2026年8月24日12時JST時点、AIセクターの合計時価総額は163億ドル(24h+3.7%)へ反発し、BTCの上昇率(+0.5%)を大きく上回っている。中でもNEARは2.02ドル(24h+8.0%、週間+25.8%)まで買われ、AIセクターの中で最も強い動きを見せている。BTC・ETHが週末のフラッシュクラッシュと反落から落ち着きを取り戻しつつある一方、AIトークン単体では資金が選別的に集まっている構図だ。

いま相場で何が起きているか

BTCは77,450ドル前後(24h+0.5%、週間+22.2%)、時価総額1兆5,540億ドル、24h出来高311.6億ドル。ETHは2,442.55ドル(24h+1.1%、週間+28.9%)、時価総額2,947億ドル。両者とも週末の乱高下から落ち着き、レンジ内での推移に戻っている。

対照的にAIセクター時価総額は163億ドル(24h+3.7%)へ反発した。NEARが2.02ドル(24h+8.0%、週間+25.8%)、時価総額26.4億ドルまで伸び、TAOも236ドル前後(24h+7%程度)、時価総額26.6億ドル・24h出来高2.97億ドルと続伸している。ICP(24h+2.4%)、FET(24h+2.1%)、RENDER(24h+1.2%)もプラス圏で、セクター全体が底上げされる中でNEARが突出する形だ。

何がこの動きを作ったか

NEARの材料は単一ではなく複合している。8月7日にquantum-safe(量子耐性)アカウントを導入するメインネット刷新を実施し、将来の量子コンピュータ脅威への先回り対応として評価された。加えてNEAR公式が2026年の戦略優先事項として「NEAR Intentsを取引量上位の取引プラットフォームへ拡大」「NEAR AIでAIとIntentsの融合を推進」「ユーザー保有型AI経済の実現」を掲げ、AI関連ロードマップとして市場で拡散した(Binance Squareでは「NEAR Protocol Jumps 25% As AI Roadmap Draws Buyers」という見出しが流通)。さらに創業者イリア・ポロスキン氏が、NEARトークン約3,000万枚を原資とするプロトコル・ソブリンファンドの構想を提案したことも材料視されている。

実需面では、NEAR上のステーブルコイン時価総額が週間で98%増加し、約1.28億ドルに達した点が大きい。これは投機的な期待だけでなく、オンチェーンの決済・流動性が実際に増えていることを示す数字であり、価格材料としては相対的に質が高い部類に入る。TAOについては単一の新規材料というより、Bittensorのサブネット開発が引き続き活発で、AIセクター全体への資金回帰の中で連れ高した側面が強い。

資金はどこへ動いているか

BTC/ETHのデリバティブ市場では、週末にBTC・ETH合計で約1.097億ドルの清算が発生し、うち80.1%がロング側だった。週明けの月曜でETF市場が再開し、先週記録した週間流入額(BTC19.2億ドル・ETH6.97億ドル)が継続するかが今週最初の焦点になる。BTCドミナンスは前回記事時点(8月24日8時)の56.52%から今回はさらに切り下がっており、AIセクターへの資金の相対的なシフトが進んでいることを示唆する。ただしAIセクター全体の時価総額(163億ドル)はBTCの1兆5,540億ドルと比べれば依然として小さく、少額の資金移動でも騰落率としては大きく出やすい点には注意したい。オープンインタレストの水準についても、週末の清算で建玉が絞られた後だけに、資金がAIセクターへ薄く広く再流入している段階とみられ、ロング・ショート双方が積み上がり切っていない分、値幅が出やすい地合いが続いている。

過去の類似局面との比較

8月22日にはFETが単日で20%超急騰したが、翌8月23日にはAIセクター全体が-4.0%へ反落し、FETの上昇分はほぼ帳消しになった。さらに8月月初にもFETは週間で-16.33%(0.171ドルから0.133ドルへ)という反動を経験している。今回のNEARの週間+25.8%高も、ロードマップ発表という単一の期待材料が起点になっている点でFETの構造と似ている。異なるのはステーブルコイン時価総額の週98%増という実需の裏付けが伴っていることで、これが継続すれば材料出尽くし後も下値が支えられる可能性がある一方、続かなければFETと同型の反落を辿るリスクは消えていない。もう一つの比較材料は8月24日朝に取り上げたGRASSのコインベース上場観測で、材料発表直後は買われたものの情報源によって24hの騰落率が+14.4%とも-12.6%とも報じられるほど値が荒れており、単一材料への反応が過熱・混乱しやすい典型例になっている。NEARの上昇がこの種の値動きと一線を画せるかは、今後数日のステーブルコイン増加ペースが目安になる。

注目銘柄と価格水準

NEARは2.02ドル、週間高値圏での推移が続く。国内ではSBI VCトレードが取り扱っており、CoinTradeも8月31日から新規上場を予定している。一方でCoincheckなど大手取引所は現時点で非対応のため、購入経路によっては海外取引所への送金が必要になる場合がある。上値の目安としては、複数の分析が8月中の高値レンジとして1.70ドル前後、年内レンジ上限として2.65ドル前後を挙げている。

TAOは236ドル前後で推移し、24h値幅は232〜241ドル、時価総額26.6億ドル。2026年8月24日時点でbitFlyer・ビットバンク・GMOコインなど国内主要取引所には上場しておらず、購入するには国内取引所で資金を用意した上でMEXCやBinanceなど海外取引所へ送る必要がある。

想定されるシナリオとリスク

上振れシナリオは、NEAR上のステーブルコイン時価総額の伸び(週98%)やIntentsの取引量が今後も数字で確認され続け、ロードマップへの期待が実需へ転化していく展開。この場合、2.65ドル前後までのレンジ拡大が視野に入る。

下振れシナリオは、今回の上昇が8月22日のFET急騰と同様の材料先食いに終わり、週内で上昇分の大半を吐き出すケース。8月26日のNVIDIA決算(市場予想売上918億〜950億ドル、前年比96%増)を控え、AI関連株全体のセンチメントが決算内容次第で大きく振れる可能性があり、これがAIトークン全体への連想売り・買いとして波及しうる点もリスクとして意識したい。

まとめ

  1. AIセクター時価総額は163億ドル(24h+3.7%)でBTCの上昇率を上回り、NEARが2.02ドル(24h+8.0%、週間+25.8%)でセクター最強。2) 材料はquantum-safe刷新・AIロードマップ・ステーブルコイン週98%増という複合型で、8月22日のFET単日急騰よりは実需の裏付けがあるものの同型の反落リスクは残る。3) 8月26日のNVIDIA決算がAIセクター全体の次の分水嶺になる。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。