仮想通貨取引所の日本国内一覧とは、資金決済法にもとづき金融庁(財務局)へ「暗号資産交換業者」として登録した事業者を、登録番号順に並べたリストである。日本国内で法人・個人向けに暗号資産の売買や交換、その媒介を業として行えるのはこの一覧に載っている事業者だけであり、載っていない事業者は原則として無登録営業にあたる。

金融庁が公表する最新の登録一覧(2026年6月30日現在)に掲載されている暗号資産交換業者は全26社。内訳は関東財務局長登録が24社、近畿財務局長登録が2社である。本記事ではこの26社を登録番号・登録年月日つきで全件掲載したうえで、登録番号の確認手順、主要取引所の比較、2026年に進行中の金融商品取引法への移管、未登録業者のリスクまでを一気に整理する。

仮想通貨取引所の日本国内一覧とは|金融庁登録が唯一の客観基準

「国内取引所は何社あるのか」「どこが正規の業者なのか」を判断するとき、広告の露出量や知名度は基準にならない。唯一の客観基準は、金融庁が公表する暗号資産交換業者登録一覧に社名と登録番号が載っているかどうかである。

法律上の呼び名は「暗号資産交換業者」

一般には「仮想通貨取引所」「暗号資産取引所」と呼ばれるが、法令上の呼称は暗号資産交換業者である。資金決済法は、暗号資産の売買・交換、その媒介や取次ぎ、利用者の金銭や暗号資産の管理を業として行う行為を「暗号資産交換業」と定義し、内閣総理大臣(実務上は金融庁および各財務局)の登録を受けなければ行えないと定めている。

したがって「仮想通貨業者 一覧」「仮想通貨取引所 日本 一覧」といった検索の答えは、実質的に金融庁の暗号資産交換業者登録一覧そのものになる。

一覧を見るときに最初に確認する3点

  • 登録番号(例:関東財務局長 第00003号)が付いているか
  • 登録年月日が記載されているか
  • 登録している財務局(関東・近畿など、本店所在地により所管が分かれる)

この3点がそろっていれば、少なくとも登録業者としての形式要件は満たしている。逆に、社名だけを列挙して登録番号を示さない業者リストは、一覧としての信頼性が低い。

「登録済み」は値上がりの保証ではない

金融庁の一覧には注記があり、登録一覧に記載された暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産について、金融庁は「資金決済法上の定義に該当することを確認したにすぎず、その価値を保証するものではない」と明記している。登録は利用者保護の枠組みに入っているかどうかを示すものであって、銘柄の将来価格や事業の成功を担保するものではない。

【2026年7月時点】金融庁登録の暗号資産交換業者一覧(全26社)

以下は金融庁公表資料(2026年6月30日現在)にもとづく登録業者の全件一覧である。登録番号は取得順に採番されるため、番号が飛んでいるのは廃業・合併・登録抹消により一覧から外れた事業者があるためである。

関東財務局長登録(24社)

登録番号 登録年月日 暗号資産交換業者名 主なサービス名・補足
関東財務局長 第00001号 2017年9月29日 株式会社マネーパートナーズ FX大手。取扱いはBTC中心
関東財務局長 第00002号 2017年9月29日 株式会社Custodiem 旧QUOINE→旧FTX Japan。bitFlyerグループでカストディ主体
関東財務局長 第00003号 2017年9月29日 株式会社bitFlyer bitFlyer/bitFlyer Lightning
関東財務局長 第00004号 2017年9月29日 ビットバンク株式会社 bitbank。全銘柄で板取引
関東財務局長 第00006号 2017年9月29日 GMOコイン株式会社 GMOコイン。GMOインターネットグループ
関東財務局長 第00007号 2017年9月29日 ビットトレード株式会社 BitTrade。旧Huobi Japan
関東財務局長 第00008号 2017年9月29日 BTCボックス株式会社 BTCBOX。老舗の板取引所
関東財務局長 第00011号 2017年12月1日 SBI VCトレード株式会社 SBI VCTRADE/BITPOINT(2026年4月にビットポイントジャパンを吸収合併)
関東財務局長 第00012号 2017年12月1日 FINX JCrypto株式会社 法人・提携向け中心
関東財務局長 第00013号 2017年12月26日 COINHUB株式会社 取扱いはBTC
関東財務局長 第00014号 2019年1月11日 コインチェック株式会社 Coincheck。マネックスグループ
関東財務局長 第00015号 2019年3月25日 楽天ウォレット株式会社 楽天ウォレット。楽天グループ
関東財務局長 第00016号 2019年3月25日 S.BLOX株式会社 旧DMM Bitcoin系列とは別、SBIグループ
関東財務局長 第00018号 2019年11月27日 Gate Japan株式会社 2026年6月時点で取扱暗号資産なし
関東財務局長 第00020号 2020年3月30日 オーケーコイン・ジャパン株式会社 OKJ。取扱銘柄数が多い部類
関東財務局長 第00023号 2020年9月23日 OSL Japan株式会社 機関投資家向け
関東財務局長 第00024号 2021年2月17日 株式会社デジタルアセットマーケッツ DAM。法人向け
関東財務局長 第00025号 2021年2月17日 株式会社マーキュリー コインパートナー系
関東財務局長 第00026号 2021年4月16日 BACKSEAT暗号資産交換業株式会社 旧株式会社coinbook(2025年4月商号変更)
関東財務局長 第00027号 2021年6月18日 HashKey Japan株式会社 取扱いはBTC・ETH
関東財務局長 第00028号 2021年6月18日 Coinbase株式会社 2026年6月時点で取扱暗号資産なし
関東財務局長 第00029号 2021年6月29日 株式会社Crypto Garage デジタルガレージ系。法人間取引
関東財務局長 第00030号 2022年6月17日 株式会社メルコイン メルカリ内の暗号資産取引
関東財務局長 第00031号 2022年10月14日 Binance Japan株式会社 国内法人として登録済み(海外本体とは別法人)

近畿財務局長登録(2社)

登録番号 登録年月日 暗号資産交換業者名 補足
近畿財務局長 第00001号 2017年9月29日 株式会社Zaif 旧テックビューロ→カイカエクスチェンジからの事業承継
近畿財務局長 第00004号 2021年6月18日 株式会社ガイア 大阪市中央区

2025年の28社から2026年の26社へ|減少の理由

金融庁の一覧は毎年更新されており、2025年6月30日現在は28社だった。2026年6月30日現在は26社で、1年で2社減っている。国内取引所の社数は増え続けているわけではなく、統合と撤退で緩やかに集約が進んでいるのが実態である。

代表的な動きが、SBI VCトレード株式会社による株式会社ビットポイントジャパンの吸収合併だ。両社は2026年1月30日に合併を決議し、2026年4月1日を効力発生日として合併した。これによりビットポイントジャパンの利用者との契約関係はSBI VCトレードへ承継され、BITPOINTブランドは当面維持されつつ、登録上は1社に統合された。合併前にBITPOINTが保有していた関東財務局長 第00009号は、2026年6月30日時点の一覧には存在しない。

同様に、2024年5月の不正流出を受けて事業を廃止したDMM Bitcoinも一覧から消え、顧客資産はSBI VCトレードへ移管されている。「昔の記事で見た一覧」がそのまま通用しないのは、この入れ替わりがあるためだ。

暗号資産交換業者の登録番号の読み方と自分で確認する手順

登録番号は業者の身元を照合するための最短の手がかりである。読み方と確認手順を押さえておけば、詐欺的な「自称取引所」を数分で見抜ける。

登録番号のフォーマット

登録番号は「〔財務局名〕財務局長 第000◯◯号」という形式をとる。財務局は本店所在地で決まり、東京に本店を置く事業者は関東財務局、大阪なら近畿財務局が所管する。番号は登録受理順の連番で、若い番号ほど2017年の制度開始直後に登録した古参にあたる。

なお、同じ「第00001号」でも関東財務局長と近畿財務局長では別の事業者を指す。マネーパートナーズ(関東財務局長 第00001号)とZaif(近畿財務局長 第00001号)が同じ番号を持つのはこのためで、財務局名まで含めて初めて一意の識別子になる

確認手順(4ステップ)

  1. 金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」から暗号資産交換業者のPDFを開く
  2. 一覧の右上にある基準日(例:令和8年6月30日現在)と全業者数を確認する
  3. 利用しようとしている取引所の運営会社の法人名(サービス名ではない)で検索する
  4. 登録番号・法人番号・本店所在地が、その取引所の公式サイト末尾の表記と一致するか突き合わせる

サービス名と法人名が一致しないケースは多い。Coincheckの運営はコインチェック株式会社、bitbankはビットバンク株式会社、BitTradeはビットトレード株式会社、BITPOINTは合併後のSBI VCトレード株式会社である。サービス名だけで探すと「一覧にない=無登録」と誤判定しやすいので、必ず法人名で照合する。

一覧に載っていない業者に出会ったときの判断

一覧に載っていない事業者から日本語で口座開設を勧誘された場合、次のいずれかである可能性が高い。

  • 日本居住者向けにサービス提供している無登録の海外業者
  • 交換業に該当しない別業態(情報配信、ウォレットのみ、など)を装っているケース
  • 実体のない詐欺サイト

財務局は「無登録で暗号資産交換業を行っている者に対する警告」も公表しており、警告対象の一覧は財務局サイトで確認できる。勧誘の入口がSNSのDM・マッチングアプリ・投資グループチャットである場合は、まず一覧照合を行うのが鉄則だ。

主要な国内取引所の比較|取引形態と運営基盤

登録26社のうち、個人向けに現物取引の口座を広く提供している事業者は限られる。ここでは代表的な取引所を、取引形態と運営基盤の観点で比較する。

取引所 運営会社 登録番号 主な取引形態 運営基盤の特徴
bitFlyer 株式会社bitFlyer 関東財務局長 第00003号 販売所+板(Lightning) 2014年創業。国内最古参の一つ
bitbank ビットバンク株式会社 関東財務局長 第00004号 全取扱銘柄で板取引 板の流動性重視。アルト取引に強い
GMOコイン GMOコイン株式会社 関東財務局長 第00006号 販売所+板+レバレッジ GMOインターネットグループ(東証プライム)
BitTrade ビットトレード株式会社 関東財務局長 第00007号 販売所+板 取扱銘柄数が国内でも多い部類
SBI VCTRADE/BITPOINT SBI VCトレード株式会社 関東財務局長 第00011号 販売所+板 SBIホールディングス傘下。2026年4月にBITPOINTと合併
Coincheck コインチェック株式会社 関東財務局長 第00014号 販売所中心+板(BTC) マネックスグループ傘下。アプリの利用者数が多い
楽天ウォレット 楽天ウォレット株式会社 関東財務局長 第00015号 販売所 楽天キャッシュ連携
OKJ オーケーコイン・ジャパン株式会社 関東財務局長 第00020号 販売所+板 取扱銘柄数が多い
メルコイン 株式会社メルコイン 関東財務局長 第00030号 販売所 メルカリ売上金からの購入導線

※取扱銘柄数・手数料体系・提供サービスは頻繁に改定される。数値の比較は各社公式サイトの最新表記で確認すること(2026年7月時点の整理)。

販売所と取引所(板)の違いがコストに効く

販売所は運営会社が提示する価格で売買する形式で、売値と買値の差(スプレッド)が実質的なコストになる。板取引(取引所形式)は利用者同士の注文をマッチングする形式で、取引手数料は明示されるがスプレッドは市場が決める。

同じ銘柄でも、販売所と板でトータルコストが変わるため、一覧から取引所を選ぶ段階で「自分が使うのは販売所か板か」を先に決めておくと比較が単純になる。積立で月数千円ずつ買うなら販売所の簡便さが利き、金額が大きくなるほど板の有無が効いてくる。

運営母体の資本基盤という見方

登録の有無は最低条件であり、その先の差は運営母体の資本基盤に出る。GMOコイン(GMOインターネットグループ)、SBI VCトレード(SBIホールディングス)、Coincheck(マネックスグループ)、楽天ウォレット(楽天グループ)、メルコイン(メルカリ)のように上場企業グループに属する事業者は、財務情報の開示水準とグループからの資本支援の見通しが立ちやすいという違いがある。

一方で、グループの規模がそのままセキュリティ水準を意味するわけではない。後述するDMM Bitcoinの事例は、大手グループ傘下でも外部委託先経由で侵入されうることを示している。

金融庁登録の業者に課される利用者保護の仕組み

登録業者が無登録業者と決定的に違うのは、破綻・流出が起きたときの前提条件である。主な義務は以下のとおり。

分別管理と金銭の信託

登録業者は、自己の財産と利用者の財産を分別して管理しなければならない。とくに利用者から預かった金銭は信託銀行または信託会社への信託が義務づけられており、交換業者が破綻しても信託財産として保全される建付けになっている。

コールドウォレット95%以上と履行保証暗号資産

利用者から預かった暗号資産は、原則として95%以上をコールドウォレット(常時インターネットに接続されていない環境)で管理する必要がある。

さらに、出金対応などのためにホットウォレットへ置く残りの部分については、同種・同量の暗号資産を交換業者自身が「履行保証暗号資産」として保有し、コールドウォレットで分別管理する義務がある。これは2019年の資金決済法改正で導入された規制で、ホットウォレットが破られても利用者への弁済原資が別途確保される設計だ。

本人確認(KYC)と犯罪収益移転防止法

口座開設時には、運転免許証やマイナンバーカードによる本人確認が必須である。これは犯罪収益移転防止法にもとづく義務で、マネーロンダリング・テロ資金供与対策の中核をなす。

トラベルルール

2023年6月1日から、暗号資産の送付にあたって送付人・受取人の情報を送付先の交換業者へ通知する「トラベルルール」が施行されている。国内の登録業者間の送付は原則としてこの通知の対象で、対応状況によっては送付できない外部アドレスがある。海外の未対応業者へ送ろうとして送金が拒否される、という事態はここに起因する。

広告・勧誘規制と苦情処理体制

登録業者には、誤解を生む広告の禁止、リスクの説明義務、苦情処理・紛争解決の枠組みへの対応が課される。トラブル時に金融ADR(裁判外紛争解決手続)や監督当局を通じた申し出ができる点は、無登録業者との実務上の大きな差である。

2026年の制度変更|資金決済法から金融商品取引法へ

一覧そのものの位置づけを変えうる制度改正が、いま進行している。

改正法案の中身

金融庁は2026年4月10日、「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」を国会に提出した。中核は、暗号資産の取引規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移管することにある。業態の名称も「暗号資産交換業」から「暗号資産取引業」へ改められる方向で、開示義務・業規制が強化される。

この方向性は、金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」が2025年12月10日に公表した報告書で示された論点を法制化したものだ。

インサイダー取引規制の新設

改正では、上場有価証券の枠組みを参考に、「特定暗号資産」を対象としたインサイダー取引規制が新設される。違反には5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科という罰則が想定されている。上場・上場廃止や重大なシステム障害といった未公表情報を使った売買が明確に禁止される点は、市場構造に影響する。

20%申告分離課税の見通し

税制面では、2026年3月31日に所得税法等の改正法が成立・公布され、暗号資産取引の所得を申告分離課税の対象とする規定が盛り込まれた。適用は上記の金商法改正法の成立・施行を条件とする建付けである。実現すれば、現行の雑所得(総合課税、住民税込みで最大約55%)から、株式やFXと同様の**一律20%(復興特別所得税を含めると20.315%)**へ変わる。

ただし施行時期・適用開始年・損益通算や繰越控除の範囲は制度設計に依存する。個別の申告可否は必ず税理士など専門家に相談してほしい。海外業者を併用している場合の扱いは特に複雑になりやすく、海外取引所の税金の整理も併せて確認しておきたい。

一覧そのものが変わる可能性

金商法へ移管されれば、登録番号の体系や所管の枠組みが変わる可能性がある。加えて、規制強化は参入コストの上昇を意味するため、2026年4月のSBI VCトレードとビットポイントジャパンの合併のような再編が続くことも想定される。一覧は「その時点のスナップショット」として扱い、口座開設のたびに最新版を確認するのが安全だ。

取引所の選び方チェックリスト

一覧から実際に使う1〜2社へ絞り込むための確認項目をまとめる。

  • 金融庁の登録一覧(最新の基準日)で運営会社名と登録番号を照合した
  • 公式サイト末尾の登録番号表記が一覧と一致している
  • 自分が購入したい銘柄が取扱いにあるか確認した
  • 販売所のみか、板取引があるかを確認した
  • 日本円の入金・出金の手数料と所要時間を確認した
  • 二段階認証(2FA)とアンチフィッシングコードの有無を確認した
  • 過去のインシデント履歴と、その後の補償・体制刷新の有無を調べた
  • 問い合わせ窓口の種類(チャット/メール/電話)と対応時間を確認した
  • 取引履歴のCSVダウンロードなど、確定申告に必要な出力が可能か確認した

目的別の絞り込み方

少額の積立から始める場合は、販売所の操作が簡単で入金導線が短い取引所が扱いやすい。銘柄数よりも、毎月の自動積立が設定できるかを優先する。

現物の取引コストを詰めたい場合は、板取引に対応している取引所を選ぶ。同じ銘柄でも板があるかどうかで実効コストが変わるため、複数口座を開いて使い分ける実務が一般的だ。

プログラムで自動売買まで視野に入れる場合は、APIの提供状況とレート制限が選定条件になる。国内取引所のAPIを使った運用の考え方は仮想通貨の自動売買GMOコインのAPIトレードにまとめている。

口座開設の手順|登録確認から入金まで

  1. 登録一覧で照合する。使いたい取引所の運営会社名を金融庁の一覧で検索し、登録番号を確認する
  2. 公式サイト・公式アプリからアクセスする。検索広告や外部リンクではなく、ブックマークまたは公式アプリストアの配信元を経由する
  3. メールアドレスとパスワードを登録する。パスワードは他サービスと使い回さず、16文字以上のランダム文字列を推奨

  1. 本人確認(KYC)を行う。マイナンバーカードまたは運転免許証と、顔写真の撮影による「かんたん本人確認」に対応している取引所が多く、最短で即日〜翌営業日に完了する
  2. 二段階認証を必ず有効化する。SMSよりも認証アプリ(Google AuthenticatorやAuthy)が推奨される。設定時に表示されるリカバリーコードは紙に控えてオフラインで保管する
  3. 日本円を入金する。銀行振込のほか、クイック入金に対応する取引所もある。入金元の銀行口座は本人名義であることが必須

  1. 少額でテスト注文を出す。数百円〜数千円で1回売買し、注文画面・約定履歴・手数料の表示を確認する
  2. 出金テストまで行う。日本円を少額出金し、着金までの日数と手数料を実測しておく。ここまでやって初めて「使える口座」になる

  1. 確定申告用の履歴出力を確認する。年間取引報告書やCSVがどこからダウンロードできるかを、口座開設直後に把握しておく

なお、複数口座を開くこと自体に制限はない。板取引用と積立用で使い分ける、障害時の代替として2社目を用意する、といった運用が一般的である。

競合比較|登録業者は何と比べて何が違うのか

対 未登録の海外暗号資産取引所

日本居住者向けにサービスを提供しながら金融庁登録を受けていない海外業者は、無登録営業として財務局の警告対象になりうる。利用者側から見た差は次の3点に集約される。

  • 破綻・流出時の弁済原資が制度で担保されていない(分別管理・信託・履行保証暗号資産の義務が及ばない)
  • 紛争解決の枠組みが日本にない。準拠法と裁判管轄が海外になり、実効的な救済が難しい
  • サービス停止リスク。規制対応の都合で日本居住者向け機能が予告なく縮小されうる

なお、Binanceのように日本国内で別法人を設立し、国内登録を取得して営業しているケースもある(Binance Japan株式会社/関東財務局長 第00031号)。「海外ブランド=無登録」ではなく、利用する法人が一覧に載っているかで判断する必要がある。海外業者を使う場合のリスク整理はAIトレードのリスクでも触れている。

対 第一種金融商品取引業者(証券会社)

株式やFXを扱う第一種金融商品取引業者は、金商法にもとづく登録で、投資者保護基金による補償(一般顧客につき1,000万円まで)の枠組みがある。一方、暗号資産交換業者には投資者保護基金に相当する補償制度がない。分別管理と履行保証暗号資産が代替的な保護になっているが、性質が異なる点は理解しておきたい。

前述のとおり2026年の改正で暗号資産取引は金商法の枠組みへ移管される方向だが、投資者保護基金の対象になるかは別論点である。

対 米国MSB登録・海外ライセンス業者

海外業者のサイトで「米国FinCENのMSB登録済み」「エストニア/セーシェルのライセンス保有」といった表示を見かけることがある。これらは日本の暗号資産交換業登録とは無関係で、日本居住者に対する資金決済法上の保護を与えるものではない。MSB登録はマネロン対策上の届出制度であり、顧客資産の分別管理義務を日本法と同等に課すものではない。

「何らかのライセンスがある」ことと「日本で登録されている」ことは別の話である、と切り分けて読むのが安全だ。

対 DEX(分散型取引所)・自己管理ウォレット

DEXや自己管理ウォレットは、そもそも交換業者に資産を預けない。カウンターパーティリスクは消えるが、秘密鍵の紛失・誤送金・コントラクトの脆弱性はすべて自己責任になる。登録業者のような分別管理も補償も存在しない。

一方で、登録業者に預けたままにするとハッキングと事業リスクを引き受けることになる。長期保有分はハードウェアウォレットへ、売買に使う分は登録業者へ、と役割を分ける運用が現実的である。

リスクと注意点|過去の流出事件と実務上の落とし穴

登録業者でも起きた主要インシデント

Coincheck(2018年1月26日):ホットウォレットから5億2,300万XEM(当時のレートで約580億円相当)が不正送金された。同社は1月28日、保有者約26万人に対し1XEM=88.549円で計算した約463億円を日本円で返金すると発表し、補償を完了している。マルチシグ未対応かつホットウォレット管理だったことが原因とされる。

Zaif(2018年9月):不正アクセスによりBTC・BCH・MONAが流出。当初67億円相当と報じられ、最終的に約70億円相当(うち顧客預かり分約45億円)と判明した。運営はテックビューロからカイカエクスチェンジへ事業承継され、現在は株式会社Zaifが近畿財務局長 第00001号で登録している。

BITPOINT(2019年7月):ホットウォレットで管理していたBTC・BCH・ETH・LTC・XRPが流出し、被害総額は当時レートで約35億円(利用者預かり分約25億円、自社保有分約10億円)。補償対応後にセキュリティ体制を刷新し、2026年4月にSBI VCトレードへ統合された。

DMM Bitcoin(2024年5月31日):**4,502.9BTC(当時のレートで約482億円相当)**が不正流出した。警察庁と米FBIは2024年12月24日、北朝鮮関連のハッカー集団「TraderTraitor」の関与を特定したと発表している。侵入経路は、暗号資産の出入金業務を受託していたGinco社の従業員がSNS経由の偽採用勧誘でマルウェアに感染したものとされる。同社はDMMグループの支援を受けて総額550億円規模を調達し全量を保証したうえで、2024年12月2日に資産譲渡完了と廃業を発表。顧客口座はSBI VCトレードへ移管された。

これらの事例から読み取るべきは、**「登録業者だから流出しない」ではなく「登録業者だから補償の建付けと監督の目がある」**ということである。実際、上記4件はいずれも顧客への補償が実施されている。

番号付きリスク一覧

  1. ハッキングリスクはゼロにならない。95%コールドウォレット義務があっても、外部委託先や運用フローの脆弱性から侵入されうる(DMM Bitcoinの事例)
  2. 補償が常に保証されているわけではない。過去の事例では補償が行われたが、法律上、流出時の全額補償が義務づけられているわけではない
  3. 事業撤退・合併による移管。登録一覧は毎年変動する。口座が別会社へ移管された場合、取扱銘柄やサービス条件が変わることがある
  4. 価格変動リスク。暗号資産は法定通貨ではなく、価値の裏づけがない。短期間で大幅に下落しうる
  5. 利用者側の管理不備。二段階認証の未設定、パスワード使い回し、フィッシングサイトでの入力による被害は、取引所の責任範囲外になりやすい
  6. 税務の複雑さ。2026年時点では雑所得・総合課税が原則で、申告分離課税への移行は改正法の成立・施行が条件。複数口座や海外業者を併用すると計算が煩雑になるため、税理士への相談を推奨する
  7. 無登録業者・詐欺サイトへの誘導。SNSのDM、投資グループ、恋愛感情を装った勧誘(ロマンス詐欺)から偽取引所へ誘導される被害が続いている。登録一覧での照合を必ず先に行う
  8. システム障害と流動性。相場急変時にサーバー障害や約定遅延が起きることがある。1社に依存しない口座構成が現実的なリスク分散になる
  9. 法規制の変更。2026年の金商法移管により、取扱可能な銘柄やレバレッジ条件、業務範囲が変わる可能性がある

当編集部では国内取引所のAPIを使った運用検証を継続しており、その記録はAIトレードの運用実績で公開している。裁量・自動を問わず、口座は複数持ったうえで少額から実測するのが結局いちばん確実だった、というのが率直なところである。

まとめ|一覧の照合を起点に、2社から始める

  • 日本で暗号資産の売買を業として行えるのは、金融庁の暗号資産交換業者登録一覧に載る事業者だけであり、2026年6月30日時点で全26社(関東財務局長24社、近畿財務局長2社)である
  • 登録番号は「〔財務局名〕財務局長 第000◯◯号」の形式で、財務局名まで含めて一意になる。照合はサービス名ではなく運営会社の法人名で行う
  • 登録業者には分別管理・金銭の信託・コールドウォレット95%以上・履行保証暗号資産・KYC・トラベルルールが課されており、これが未登録業者との決定的な差になる
  • 2025年の28社から2026年の26社へ減っているのは、SBI VCトレードとビットポイントジャパンの2026年4月1日合併など、再編が進んでいるためである
  • 2026年4月10日に金商法・資金決済法の改正法案が国会提出され、インサイダー取引規制の新設と20%申告分離課税への移行が視野に入っている

実務としては、一覧で照合 → 2社に口座を開く → 少額で売買と出金までテストするという順番が最も失敗が少ない。銘柄選びや相場観はその後の話で、まず土台になるのは「登録された事業者を使っている」という一点である。最新の登録状況は金融庁および各社公式サイトで必ず確認し、税務・法務の個別判断は専門家へ相談してほしい。