ビットコイン(BTC)が2026年9月18日、一時81,258ドルまで急伸し、9月7日以来の高値圏を回復した。24時間の上昇率は約6%。ショートポジション2.38億ドルの清算とスポットETFの資金純流入転換が重なり、9月16日のFOMC利上げ後に一時7万5,000ドル台まで沈んだ相場は一気に反発局面へ転じた。一方でAIセクターの上昇はNEAR(ニア)への集中が目立ち、ビットコインドミナンスは60.66%まで上昇。資金の主役はあくまでBTCであることを示している。

いま相場で何が起きているか

9月18日時点でBTCは80,804〜81,258ドルのレンジで推移し、24時間で約6%上昇した。この水準は9月7日以来の高値であり、9月16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)がタカ派寄りのドットプロット(18人中16人が年内追加利上げを予想)とともに0.25%利上げ(政策金利3.75〜4.00%)を決定した直後の急落から、わずか2日での切り返しとなる。ETH(イーサリアム)も2,500ドル台を回復し6%超の上昇、XRPやドージコインも同様に6%超の上げ幅を記録しており、主要銘柄が揃って買われる「リスクオン」の様相が強い。

AIセクターでは、NEAR Protocolが9月18日時点で3.68ドル(24時間+21%超)まで続伸した。9月15日の2.34ドルから3日間で45%超上昇した計算になる。TAO(ビットテンソル)は225〜240ドル台(24時間+6.17%)で推移し、NEARに比べると上昇率は見劣りする。AIセクター全体の時価総額はおよそ186億ドルで、9月17日時点からほぼ横ばい圏にとどまっており、AIセクター全体の資金流入というより、NEAR一銘柄への資金集中が続いている構図に変化はない。

何がこの動きを作ったか

BTC反発の直接の引き金は、9月17日にスポットBTC ETFへの資金流入が2日連続の流出から反転したことだ。米国のスポットBTC ETFは9月17日に約1.595億ドルの純流入を記録し、BlackRockのIBITが主導した。9月16日のFOMC後に一時75,000ドル台まで売られていた反動もあり、ショートポジション約2.38億ドルが清算されるショートスクイーズが発生。売り方の買い戻しが価格をさらに押し上げる展開となった。

この動きの背景には、FOMCの利上げそのものが「織り込み済みの材料」として消化されたという解釈がある。利上げ決定後にドル指数が伸び悩み、米国債利回りも上昇が一巡したことで、リスク資産への資金回帰が起きやすい地合いが整った。機関投資家のリサーチレポートがBTC選好を示したとの報道もあり、複数の要因が重なったことで反発の勢いが強まったとみられる。

NEARについては、9月17日に確認された確信度の高い材料が引き続き効いている。NEAR上のプライバシー保護型スワップ機能「Confidential Intents」のTVL(預かり資産残高)が7,000万ドルの目標を突破したことを受け、「NEAR@3.33」インセンティブプログラムの第1回スナップショットが実施され、条件を満たしたユーザーに合計333,333枚のロック付きトークンが配布された。このトークンはNEARの3日連続VWAP(出来高加重平均価格)が3.33ドルを上回れば1:1でNEARに転換できる設計になっており、9月17日以降その判定期間が進行中だ。9月18日時点でNEARは3.33ドルを大きく上回る水準まで買われており、需給面での思惑買いが続いている。

ファンダメンタルをどう見るか

BTCの反発をファンダメンタルの実質的な変化と見るか、一過性の需給要因(ショートスクイーズ・ETFフローの単月反転)と見るかは意見が分かれる。ショートスクイーズは需給の歪みを一時的に解消する動きであり、それ自体が中長期のトレンド転換を保証するものではない。ただし、日銀が9月18日に政策金利を0.25%引き上げ1.25%(31年ぶりの水準)としたにもかかわらず、植田総裁の会見トーンが緩和的と受け止められたことでドル円は156円台から157円台へ円安方向に振れ、警戒されていた円キャリートレードの巻き戻しは目先回避された。過去の日銀利上げ局面では、円キャリー巻き戻しを主因にBTCが2〜3割下落した前例があっただけに、今回「クリプト勢が動じなかった」ことは相場心理の変化として意識してよい材料だろう。

NEARの「Confidential Intents」TVL成長は、投機的な思惑ではなく実需の裏付けがある数少ない材料の一つだ。90日間で129.3%というTVL成長率は、プライバシー機能への実際の資金流入を示しており、単なる値動きだけのテーマとは性質が異なる。もっとも、VWAP判定完了後にロック解除トークンの転換に伴う新規供給が生まれる可能性があり、その時点で売り圧力が強まるかどうかは今後の焦点になる。

資金はどこへ動いているか

ビットコインドミナンス(暗号資産市場全体に占めるBTCの時価総額シェア)は60.66%まで上昇し、8か月にわたる横ばい局面からのブレイクアウトとなった。2025年6月に記録した66%台のサイクル高値を目指す動きとの見方もあり、資金がアルトコインからBTCへ回帰していることを示唆する。CoinMarketCapのアルトコインシーズン指数も33〜37と、「ビットコインシーズン」の領域にとどまっている。

この構図はNEARの急騰とは一見矛盾するように見えるが、実際には「個別銘柄への選択的な資金集中」と「セクター全体としての資金流入鈍化」が同時に起きていると整理できる。AIセクター全体の時価総額が9月17日からほぼ横ばいである一方、NEAR一銘柄が突出して買われているのはその表れだ。BTC現物ETFは9月15〜16日の48時間で計7.46億ドルの純流出を記録した後、9月17日に1.595億ドルの純流入へ転換しており、フローの方向感はなお不安定。9月の月間累計では依然として大幅な純流入を維持しているが、日次の振れ幅は大きい。

過去の類似局面との比較

BTCが8万ドル台に乗せるのは2026年に入って複数回目だが、今回はFOMC後の急落からわずか2日での切り返しという点で値動きの速さが際立つ。過去、FOMCの利上げ直後に急落した局面では、材料の消化に数日〜1週間程度を要することが多かった。今回はショートスクイーズという需給要因が反発を加速させた分、上昇の持続性については材料の実需(ETFフローの継続性)で判断する必要がある。

NEARについても、9月15日からの3日間で45%超という上昇スピードは、9月に入ってから同セクターで見られた他の急騰局面(TAOの単日+7%超の反発など)と比べても際立って大きい。過去、単一材料による急騰は数日でその9割前後が剥落する傾向が観測されてきたが、NEARの場合はVWAP判定という明確な需給イベントが控えているため、通常の思惑買いとは異なる値動きになる可能性がある。

注目銘柄と価格水準

BTCは82,000ドルが目先の重要な節目として意識されている。この水準を明確に上抜ければ、心理的な節目である10万ドル圏を視野に入れる展開もありうるとの見方がある一方、80,000ドル割れが再び意識されれば反落リスクも残る。

NEARは3.33ドルのVWAP判定を上回って推移しており、3日連続の条件達成が確認されれば9月19〜20日頃にロック解除トークンの転換が可能になる見通しだ。この前後で新規供給による上値の重さが出るかが焦点となる。TAOは225〜245ドル帯で推移しており、9月11〜16日にかけて機能していた234ドル近辺の支持帯を回復できるかが次の分岐点となる。いずれの銘柄も国内主要取引所での取り扱いがあるが、値動きの荒さには十分な注意が必要だ。

想定されるシナリオとリスク

上振れシナリオとしては、ETFフローの純流入が複数日続き、82,000ドルを明確に上抜けるケースが考えられる。この場合、ショートカバーに加えて新規の買いが入り、10万ドル圏への回復機運が高まる可能性がある。下振れシナリオとしては、ショートスクイーズによる一時的な反発が一巡した後、ETFフローが再び流出に転じ80,000ドルを割り込むケースが想定される。この場合、直近の急伸分が短期間で巻き戻される展開も否定できない。

AIセクターについては、NEARのVWAP判定完了に伴う需給変化と、ビットコインドミナンス上昇が示すアルトコイン資金の細り具合の両方を注視する必要がある。いずれのシナリオも条件付きであり、断定的な予想はできない。

まとめ

BTCは9月18日にショートスクイーズとETFフロー反転を背景に81,258ドルまで急伸し、9月7日以来の高値を回復した。日銀の31年ぶり利上げも円安進行によりキャリー巻き戻しを招かず、リスクオンの地合いを崩さなかった。一方でビットコインドミナンスは60.66%まで上昇し、AIセクターの上昇はNEARへの資金集中に偏っている。次の焦点は82,000ドル突破の有無と、NEARのVWAP判定完了後の需給変化だ。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。