ビットコイン優位の地合いが続く可能性
JPMorganのアナリストは、暗号資産市場が回復基調にある一方で、イーサリアム(ETH)やアルトコインがビットコイン(BTC)に対して劣後し続ける可能性があると見ています。背景には、広い意味での市場回復があっても、ETHや他の主要アルトに新規資金が入りにくい構造が残っているという見方があります。
同社の指摘では、2023年以降に続く「アルトコインのBTC対比での弱さ」は、単なる値動きの問題ではなく、ネットワーク活動の強さやDeFiの実需、RWA(現実資産)などの利用拡大が伴わない限り、反転しにくいという整理です。つまり、相場のテーマが「何が上がるか」ではなく、「どのネットワークで実際に使われているか」に移っているとも言えます。
何がETHとアルトの重しになっているのか
JPMorganが挙げた論点の一つは、Ethereumのアップグレードが必ずしも基盤利用の増加につながっていないことです。過去の改善はスケーラビリティや技術的な前進を示した一方で、オンチェーン活動の顕著な増加や、手数料収入の明確な押し上げには結びついていないとされます。
また、Ethereum上の活動がL2や他チェーンへ分散することで、ベースレイヤーとしてのETHの価値捕捉が相対的に弱まるという見方もあります。これは、ETHそのものの長期的な役割を否定するものではありませんが、短期的には「利用の広がり」と「トークン価格の強さ」が一致しにくい局面を示しています。
アルトコイン全般についても、流動性の薄さ、投資家心理の慎重化、セキュリティ面への懸念などが、新規資金の流入を抑える要因として挙げられています。JPMorganは、こうした要因が重なることで、BTC中心の市場構造が続きやすいとみています。
BTCは「マクロ資産」として扱われやすい
一方で、BTCは相対的に「マクロ資産」「価値保存の手段」として見られやすく、機関投資家にとっての位置づけも明確です。市場全体が荒れても、BTCは比較的流動性が高く、ポートフォリオに組み込みやすいと受け止められやすい点が、資金集中の背景にあります。
The Blockの報道でも、JPMorganは市場回復局面であっても、新規資金がBTCに向かいやすく、ETHやアルトに広がりにくいとの見方を示しました。これは価格予想というより、投資家の配分先がどこに偏りやすいかを示す需給分析に近いものです。
読み取るべきポイントは「価格」より「活動量」
今回の論点で重要なのは、ETHやアルトがBTCに勝てるかどうかを、単純な値幅で見るべきではないという点です。むしろ、今後の注目点は以下のようなオンチェーン指標と利用実態にあります。
注目したい観点
- DeFiの取引量やTVLが増えているか
- Ethereumや関連L2で実需が伸びているか
- トークン需要が手数料・利用・担保需要に結びついているか
こうした指標が改善すれば、BTC優位の相場でも、ETHや一部アルトへの評価が変わる余地があります。ただし現時点では、JPMorganの見方どおり、「使われていること」と「価格が相対的に強いこと」は別問題として捉えるのが妥当です。
まとめ
今回のJPMorganのレポートは、暗号資産市場が回復しても、資金の中心がBTCに寄りやすい構造を改めて示しました。ETHとアルトコインが存在感を高めるには、アップグレードの話題だけでなく、実際のネットワーク利用やDeFi・実需の拡大がどこまで伴うかが鍵になりそうです。
