドル台を再び下回れば戻り売りの継続が意識される。FETは0.2276ドルまで戻したが、0.19ドル付近の元抵抗線がサポートに転化するかが次のチェックポイントとなる。ICPは3.10ドルで、心理的節目の3ドル台を維持できるかが分岐点だ。RENDERは1.86ドルで、直近1週間のレンジ上限付近に位置している。いずれも国内主要取引所での取扱いは限定的で、取引の中心は海外取引所となる。

想定されるシナリオとリスク

上振れシナリオは、FET・ICPの出来高を伴った上昇が続き、TAOが298ドルを回復した上でAIセクター時価総額が250億ドルを上抜けるケース。この場合はセクター全体のセンチメント改善が意識されやすい。下振れシナリオは、BTCが84,000ドルを明確に割り込みリスクオフが強まった場合で、この場合はAIセクターの戻りも一時的な戻り売りの対象になりやすい。米中の貿易休戦が2027年1月10日という短い延長にとどまったこと自体が、年末にかけて再び関税リスクが蒸し返される可能性を残しており、マクロ面の不確実性は解消されていない点には注意が必要だ。

まとめ

AIセクターは9月25日、前日の急落から一転して+2.8%の反発となり、FET・ICP・RENDERが軒並み二桁近い上昇を見せた一方、BTCは84,220ドル前後で横ばいという明確な非連動が観察された。米中首脳会談は貿易休戦の2か月延長という小幅合意にとどまり、市場は材料出尽くしに近い反応を示している。TAOの298ドル回復と、AIセクターの反発が出来高を伴って続くかどうかが、次に見るべきポイントだ。なお編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。