AIセクターの時価総額が2026年8月3日朝(JST)時点で約214億ドルまで戻し、24時間で1.6%の反発となった。主導したのはChainlink(LINK)で+4.2%、ビットコイン(BTC)は6万3,347ドル前後で+0.9%、イーサリアム(ETH)は1,879ドル台で+1.8%とそれぞれ堅調に推移している。ただし恐怖強欲指数は27のまま3日連続で据え置かれており、価格の戻りに投資家心理が追いついていない状態が続いている。
いま相場で何が起きているか
2026年8月3日午前8時(JST)時点の主要指標は次の通りである。BTCは6万3,347ドルで24時間+0.9%、時価総額は1兆2,710億ドル、BTCドミナンスは56.4%。ETHは1,879.88ドルで+1.8%、時価総額は2,269億ドル。CoinGeckoが集計するAIカテゴリの合計時価総額は214億4,600万ドルで+1.6%、24時間出来高は11億7,200万ドルとなった。
AIセクター内の騰落を個別に見ると、LINKが8.39ドル前後で+4.2%と最も上昇し、VIRTUAL(+2.9%)、NEAR(+2.8%)、US/Talus(+3.0%)、ICP(+1.9%)、FET(+1.9%)、RENDER(+1.8%)、VVV(+0.2%)と続く。9銘柄中8つがプラス圏に転じた一方、TAOだけが192.46ドル前後で+0.3%にとどまり、明確に出遅れている。DeFiセクターの時価総額は612億ドルで+1.7%とAIセクターとほぼ同じ幅で連動して反発した。恐怖強欲指数は27(Fear)で、前日の27から変わっていない。8月1日の週末急落以降、価格は上下動を見せているにもかかわらず、この指数はほぼ動かない状態が3日続いている。
何がこの動きを作ったか
LINKの上昇には具体的な材料がある。資産管理会社FigureがKamino上でHastraFi(ハストラファイ)と連携し、1.6兆ドル規模とされる米国自動車ローン市場をトークン化してDeFiに取り込む計画が明らかになった。この連携のインフラ全体をChainlinkが担う構成とされ、実需を伴うRWA(現実資産トークン化)採用のニュースとしてLINK買いにつながったとみられる。加えてChainlinkは直近5日間で新規ウォレットが8,000件増加し、2026年で最も強い増加ペースを記録したとの分析もある。CCIP(クロスチェーン相互運用プロトコル)の取扱高がWormholeを上回ったことや、1,500万ドル規模のトークン買い戻しといった材料も重なり、投資家の関心を集めた形だ。
VIRTUALやNEARなど他のAI銘柄の上昇は、個別の決定的な新材料というよりBTC・ETHの地合い回復に連れた側面が強い。8月1日の週末に恐怖強欲指数25〜28圏まで悪化した反動で、値ごろ感からの買い戻しが入ったとみられる。ただしTAOだけが蚊帳の外に置かれている点は、セクター全体の資金流入というより個別銘柄主導のリバウンドであることを示唆している。
ファンダメンタルをどう見るか
LINKが材料視したFigure・HastraFiの自動車ローントークン化は、実際の融資債権をオンチェーン化する取り組みであり、投機的な思惑買いとは性質が異なる。ただし現時点では計画段階の報道であり、実際のオンチェーン資金流入額や取引開始時期はまだ確認できていない。したがって本日時点のLINK+4.2%は「期待の先取り」であって、実需の裏付けが伴った上昇かどうかは今後の続報を待つ必要がある。
一方でTAOの出遅れは需給面の実質的な要因がある。BittensorのGrayscale/Bitwise現物ETF申請はSECが8月中に審査結果を出す見通しだが、まだ承認・却下いずれの発表もない。加えて週次で数百万ドル規模のアンロックが継続しており、好材料が出るまでは上値が重い状態が続きやすい。
資金はどこへ動いているか
BTCドミナンスは56.4%で、直近数日の56〜58%レンジの下限付近にとどまっている。アルトコインシーズン指数はここ数日37前後で推移しており、明確なアルトシーズン入り(75以上が目安)には程遠い水準だ。DeFiセクター(612億ドル、+1.7%)とAIセクター(214億ドル、+1.6%)がほぼ同じ幅で反発していることから、今回の資金の動きは特定セクターへの偏った資金流入というより、BTC・ETHの地合い改善に連れたリスク資産全般の巻き戻しに近い。ビットコイン現物ETFは7月最終週にかけて流出入が交錯しており、8月入り後も方向感の定まった純流入・純流出のトレンドは確認できていない。この点は続報を待つ必要がある。
注目銘柄と価格水準
LINKは8.39ドル前後で推移し、直近安値圏から反発している。上値では心理的節目である9ドル、10ドル近辺が意識されやすく、アナリストの一部は8月中の目標として10ドル前後を挙げている。下値では8ドルを割り込むと反発の勢いが疑われる水準となる。国内主要取引所でも取り扱いがあり、個人投資家が値動きを追いやすい銘柄の一つだ。
TAOは192〜194ドル圏で推移しており、過去に意識された280〜290ドル近辺のレジスタンスからは大きく水準を切り下げている。ETF審査の結果次第で大きく振れる可能性があるため、発表前後はボラティリティの拡大に注意したい。NEARは1.72ドル前後、RENDERは1.38ドル前後、ICPは2.07ドル前後で推移しており、いずれも直近の下落分を部分的に埋め戻す動きにとどまっている。
想定されるシナリオとリスク
上振れシナリオとしては、Figure・HastraFiの自動車ローントークン化が具体的な取引開始時期や規模を伴って続報が出れば、LINK主導の上昇がセクター全体に波及する可能性がある。またTAOのETF審査で承認方向の観測が強まれば、出遅れていたTAOが急速に資金を集め、セクター全体の底上げにつながることも考えられる。
下振れシナリオとしては、恐怖強欲指数が27のまま高止まりを続けている点が示す通り、投資家心理が価格の戻りに追いついていない状態が長引けば、材料の一巡とともに再度の利益確定売りに押される展開も想定される。8月は過去数年、ビットコインが季節的に軟調になりやすい月として知られており、ETF資金フローが再び流出方向に振れれば、AIセクターを含むリスク資産全体が連れ安する可能性も残る。いずれも条件付きのシナリオであり、断定はできない。
まとめ
8月3日朝時点でAIセクターは214億ドルへ反発し、LINKの+4.2%が牽引役となった一方、TAOだけが出遅れ、セクター内の温度差が残る展開になっている。恐怖強欲指数が27で3日連続変わっていない点は、価格の戻りに心理がついてきていないことを示しており、この乖離がどちらの方向に解消されるかが次の焦点だ。BTCのドミナンスは56.4%で、明確なアルトシーズン入りにはまだ距離がある。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。
