2026年8月18日時点、イーサリアムの次期大型アップグレード「Glamsterdam」の目標時期が2026年前半から第4四半期へ半年程度後ろ倒しされたことが明らかになった。並行してビットコインは6.3万ドル台のレンジから抜け出せておらず、週間ベースでは2.8〜3.1%程度の下落。AIセクターの時価総額は210億ドル前後で24時間ではほぼ横ばいと、明確な方向感を欠く一日となった。市場参加者の視線は翌8月19日に予定されるホワイトハウスでの暗号資産関係者会合に向いており、規制の輪郭が見えるまでは様子見に徹する構図が強まっている。
いま相場で何が起きているか
BTCは8月17日朝時点(米東部時間)で63,413ドル前後、週間では2.8〜3.1%程度の下落となっている。8月10日週にビットコイン現物ETFへ8億5,354万ドル(BlackRockのIBITが6億9,350万ドル主導)という強い資金流入が入った反動もあり、直近は伸び悩みが目立つ。ETHは1,895〜1,907ドル圏で推移し、週間では-1.8%程度とBTCよりやや底堅い。
AIセクター全体の時価総額はCoinGeckoベースで約210億ドル、24時間では+0.6%とほぼ横ばい。個別ではChainlink(LINK)が9.45〜9.54ドルで24時間+0.7〜1.9%と底堅さを維持する一方、Bittensor(TAO)は193〜199ドル圏で方向感を欠き、Artificial Superintelligence Alliance(FET、旧Fetch.ai)は0.12ドル前後、NEAR Protocolは1.64ドル(-0.63%)、Render(RENDER)は1.265ドル(+0.70%)と銘柄ごとに濃淡が分かれている。恐怖強欲指数も8月半ばにかけて弱気圏へ低下しており、投資家心理は慎重方向に傾いたままだ。
何がこの動きを作ったか
最大の材料は、イーサリアム開発チームがロードマップ上の次期アップグレード「Glamsterdam」の目標時期を2026年前半から第4四半期へ引き下げたことだ。Glamsterdamにはプロポーザー・ビルダー分離を規定に組み込むEIP-7732や、ブロックレベルアクセスリストを導入するEIP-7928などが含まれ、いずれもガスリミットを現行の6,000万から2億へ拡張していくための布石と位置づけられている。開発チームは移行の安全性を優先し、まず公開テストネット「Platåberget」で8月20日にハードフォークを実施したうえで、Sepolia・Hoodiの各テストネットを経て本番移行する段階的な計画に切り替えた。
これ自体は8月17日にCryptoSlate等が報じた開発ロードマップ上のニュースであり、単独でETHを急落させるような材料ではない。ただし、BTC現物ETFが8月10日週に3億8,970万ドルの純流出(前週の強い流入から反転、6週間ぶりの規模)となったタイミングと重なり、リスク回避姿勢と合わさって「積極的に買い上がる理由が乏しい」という消極的な地合いを強めている。
ファンダメンタルをどう見るか
Glamsterdamの延期は、開発の停滞というより「大規模な設計変更を急がず段階的に検証する」という保守的な運用判断に近い。ガスリミット拡張とプロポーザー・ビルダー分離はイーサリアムのスケーラビリティとMEV対策の根幹に関わる変更であり、テストネットでの検証を厚くすること自体はネットワークの安全性という観点では合理的だ。実際、価格への織り込みは限定的で、ETHはBTCよりも週間の下げ幅が小さい。
一方でAIトークン全体を見ると、LINKのように実需(オラクル・相互運用性インフラ)を伴う銘柄と、FETのように2024年3月の高値3.45ドルから96%超安の水準に沈んだままの銘柄とで明暗が固定化しつつある。セクター全体の時価総額が横ばいというヘッドライン数字の裏では、資金が特定銘柄に集中し、その他は取り残されるという選別色が続いている点に注意が必要だ。
なお、イーサリアムの大型アップグレードは過去にも延期を繰り返してきた経緯があり、「Glamsterdam」自体も当初はQ1〜Q2 2026、その後Q3、そして今回のQ4へと段階的に後ろ倒しされてきた。過去のケースでは延期発表直後に一時的な失望売りが出ても、数週間のうちにETF資金フローやマクロ環境など別の材料に相場のドライバーが移るパターンが多く、単独の延期報道が中期トレンドを決定づけたケースは少ない。今回もETHの週間下落幅がBTCを下回っていることから、延期そのものよりもBTC ETFの流出転換や地政学リスクなど、より広い地合いの弱さが主導していると読むのが妥当だろう。
資金はどこへ動いているか
BTC現物ETFは8月10日週に3億8,970万ドルの純流出となり、前週の8億5,354万ドルの純流入から明確に反転した。週明けの144.67万ドル規模の流出でその週の流入トレンドが途切れ、火曜日にBlackRockのIBITへの5,020万ドル流入で一時的に持ち直したものの、水・木と連続で流出に転じた形だ。AIセクター内では、8月16日に約984,000枚(約920万ドル相当)のLINKが単一ウォレットからCoinbaseへ移動したことが確認されている。取引所への大口移動は一般に売却準備のシグナルと解釈されやすく、LINKの週間パフォーマンスが直近まで独歩高だっただけに、利益確定売りの可能性を意識しておきたい局面だ。
BTCドミナンスはここ数週間59%前後の高水準を維持しており、AIトークンを含むアルトコイン全般への資金シフトはまだ限定的。デリバティブ市場では機関投資家の先物建玉が拡大基調にあるとの観測もあり、価格の方向感が定まらない中でもポジション自体は積み上がっている可能性がある。
注目銘柄と価格水準
BTCは63,000〜64,000ドルのレンジが意識され、63,000ドル割れは直近安値圏の再試験、64,000ドル台回復はレンジ上限突破のシグナルとして注目される。ETHは1,850〜1,950ドルのレンジで、Glamsterdamの開発進捗(8月20日のPlatåbergetハードフォーク)が滞りなく進むかが次のチェックポイントになる。
LINKは9.0〜10.0ドルのレンジで、10ドルが心理的な抵抗、984,000枚のCoinbase移動分がどう処理されるかが9ドル割れリスクの試金石だ。TAOは193〜199ドル圏で明確なトレンドを欠き、FETは0.12ドル前後の安値圏で下値模索が続く。いずれも国内主要取引所での取扱いは限定的な銘柄が多く、海外取引所を利用する場合は規制状況を確認したうえでの判断が必要になる。
想定されるシナリオとリスク
上振れシナリオは、8月19日のホワイトハウス会合でCLARITY法案を巡る規制当局の前向きな発言が確認され、BTC ETFへの資金流入が再加速するケースだ。この場合、LINKなど規制環境の恩恵を受けやすい銘柄を中心にAIセクター全体への資金流入が広がる可能性がある。
下振れシナリオは、会合が具体的な進展を伴わない「顔合わせ」にとどまり、材料出尽くし感からBTC ETFの流出が続くケースだ。この場合、LINKのCoinbase大口移動が実際の売却につながれば、AIセクター全体の重石となる可能性がある。ETHについては、Glamsterdamの延期が繰り返されるようであれば、開発進捗への信頼感が徐々に低下するリスクも意識しておきたい。いずれも会合の結果と、その後数日のETFフロー・オンチェーンの取引所流入動向を確認してから判断すべき局面だ。
まとめ
8月18日時点の相場は、ETHのアップグレード半年延期という開発材料と、BTC ETFの流出転換という資金材料が重なりながらも、方向感を欠くレンジ相場にとどまっている。焦点は明日8月19日のホワイトハウス暗号資産会合の結果と、その後のETF資金フロー・LINKの取引所流入分の動向だ。トレーダーとしては、会合結果の一報だけで飛びつかず、翌週以降の資金フローで裏付けが取れるかを見極めたい。なお編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。
