AI関連銘柄の時価総額は2026年7月26日時点で220億ドル、24時間で2.7%の上昇となった。牽引役はBittensor(TAO)の3.4%高とArtificial Superintelligence Alliance(FET)の4.9%高で、ETF申請とネットワーク拡張という具体的な材料が背景にある。一方でビットコイン現物ETFは前週末2日連続の流出(合計4億6,508万ドル)を記録しながらも、週間ベースでは3,379万ドルの小幅な資金流入を守り切った。地政学リスクとAIセクター固有の材料が綱引きする、方向感の定まりにくい相場が続いている。

いま相場で何が起きているか

2026年7月26日時点、ビットコイン(BTC)は6万4,472.26ドルで24時間+0.7%、イーサリアム(ETH)は1,884.70ドルで+1.5%とやや強含みで推移している。市場全体のセンチメントを示すFear & Greedインデックスは26で「恐怖」圏に沈んだままで、価格の反発とセンチメントの乖離が続く。AIセクターの時価総額は220億ドルで24時間+2.7%。個別ではTAOが196.15ドルで+3.4%、FETが0.1578ドルで+4.9%、RENDERが1.49ドルで+3.0%、ICPが2.17ドルで+1.9%と軒並み堅調な一方、NEARは1.80ドルで+0.5%にとどまり、VIRTUALは0.5821ドルで横ばいと明暗が分かれた。

何がこの動きを作ったか

TAOの上昇を支えるのは二つの材料だ。第一に、GrayscaleとBitwiseがそれぞれBittensorの現物ETFをSECに申請しており、審査結果は8月中に出る見通しとされる。第二に、Bittensorは今月「Robin」と呼ばれるネットワーク拡張を実施し、サブネット枠を128から256へ倍増させた。この拡張の背景には需要の裏付けがあり、AIサービス利用料由来の収益は今年1-3月期だけで4,300万ドルに達したと報じられている。NvidiaとPolychain Capitalが合計6億2,000万ドル規模でTAOにエクスポージャーを取っているとの観測も、機関投資家からの関心の高さを裏付ける材料として語られている(この金額についてはNvidia・OpenTensor財団双方から一次的な確認は出ていない点には留意が必要)。FETの上昇はエージェント型AIプラットフォームの新規展開が材料視されている。

ファンダメンタルをどう見るか

重要なのは、これが単なる思惑買いだけで説明できるかという点だ。BittensorのETF申請は審査結果が出るまでは思惑の域を出ないが、サブネット倍増と四半期4,300万ドルの実利用収益は、ネットワークが投機以外の需要を伴って成長している傍証になる。もっとも、この収益はネットワークの年間トークン発行額(推計3億2,800万ドル規模)には遠く及ばず、供給インフレを実需が追い越せているとは言い難い。NEAR側ではNEAR Intents(意図ベースのクロスチェーン決済レイヤー)の累計取引高が6月時点で200億ドルを突破しており、こちらも実利用の裏付けを持つ数少ないAI関連プロジェクトの一つだ。ただし直近30日の手数料収入は252万ドルにとどまり、価格の織り込みが先行している面は否めない。

資金はどこへ動いているか

ビットコイン現物ETFは7月24日(木)に2億2,510万ドル、25日(金)に2億4,008万ドルと2日連続の流出を記録し、合計4億6,508万ドルが流出した。金曜日はBlackRockのIBITが2億1,220万ドルの流出を主導し、FidelityのFBTCも2,790万ドルの流出となった。それでも週間トータルでは3,379万ドルの純流入を守っており、前週までの流入基調が完全に崩れたわけではない。イーサリアムETFは対照的に堅調で、週間で約1億300万ドルの純流入となった。この非対称は、短期的な地政学リスク(米・イランの緊張、7月上旬のBTC急落の記憶が残る)への感応度がBTCの方が高いことを示唆する。AIセクター内では、実需の裏付けを持つTAO・FET・NEAR系トークンへ選別的に資金が向かっており、セクター全体の底上げというより個別材料主導の物色に見える。

過去の類似局面との比較

AIセクターは5月末の266億ドルから7月序盤には219億ドル前後まで縮小し、直近数週間は横ばいから緩やかな反発を試みる展開が続いている。今回の反発はTAO・FETという個別材料が先行する点で、7月中旬に見られた「AI銘柄全面高」型の反発とは性質が異なる。全面高型の反発は往々にして数日で失速してきた経緯があり、今回のように材料が個別銘柄に紐づくケースの方が、ETF承認や収益成長という検証可能なマイルストーンを持つ分、持続力を測りやすい。ただしBittensorのETF審査自体は8月まで結果が出ず、それまでは思惑主導のボラティリティが続く可能性が高い。

注目銘柄と価格水準

TAOは196ドル台で推移しており、心理的な節目である200ドルを回復できるかが当面の焦点になる。8月のETF審査結果が承認方向であれば、5月から続く時価総額圏からの脱却も視野に入るが、却下や継続審査となれば失望売りのリスクがある。FETは0.158ドル前後で、直近安値からの反発局面にあり、0.16ドル台を維持できるかが試金石となる。NEARは1.80ドル前後で、Intentsの取引高が実際の手数料収益にどこまで転換していくかが中期的な評価軸になる。ビットコインは6万4,000ドル台で推移しており、直近の地政学リスクによる急落局面(7月上旬に一時6万円台前半まで下押し)の水準を上回ってはいるものの、6万5,000ドル超を回復できるかが週明け以降の焦点だ。国内ではTAO・FET・NEAR・RENDER・ICPはいずれも海外大手取引所での取り扱いが中心で、国内主要取引所の取扱銘柄は限定的な点には留意したい。

想定されるシナリオとリスク

上振れシナリオは、8月のBittensor ETF審査が承認方向で進み、AIセクター全体への資金流入が加速するケースだ。この場合、TAO・FETに続いてRENDER・ICPなど関連銘柄への波及も期待できる。下振れシナリオは、米・イラン情勢の再燃や地政学リスクの高まりがビットコインETFからの資金流出を拡大させ、リスクオフがAIセクターにも波及するケースだ。7月上旬の急落局面では清算額が3億5,000万ドルに達しており、レバレッジの積み上がり方次第では同様の展開もあり得る。いずれのシナリオも現時点では条件付きであり、8月のETF審査結果とビットコインETFの週次フローが今後数週間の方向性を左右する。

まとめ

AIセクターは24時間で2.7%反発し、TAO・FETが個別材料(ETF申請・サブネット拡張)を背景に牽引役となった。ビットコイン現物ETFは週末2日連続の流出を記録しながらも週間ではプラスを維持しており、地政学リスクへの警戒とAIセクター固有の材料が綱引きする相場が続く。8月のBittensor ETF審査結果とビットコインETFの週次フロー、この二つが次の方向感を決める鍵になる。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。