Claude Codeで作る仮想通貨自動売買botとは、Anthropicのコーディングエージェント「Claude Code」に戦略の実装・稼働・監視までを任せて構築する自動売買システムのことである。結論から言うと、プログラミング経験が浅い人でも「動く自動売買bot」を作ること自体は2026年7月時点で十分に可能だ。ただし「動くbot」と「利益が出るbot」の間には大きな壁がある。編集部は2026年4月からClaude Codeにトレードを任せる検証運用を実口座で継続しており、入金額588ドル(当初188ドル+追加400ドル)に対して実現損益は約マイナス21ドル(2026年7月上旬にオンチェーン記録を突き合わせた監査で確定)という「ほぼ横ばいのやや負け」が現実の数字である。本記事では、この実際に動いている構成をそのまま公開し、何が上手くいき、何が失敗し、どう改善したかを踏まえたうえで、同じ環境をゼロから作る手順を解説する。

編集部が実際に動かしている構成の全体像

まず「何を作ったのか」を先に示す。編集部のbotは、一般にイメージされる「Pythonのプログラムが24時間ループし続けるbot」とは構造が異なる。中心にいるのはClaude Codeというコーディングエージェントで、これが相場データの取得・判断・発注・記録のすべてを指揮する。

日次セッションリサイクル方式で24時間監視する

構成の核は「日次セッションリサイクル」と呼んでいる運用方式だ。毎朝6時にタスクスケジューラがClaude Codeのセッションを起動し、セッションは翌朝の自己終了時刻まで約24時間、相場の監視とトレードを続ける。終了時には当日の建玉状況・判断の根拠・引き継ぎ事項をハンドオフ用のドキュメントに書き出し、翌朝の新しいセッションがそれを読み込んで続きから運用する。人間で言えば「日勤担当が引き継ぎメモを書いて夜勤担当に渡す」仕組みを、AIエージェント同士でやらせているイメージである。

セッションを毎日作り直す理由は2つある。第一に、長時間動かし続けるとコンテキスト(AIが覚えていられる作業記憶)が肥大化し、判断の質が落ちたり動作が不安定になったりするためだ。第二に、毎日リセットすることで「昨日の思い込み」を引きずらず、引き継ぎ文書に残した確定情報だけを土台に再スタートできるためである。

取引の場はオンチェーンDEXのパーペチュアル

取引の場として選んだのは、オンチェーンDEX(分散型取引所)のGMXで提供されているパーペチュアル(無期限先物)である。GMXはオーダーブック型ではなく流動性プールに対して取引する方式のDEXで、取引所口座の審査を経ずに、ウォレットさえあればプログラムから直接発注できる。エージェントに取引を任せる検証としては「人間の承認フローを挟まず、コードだけで完結できる」ことが重要だったため、この形を選んだ。

ただし後述するとおり、オンチェーン取引はガス代(ブロックチェーン手数料)という固定コストが重く、小さい建玉では利益がガス代に食われるという落とし穴があった。これは実運用で最初にぶつかった壁である。

実際の設定値(2026年7月時点で稼働中のもの)

現在稼働している主要な設定値は次のとおりだ。レバレッジは10倍、利確ラインは建値からプラス3.5%、損切りラインはマイナス4.5%、さらにトレーリングストップ(価格が有利な方向に動いたら決済ラインを追随させる仕組み)を併用している。建玉サイズには下限400ドルを設けており、これを下回るサイズではエントリーしない。戦略はモード判定式で、レンジ相場と判定した場合はレンジ端での逆張り、トレンド相場と判定した場合は押し目での順張りを行う。

これらの数値は最初からこうだったわけではなく、後述する失敗を経て2026年7月に全面的に書き直した結果である。設定値そのものより「なぜその値に落ち着いたか」の過程のほうが、これから作る人には価値があるはずだ。

実運用の結果:良かったこと・悪かったこと

数字で見る結果

2026年4月の運用開始から7月上旬までの結果を、オンチェーン記録と突き合わせた監査ベースで示す。入金は当初188ドル、その後400ドルを追加して合計588ドル。実現損益は約マイナス21ドルである。勝率や取引回数、月次の損益推移は現時点で未公表としているため本記事にも書かないが、検証の経過は当サイトの運用実績ページで継続的に公開している。

「3カ月やってマイナス21ドルなら大したことない」と感じるか「やっぱり負けるのか」と感じるかは読者次第だが、編集部の評価は「授業料としては安い」である。理由は、この間にbotの構造的な欠陥を3つ発見して潰せたからだ。

失敗1:ガス代に対して建玉が小さすぎて利確できない

最初の失敗は資金設計だった。当初188ドルの入金で小さな建玉を持たせていたところ、利確ラインに到達してもガス代と手数料を差し引くと手取りがほぼゼロ、場合によってはマイナスになる事態が頻発した。オンチェーン取引では発注・決済のたびにガス代がかかり、これは建玉サイズに関係なくほぼ一定である。つまり建玉が小さいほどコスト比率が上がる。この教訓から「建玉下限400ドル」というルールを導入し、下限を満たせない資金状況ではエントリー自体を見送る設計に変えた。追加入金400ドルはこの構造改革のためのものである。

失敗2:早すぎる損切りがノイズに刈られる

第二の失敗は損切り設計だった。当初は建値からわずかな逆行で早期損切りする保守的なルールを入れていたが、暗号資産の価格は短時間で上下に振れる「ノイズ」が大きく、方向感が合っていても一時的な逆行で損切りされる事例が続いた。損切り後に想定方向へ伸びていくチャートを何度も見ることになった。そこで2026年7月のリライトで早期損切りルールを廃止し、代わりにトレーリングストップを軸にした「伸びたら追いかけ、崩れたら降りる」設計へ全面変更した。

失敗3:特定銘柄で発注が通らないバグ

第三の失敗は技術的なものだ。特定銘柄(WBTC)の発注が通らないケースがあり、エージェントは「発注した」と認識しているのに実際にはポジションが存在しない、という状態が発生した。これは発注結果を独立に検証する監視プロセス(watchdog)を差し替えることで解消した。エージェント自身の自己申告を信用せず、オンチェーンの実データで建玉の有無を照合する仕組みである。AIに取引を任せる場合、この「自己申告と実態の突き合わせ」は必須だと痛感した。

良かったこと:全判断が記録され、感情の介入がゼロになった

失敗ばかり並べたが、良かったことも明確にある。第一に、すべてのエントリー・決済に判断根拠のログが残るため、負けトレードの事後分析が具体的にできるようになった。人間の裁量トレードでは「なんとなく怖くなって決済した」といった説明のつかない行動が混ざるが、botは設定と指示書どおりにしか動かないので、負けの原因は必ず設計のどこかにあると特定できる。第二に、深夜や早朝の急変にも淡々と対応するため、相場に張り付くストレスから完全に解放された。第三に、改善が「指示書と設定ファイルの書き換え」という形で履歴に残るため、3カ月分の試行錯誤がそのまま資産になっている。損益はマイナスでも、この「改善が蓄積する構造」が作れたことが実運用の最大の収穫である。

なぜClaude Codeでbotを作るのか:他の選択肢との比較

自動売買を始める方法はClaude Code以外にもある。それぞれの違いを整理する。

対 従来型のプログラムbot(Python自作)

従来のbot開発は、Pythonなどで戦略ロジックを自分で書き、サーバーで常時稼働させる方式が主流だった。長所は動作が決定的で再現性が高いこと、短所は開発の学習コストが高く、戦略変更のたびにコードを書き直す必要があることだ。Claude Code方式は「戦略を日本語で書き、実装はエージェントに任せる」ため参入障壁が劇的に下がる。一方で、LLM(大規模言語モデル)の判断は確率的で、同じ入力でも毎回まったく同じ挙動になる保証はない。決定性を取るなら従来型、開発速度と柔軟性を取るならClaude Code方式である。編集部の構成は折衷で、発注・損切り・利確などの執行部分は決定的なコードに固め、相場のモード判定などの裁量部分だけをエージェントに委ねている。

対 コピートレード

「自分で作らず、上手い人の取引を自動でコピーする」コピートレードも有力な選択肢だ。BitgetなどはコピートレードAPIを含む充実した機能を提供しており、開発ゼロで自動売買を始められる。ただし、どのトレーダーを選ぶかという別の難問があり、過去の成績は将来の利益を保証しない。また戦略がブラックボックスなので、負けたときに「なぜ負けたか」を学べない。自分の資産運用を理解しながら育てたい人にはbot自作、手間を最小にしたい人にはコピートレードが向く。

対 取引所内蔵のグリッドbot

多くの海外取引所には、一定幅で買い下がり・売り上がりを繰り返すグリッドbotなどの内蔵botがある。設定は数分で済み、レンジ相場では堅実に機能する。ただし戦略の型が固定されており、トレンド転換への対応やニュースを踏まえた判断はできない。「決まった型の執行を安く大量に」なら内蔵bot、「状況判断を含む柔軟な運用」ならClaude Code方式と役割が異なる。

比較表

方式 開発コスト 柔軟性 再現性 向いている人
Claude Code自作bot 低〜中(日本語で指示) 高い 中(執行部を固めて補う) 仕組みを理解しながら育てたい人
従来型Python自作bot 高い 高い 高い 開発経験者
コピートレード ほぼゼロ 低い トレーダー次第 手間を最小にしたい人
取引所内蔵グリッドbot ほぼゼロ 低い 高い レンジ相場の小口運用

同じ環境を作る手順:7ステップ

ここからは、編集部と同等の構成をゼロから作る手順を示す。より詳しい画面付きの解説は当サイトの手順記事で行っているので、ここでは全体の流れと設計判断を中心に説明する。

手順1:国内取引所の口座を開設する

最初のステップは国内の暗号資産取引所の口座開設だ。日本円の入出金の起点であり、後で海外取引所やオンチェーンに資金を動かす場合も、国内口座が資金経路のハブになる。編集部は暗号資産の送金手数料が無料でAPI取引にも対応しているGMOコイン(金融庁登録業者)を起点にしている。GMOコインは認証不要のPublic APIとAPIキー認証のPrivate APIを公式提供しており、国内で完結する自動売買を作る場合の第一候補になる。

手順2:実行環境とClaude Codeを用意する

次に、botを動かす実行環境を整える。必要なのは常時起動できるPC(WindowsでもMacでも可)またはVPS、Node.jsなどのランタイム、そしてClaude Code本体だ。Claude Codeはターミナルから対話的に使うほか、ヘッドレスモード(プロンプトを渡して非対話で実行する形)でスケジューラから起動できる。編集部はWindowsのタスクスケジューラで毎朝6時にヘッドレス起動する構成を採っている。なおWindowsでヘッドレス起動する場合、日本語プロンプトの文字コード(UTF-8)の扱いでつまずきやすい。プロンプトをファイルに保存して標準入力から渡す形にすると文字化けを避けやすく、編集部もこの方式で安定稼働させている。

手順3:資金設計を先に決める

コードを書く前に資金設計を決める。編集部の失敗1で述べたとおり、建玉が小さすぎると手数料・ガス代負けする。オンチェーンでやるなら建玉下限(編集部は400ドル)を決め、それを満たせる入金額を逆算する。国内取引所の現物でやるならガス代はかからないが、取引手数料と最小注文数量を確認し、1回の取引で動かす金額に対してコストが何%になるかを必ず計算しておく。コスト比率が利確幅の1割を超えるようなら資金計画を見直すべきだ。たとえば利確幅3.5%の戦略で建玉10,000円なら期待利益は350円。往復の取引コストが35円を超えるなら建玉を増やすか、コストの安い取引方式に変える必要がある。この計算を最初にやっておくだけで「小さく試したら手数料だけ払って終わった」という初心者に最も多い失敗を避けられる。編集部が188ドルで踏んだ失敗を、机上の計算で回避してほしい。

手順4:戦略とルールを日本語ドキュメントに書く

Claude Code方式の肝はここだ。戦略・リスク管理・禁止事項を、指示書ファイルに日本語で明文化する。編集部の指示書には「レンジ相場ではレンジ端の逆張り、トレンド相場では押し目の順張り」「レバレッジ10倍、利確+3.5%、損切り-4.5%とトレーリングストップ」「建玉下限400ドル未満ではエントリーしない」「緊急停止時も監視は継続し、新規エントリーのみ停止する」といったルールが書いてある。曖昧な指示はそのまま曖昧な挙動になるため、数値で書けるものはすべて数値で書く。

手順5:発注レイヤーを実装する

戦略ができたら、実際に注文を出す発注レイヤーをClaude Codeに実装させる。国内で完結させるならGMOコインのPrivate APIで現物やレバレッジ取引の発注コードを書かせる。編集部のようにオンチェーンDEXでパーペチュアルを扱う場合はウォレット連携の実装になる。なお、より豊富なAPI(REST/WebSocket、現物・先物・コピートレードAPI、APIキーのIP制限)を求めて海外取引所のBitgetを接続先にする選択肢もあるが、これは後述するリスクを理解し、国内取引所の口座を持ったうえでの追加選択肢と位置づけるべきだ。

手順6:watchdog(発注監視)とログを必ず付ける

編集部の失敗3で述べたとおり、エージェントの自己申告と実態はズレることがある。発注後に「本当に建玉が存在するか」を独立に検証するwatchdogプロセスと、すべての判断・発注・約定を記録するログは必須である。ログがなければ負けたときに原因分析ができず、改善のループが回らない。

手順7:スケジューラに登録して自動起動させる

最後に、タスクスケジューラ(Windows)やcron(Mac/Linux)にClaude Codeのヘッドレス起動を登録し、毎日決まった時刻に自動でセッションが立ち上がるようにする。あわせて前日セッションからの引き継ぎファイルを読み込む処理を起動プロンプトに含めれば、日次セッションリサイクル方式が完成する。

設計で最も重要な4原則

手順を並べたが、編集部が3カ月の実運用で「これを外すと事故る」と確信した設計原則を4つにまとめる。

第一に「判断と執行の分離」。何を買うか・いつ入るかの判断はエージェントに任せてよいが、損切り・利確・サイズ制限などの執行ルールは決定的なコードとして固定し、エージェントが上書きできないようにする。第二に「設定ファイルが唯一の正」。レバレッジや閾値などのパラメータは1つの設定ファイルに集約し、エージェントの記憶やチャットログを設定のソースにしない。第三に「自己申告を信用しない」。建玉・残高・約定はすべて取引所やチェーン上の実データで照合する。第四に「止めるときも監視は止めない」。相場急変時の緊急停止では新規エントリーだけを止め、既存建玉の監視と決済機能は生かしておく。全停止すると建玉が放置され、かえって危険だからである。

この4原則は、AIエージェントの一般的な弱点への対策でもある。LLMの応答は確率モデルに基づくため再現性が保証されず、与えられたコンテキスト次第で挙動が変わり得る。だからこそ「変わってはいけない部分」をコードと設定ファイルに固定し、エージェントには「変わってよい部分」だけを委ねる線引きが、Claude Code botの設計そのものだと言ってよい。

海外取引所(Bitget)を接続先にする場合の位置づけとリスク

本記事ではAPI機能が充実した海外取引所としてBitgetに触れたが、利用の前提を明確にしておく。まず、海外取引所の利用は、金融庁登録のある国内取引所(GMOコインなど)で口座を持ち、日本円の出入口を国内に確保したうえでの追加選択肢である。Bitgetは2018年創業で現物手数料0.1%(BGB払いで0.08%)、先物はメイカー0.02%・テイカー0.06%、レバレッジ最大125倍、REST/WebSocket APIやAPIキーのIP制限に対応し、日本語UIも提供しているが、金融庁登録の暗号資産交換業者ではない。つまり日本の法規制や補償の枠外であり、出金制限やサービス内容の変更、日本居住者向けサービスの縮小・終了が起きても日本の制度では守られない。実際、Bybitは日本居住者向けサービスを終了しており(2026年3月23日にクローズオンリー化、2026年7月22日正午に未決済ポジションの強制決済)、海外取引所の「ある日突然使えなくなるリスク」は現実のものだ。また海外取引所で得た利益も課税対象で、確定申告が必要になる。損益計算は取引履歴のエクスポートを前提に設計し、税額の詳細は税理士など専門家に相談してほしい。

なお国内取引所の多くはUSDT(ドル連動ステーブルコイン)を取り扱っていない。国内から海外・オンチェーンへ資金を動かす場合は、送金手数料無料の国内口座からBTCやETHで送って現地で交換する経路が定石で、送金ネットワーク(TRC20/ERC20など)を間違えると資産を失う恐れがある点にも注意が必要だ。

運用して初めてわかった実務のコツ

設計原則ほど大げさではないが、3カ月回して効いた実務レベルのコツも共有しておく。

引き継ぎ文書は「事実」と「解釈」を分けて書かせる

日次セッション方式では、前日セッションが書く引き継ぎ文書の品質が翌日の運用品質を決める。運用初期は「相場は強気に見える」といった解釈まじりの引き継ぎが翌日の判断を引っ張り、根拠の薄いバイアスが日をまたいで持続する問題があった。現在は引き継ぎのフォーマットを「確定事実(建玉・残高・注文の実データ)」「実行済みの操作」「未解決の課題」「参考意見(翌日は無視してよい)」の4区分に固定し、事実と解釈が混ざらないようにしている。エージェントに書かせる文書はフォーマットを与えないと毎日形式が揺れるので、テンプレートをファイルで固定するのが確実だ。

判断頻度は「常時」ではなく「定期チェック+イベント駆動」にする

24時間監視といっても、LLMに毎分判断させるのはコストと安定性の面で現実的ではない。編集部の構成は、価格の定期チェックを軽量なスクリプトが担い、エントリー条件に近づいたときや建玉があるときだけエージェントの判断を仰ぐ2段構えにしている。これによりAPI利用コストを抑えつつ、急変時の反応速度を確保できる。自前で作る場合も「安いレイヤーで監視し、高いレイヤーで判断する」構造をおすすめする。

通知は「異常時だけ」に絞る

運用初期はすべての判断をスマホに通知していたが、数日で通知疲れして誰も読まなくなった。現在は「発注と実態の不一致」「想定外のエラー」「残高の急変」など人間の介入が必要な異常時だけ通知し、正常系はログに書くだけにしている。自動化の目的は人間の手離れなので、通知設計もそれに合わせるべきだ。

少額でも「本番」を経験する価値は大きい

バックテストやデモ取引だけでは、ガス代・スリッページ・発注遅延・APIの気まぐれなど、本番だけで起きる摩擦を経験できない。編集部が188ドルという少額で本番を始めたのは正解だったと考えている。最初の資金は「失っても構わない授業料」と割り切り、構造の欠陥を洗い出すことを目的にするのが良い。

リスクと注意点

Claude Codeでbotを作って運用する際のリスクを整理する。

  1. 元本割れリスク:編集部自身が3カ月で約21ドルの実現損を出しているとおり、自動化しても損失は普通に発生する。生活資金ではなく、失っても生活に影響しない余剰資金で行うこと。

  2. レバレッジリスク:編集部はレバレッジ10倍で運用しているが、10倍では価格が約10%逆行すると証拠金が理論上ゼロになる。初心者はまず現物または低レバレッジから始めるべきだ。

  3. LLMの不確実性:Claude Codeの判断は確率的で、同じ状況でも同じ判断を返す保証はない。執行ルールをコードで固定し、判断のブレが致命傷にならない構造にする必要がある。

  4. 技術的障害リスク:API障害、ネットワーク断、PCの再起動などでbotが止まる可能性がある。watchdogと通知、そして「botが止まったら建玉はどうなるか」の想定を必ずしておく。

  5. オンチェーン特有のリスク:ウォレットの秘密鍵の漏えいは全資産の喪失に直結する。またガス代という固定コストが小口運用の収益性を大きく削る。

  6. 海外取引所リスク:前章のとおり、金融庁未登録・出金制限・サービス終了のリスクがある。資金の大半を海外に置かない。

  7. 税務リスク:暗号資産の損益は原則として雑所得として総合課税の対象になり、取引回数が多いbot運用は損益計算が複雑になる。履歴の保存を自動化し、詳細は税理士など専門家に相談を。

  8. 過剰最適化リスク:過去データに合わせて設定値を調整しすぎると、将来の相場で機能しなくなる。編集部が設定値の根拠を「失敗の改善」に置いているのはこのためだ。

  9. セキュリティリスク:APIキーや秘密鍵をコードに直書きしたり、公開リポジトリに誤って push したりする事故は後を絶たない。キーは環境変数や専用の秘匿ファイルに置き、取引所側でAPIキーのIP制限と出金権限の無効化を必ず設定する。bot用のAPIキーに出金権限は不要であり、権限を絞っておけば万一漏えいしても被害は取引に限定できる。

稼働前チェックリスト

実際に資金を入れる前に、最低限次の項目を確認してほしい。

  • 余剰資金の範囲内で、建玉下限と手数料負けの計算を済ませたか
  • 損切り・利確・サイズ制限が、エージェントに上書きされないコードとして固定されているか
  • 発注結果を実データで照合するwatchdogと、全判断のログが動いているか
  • 緊急停止の手順(新規停止・監視継続)を実際に一度テストしたか
  • 国内取引所の口座を資金経路のハブとして確保したか
  • 取引履歴のエクスポートと損益計算の段取りを決めたか
  • APIキーの権限を取引のみに絞り、IP制限を設定したか
  • 設定値(レバレッジ・利確・損切り・建玉下限)を数値で明文化したか

まとめ

Claude Codeを使えば、仮想通貨の自動売買botは「日本語で戦略を書ける人」なら誰でも構築できる時代になった。ただし編集部の3カ月・実現損益約マイナス21ドルという実績が示すとおり、動くことと勝てることは別問題である。価値があったのは損益そのものではなく、「建玉下限の導入」「早期損切りの廃止とトレーリング化」「watchdogによる実データ照合」という3つの構造改善を、小さい授業料で学べたことだ。これから始める人は、まず国内取引所の口座と少額の余剰資金で同じ構造(判断と執行の分離・設定ファイル一元化・実データ照合・止めても監視継続)を作り、小さく失敗しながら育てていくことをおすすめする。口座開設やAPI設定のより詳しい手順は、当サイトの手順記事で画面付きで解説している。

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