ビットコイン(BTC)が6万5,200ドル前後で24時間+1.1〜1.3%とやや落ち着く一方、イーサリアム(ETH)は1,960ドル前後まで+4.4%と大きく上昇し、月初来ではETHが+19.7%・BTCが+11.7%とETHが明確に先行している。ETH/BTC比率は2025年8月から約1年続いた下降チャネルを上抜け、Fundstratのトム・リー氏は0.0286を「暗号資産市場復活のシグナル」として注視していると報じられている。アルトコインシーズン指数は57まで上昇したが、本格的なアルトシーズンとされる75にはまだ届いていない。そしてAIセクター(時価総額約213億ドル)は、この資金ローテーションの主役になれていない。
いま相場で何が起きているか
7月27日時点でBTCは6万5,100〜6万5,210ドル圏で24時間+1.1〜1.3%、ETHは1,963ドル前後で+4.4%となっている。仮想通貨市場全体の時価総額は約2.3兆ドル、24時間出来高は概ね400億〜600億ドル台で推移した。恐怖強欲指数は前日26から30へ小幅回復し、過去24時間で2億ドル超のショートポジションが清算されたと報じられている。BTCドミナンスは早期7月時点で58%前後とされ、6月の20%超下落局面で一時60%台まで上昇した水準からはやや低下している。仮想通貨関連株(取引所株・マイニング株等)も7月27日に上昇し、AIインフラ株からの資金回転狙いの買いが入ったと報じられているが、ビットコインマイナー株はこの上昇に乗り切れず出遅れたとされる。焦点は7月28〜29日開催のFOMCで、ウォーシュ新FRB議長のもとでの声明が7月29日午後2時(米東部時間)に予定されている。
何がこの動きを作ったか
直接の材料はETHの単独主導によるものだ。ETH現物ETFは7月に入り累計3.37億ドルの資金流入となり、8週間続いた資金流出局面から転換した。直近の7月18〜24日の週だけで1.039億ドルが流入している。オンチェーンでは7月に入って新規の大口ウォレットが約5万ETHを買い増したとの分析もあり、ETH/BTC比率の6%上昇と時期が重なる。加えて米国とイランの停戦観測が原油価格とインフレ懸念を後退させ、リスク資産全般への追い風となった。テクニカル面ではETH/BTC比率が約1年ぶりに下降チャネルを上抜けたことが「アルトへの資金回転入り」の号砲として解釈され、著名アナリストのコメントも重なって短期的な資金流入を加速させた形だ。一方でAIセクターについては、この期間に目立った独自材料は確認できず、セクター横断の物色から取り残されている。加えて7月は145プロジェクトで合計7億ドル超のトークンアンロックが予定されており、AI関連銘柄を含むアルトコイン全般への売り圧力として意識されやすい月でもある。
ファンダメンタルをどう見るか
今回の動きが一過性の連想買いか実質的な資金シフトかは、ETH ETFフローの継続性で判断できる。8週連続流出からの反転がさらに数週間続けば、機関投資家の配分見直しという実質的な変化と言える。一方でAIセクターは、時価総額約213億ドルという薄い規模ゆえにボラティリティが大きく、明確な収益指標(オンチェーン手数料・アクティブアドレス数の増加等)を伴う裏付けが今のところ乏しい。ETH主導の資金回転が二巡目としてAI銘柄まで波及するかどうかは、AIセクター固有のファンダメンタル材料(サブネット拡大、実需に基づく手数料収入など)が出てくるかにかかっている。過去の類似局面では、BTC・ETHが先行して上昇した後にAI銘柄が数日遅れて追随するケースと、資金が最後までAI銘柄に届かず一巡で終わるケースの両方が観測されており、今回がどちらに近いかはまだ判別できない段階だ。
資金はどこへ動いているか
資金の流れを整理すると、BTCからETHへ、そしてETHから一部アルトコインへという二段階のローテーションが進行中とみられる。BTCドミナンスは58%前後で高止まりしており、資金の主戦場はまだBTCにあるが、ETH ETFの流入転換とETH/BTC比率の上抜けは、次の受け皿がETHであることを示している。もっともアルトコインシーズン指数57は、資金がAI銘柄を含む広範なアルトコインまで波及するには至っていないことを示唆する。AIセクターの時価総額約213億ドルは方向感を欠き、TAO・NEAR・FETなど個別銘柄の騰落もソースによってばらつきが大きく、統一したトレンドが確認できない状態だ。
過去の類似局面との比較
ETH/BTC比率は2026年5月12日に約10ヶ月ぶりの安値を付けた後、今回の反発局面を迎えている。過去にもETH優位のシグナルが単発で終わり、BTCドミナンスの再上昇とともに巻き戻された局面が複数あった。アルトコインシーズン指数についても、50〜60台まで上昇しながら75の閾値に届かずに失速したケースが過去に見られる。AIセクターに限っても、直近数週間だけでAIセクター時価総額は206億〜231億ドルの間を往復しており、明確なトレンドを描けずにレンジを繰り返してきた経緯がある。今回も、FOMC後にBTCドミナンスが再び60%台へ戻るようだと、ETH優位・アルト物色の流れが短命に終わる可能性がある点には注意が必要だ。
注目銘柄と価格水準
AIセクターでは、Bittensor(TAO)が200ドル前後、NEAR Protocolが1.9ドル前後、Artificial Superintelligence Alliance(FET)が0.14〜0.15ドル圏、Internet Computer(ICP)が2ドル台前半で推移しているとみられる。ETH/BTC比率については0.0286(トム・リー氏が注視する水準)が意識され、これを上回って定着できるかが焦点となる。AI銘柄については明確な個別材料に乏しく、ETH主導の資金回転が波及した場合の値動きに注目が集まる局面だ。国内取引所でもETH・TAO・NEAR・FETなど主要銘柄の多くは取扱いがある。BTCについては6万5,000ドルが心理的節目として意識されており、この水準を維持したままFOMCを通過できるかが、ETH優位の流れがさらに強まるか否かの分岐点になり得る。
想定されるシナリオとリスク
上振れシナリオは、ETH/BTC比率が0.029台を維持したままFOMCを通過し、ETH ETFへの資金流入が継続することでアルトコインシーズン指数がさらに上昇、AIセクターにも二巡目の資金流入が波及するケースだ。この場合、時価総額の薄いAI銘柄は相対的に大きく反応しやすい。下振れシナリオは、FOMCでのタカ派的な発言やサプライズによりリスクオフが強まり、BTCドミナンスが60%台へ再上昇してETH優位の流れが巻き戻されるケースだ。この場合AIセクターへの資金流入はさらに遠のく可能性がある。いずれも条件付きのシナリオであり、断定はできない。
まとめ
1つ目は、ETHがBTCに対し月間で明確に先行し、ETH/BTC比率が約1年ぶりの下降チャネルを上抜けたこと。2つ目は、アルトコインシーズン指数が57まで上昇したものの、本格的なアルトシーズンの目安である75にはまだ距離があること。3つ目は、AIセクター(時価総額約213億ドル)はこの資金ローテーションの受け皿になれておらず、ETH主導の流れがどこまで波及するかが今後の焦点になることだ。FOMCの結果とETH ETFフローの継続性が、この流れの持続性を占う次の材料になる。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。
