2026年7月30日、Microsoft(株価+16.4%)とAmazon(AWS売上+37%)の決算を受けてNasdaq総合指数は2.6%高と6月中旬以来最大の上昇を記録し、半導体株も総じて二桁高で反発した。しかしビットコインは6万4,000ドル前後で24時間ベース+0.1〜0.8%程度の値動きにとどまり、AI関連仮想通貨セクターも時価総額212億ドルで+0.1%とほぼ横ばい。株式市場で再燃したAI投資への確信が、暗号資産市場にはほとんど波及していない構図が鮮明になった格好だ。
いま相場で何が起きているか
2026年7月30〜31日時点で、BTCは6万4,259ドル前後、24時間騰落率は+0.1〜0.8%とソースによりばらつきはあるものの、いずれも横ばい圏を出ていない。ETHは1,915〜1,920ドル台で推移。恐怖強欲指数は28(Fear)で前日29・先週31から緩やかに悪化しており、BTCドミナンスは56%とほぼ変わらない。CoinGeckoのAIカテゴリ時価総額は212億ドルで24時間+0.1%。個別ではTAO195.79ドル+1.7%、FET0.1417ドル+1.7%、NEAR1.64ドル+1.5%、ICP2.08ドル+0.6%、RENDER1.40ドル+0.7%、LINK8.35ドル+0.2%、VIRTUAL0.5659ドル+0.4%と小幅高が並ぶが、いずれも株式市場の値動きとは桁が一つ違う。対照的にNasdaqは+2.6%、S&P500は+1.3%、ダウ平均は+0.8%、半導体ETF(SOXX)は+8%超と急伸している。
何がこの動きを作ったか
震源はMicrosoftとAmazonの決算だ。Microsoftは7月29日発表の四半期決算で売上高900億ドル(市場予想876億ドル)を計上し、Azureクラウド収益は定常通貨ベースで前年比43%成長(予想40%)、年間換算で初めて1,000億ドルを突破した。株価は決算翌日に16.4%急騰し、コロナ相場以来の上げ幅となった。Amazonも同時期の決算でAWS収益が前年比37%成長(予想31%、2021年以来の高成長率)、AWS売上高は422億ドル(年間換算1,690億ドル)、全社売上高は2,006.1億ドル(予想1,964.7億ドル)、EPSは5.75ドル(予想1.82ドル)と大幅な増益を示し、株価は時間外で10%超上昇した。これを受けてIntel(+13%、92.67ドル)、AMD(+13%、483.55ドル)、TSM(+7%、399.36ドル)、Applied Materials(+15%)など半導体株が軒並み二桁高となり、前日まで続いていた「AI株安→暗号資産へ資金回避」というローテーションが一転、AI投資そのものへの資金回帰に置き換わった。
ファンダメンタルをどう見るか
今回のAI株反発は、Azure・AWSという実際のクラウド収益が市場予想を上回ったことに裏付けられており、需給だけの思惑買いとは性格が異なる。一方でビットコイン現物ETFの7月月間純流入額はわずか2.05億ドルと、過去に記録した中で最小の月間合計にとどまっている。5月は24.3億ドル、6月は45.2億ドルの流出を記録しており、7月の小幅な流入転換はその反動にすぎない。ETH ETFは7月に3億4,285万ドルを集めておりBTCを上回るペースで、機関資金の選好はやや ETH側に傾いている。直近では7月29日に4営業日ぶりの流入転換(3,210万ドル、IBIT主導で8,980万ドル)があったばかりで、勢いはまだ弱い。
資金はどこへ動いているか
株式市場ではNasdaqへの資金回帰が鮮明で、AIインフラ関連株が軒並み全面高となった。一方で暗号資産市場は「ほぼ忘れられている」状態が続いており、BTCドミナンス56%・AIセクター212億ドルともに大きな変化は見られない。テクニカル面ではボリンジャーバンドの幅が1月以来最も収縮しており、方向感を欠いたまま次の材料待ちのレンジ相場が続いている。
過去の類似局面との比較
7月27日前後には半導体・AI株の急落を受けて、Strategy(+7%)やBitMine(+11%)、SharpLink(+5%)など暗号資産関連株への資金回避的な逃避買いが観測された。今回はその逆で、AI株が急伸する中での暗号資産市場となっているが、資金流入は起きていない。さらに7月30日には「半導体AI株が24時間で8%急反発、仮想通貨AI銘柄は追随薄めでETH資金流出へ」という構図が既に確認されており、今回のメガテック決算はこの流れをむしろ加速させた形だ。総じて、AI株の急伸・急落いずれの局面でも暗号資産本体(特にBTC)の反応は限定的というパターンが7月を通じて繰り返されており、FOMC・ETFフロー・清算といった暗号資産固有の要因の方が値動きへの寄与度が大きい傾向がうかがえる。
注目銘柄と価格水準
BTCは6万3,500〜6万5,000ドルのレンジ内での推移が続いており、上抜けには6万5,000ドル定着、下は6万3,000ドル割れが節目として意識されやすい。TAOは195.79ドルで、8月に予定されるGrayscale/Bitwise ETF審査期待から相対的に堅調な値動きを維持している。FET・NEARはメガテック決算の直接的な追い風は限定的ながら小幅高となった。国内取引所ではBTC・ETH・LINKなど主要銘柄はbitFlyerやCoincheck等で取引可能だが、TAO・FETは海外取引所での取り扱いが中心となっている。
想定されるシナリオとリスク
強気シナリオとしては、メガテックのAI投資正当化が数日かけて暗号資産センチメントにも波及し、ETFフローが加速すれば、出遅れているAIセクター・BTCともに物色の対象になり得る。弱気シナリオとしては、ボリンジャーバンドの収縮が下方ブレイクにつながれば、恐怖強欲指数28の弱含みと相まって6万3,000ドル割れのリスクも残る。いずれのシナリオも、7月のETFフロー(2.05億ドル)の弱さが示す通り、機関資金の本格回帰が確認されるまでは方向感を欠いた展開が続く可能性が高い。
まとめ
NasdaqはMicrosoft・Amazonの好決算を受けて6月中旬以来最大の上昇となり、半導体株も二桁高でAI投資への確信を取り戻した。一方でBTCは6万4,000ドル前後で膠着し、AIセクター(212億ドル)も+0.1%とほぼ無風。BTC現物ETFの7月月間流入は2.05億ドルと過去最小にとどまっており、機関資金の本格的な回帰はまだ確認できていない。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。
