ビットコインは2026年7月31日時点で24時間ベース2.97%安の6万2,878ドルまで値を落とし、イーサリアムも1,860ドル台へ3%超下落した。引き金はコインベースの決算失望とFOMCでのタカ派反対の余韻、そしてDeribitで急増する「6万ドルプット」への資金集中——8月相場への警戒が一気に表面化した格好だ。AIセクターも時価総額220億ドル台で軟調が続くが、Bittensor(TAO)だけが底堅さを保っている。

いま相場で何が起きているか

2026年7月31日時点の主要指標は以下の通り。ビットコインは6万2,878ドル(24h -2.97%)、イーサリアムは1,860.04ドル(同-3.34%)、ソラナは73.04ドル(同-2.0%)といずれも下落。仮想通貨全体の時価総額は2兆2,433億ドルで24hで-2.35%、BTCドミナンスは56.23%だった。一方で24h出来高は655億ドルと前日比+11.35%に増えており、方向感を欠いたまま売買が活発化している。

AIセクターの時価総額は220億7,766万ドル(24h -1.03%)、より規模の小さいAIエージェント区分は31億5,413万ドル(同+0.76%)。個別ではTAOが193.56ドル(同+0.48%)と唯一のプラス圏、FETは0.1403ドル(同-2.66%、週間では-14%前後)、NEARは1.66ドル(同-1.50%)、RENDERは1.37ドル(同-3.21%)とそろって軟調だった。

何がこの動きを作ったか

最大の材料はコインベース(COIN)の2026年第2四半期決算だ。売上高は12億ドルと市場予想の13億ドルに届かず、取引収益も5億9,900万ドルと予想6億3,600万ドルを下回った。純損失は3億5,950万ドル(1株あたり1.36ドル)に達し、3四半期連続で市場予想を下回る結果となった。サブスクリプション・サービス収益は純収益の48%を占める過去最高の5億5,500万ドルまで拡大し多角化は進んでいるものの、取引収益の落ち込みを埋めるには至らず、決算発表後は暗号資産関連株全般に売りが波及した。取引高シェア自体は10.3%と過去最高を更新しており、事業基盤の悪化というより「市場全体の取引低迷」を映した数字である点には留意が必要だ。

加えて、7月29日のFOMCでは政策金利3.50〜3.75%を5会合連続で据え置いたものの、投票は9対3で、ハマック・カシュカリ・ローガンの3人の地区連銀総裁が利上げを主張する異例のタカ派反対を投じた。据え置き自体は市場の予想通りだったが、このタカ派反対が生んだ不透明感が尾を引いている。

さらにStrategy(旧MicroStrategy)は6月29日〜7月5日にかけて3,588BTC(約2億1,600万ドル相当)を売却し、保有高を84万3,775BTCへ縮小した。優先株配当の原資確保が目的とされるが、長年掲げてきた「絶対に売らない」方針からの転換と受け止められ、心理的な重しとなった。中東ではイラン関連の緊張(ホルムズ海峡でのタンカー攻撃報道)が伝わり原油価格が上昇、ドル高とリスク回避ムードも重なった。

過去の類似局面との比較

今回とりわけ目立つのが、Deribitにおける「6万ドルプット」への資金集中だ。想定元本ベースの建玉は1億1,700万ドルに達し、同取引所で最も人気のある取引となった。背景には季節性データがある。2013年以降の統計では、7月のビットコイン中央値リターンは+8.61%であるのに対し、8月の中央値リターンは-7.51%とマイナスに転じる傾向が確認されている。実際に今回の7月はBTCが月間で+4.3%〜+8.9%(集計方法により差)のプラスで着地しており、「プラスの7月の後にマイナスの8月が来る」というアノマリーへの警戒が、下落が始まる前からヘッジ需要として先回りで積み上がっていた点が特徴的だ。過去にも大幅高の翌月に急速な調整が入った局面はあったが、今回はその再現を見越したポジションが事前に形成されている点で異なる。

資金はどこへ動いているか

BTCドミナンスは56.23%で大きくは動いておらず、資金が特定セクターへ明確に回転している様子は見られない。AIセクターはFET・NEAR・RENDERが軒並みマイナス圏で、資金の受け皿にはなれていない。唯一、規模の小さいAIエージェント区分(+0.76%)とTAO(+0.48%)が踏みとどまっており、TAOは8月に予定されるGrayscale・BitwiseによるETF審査を控えた思惑買いが下値を支えているとみられる。出来高が+11.35%と急増している点は、売り買い双方が神経質に反応していることを示しており、方向性が定まるにはもう一段の材料待ちの状態だ。特にコインベース株のような暗号資産関連の上場株の値動きが仮想通貨本体のセンチメントに波及しやすくなっている構図は、機関投資家の資金が現物とエクイティの両建てで動いていることの表れとも読める。

注目銘柄と価格水準

ビットコインは6万2,800〜6万3,000ドル圏で推移。下値ではDeribitのプットが集中する6万ドル、上値では7月に付けた6万5,000ドル台が節目として意識される。Bittensor(TAO)は193ドル台で推移しており、184〜192ドル圏の下値サポートを維持できるかが焦点。8月のETF審査結果が次の材料になるとみられる。コインベース(COIN)は暗号資産市場全体のセンチメントに直結する銘柄として、決算後の株価の戻り具合が投資家心理のバロメーターとして注目されている。国内取引所ではBTC・ETHは幅広く取り扱われている一方、TAOやRENDERなど一部のAI関連銘柄は取扱いが限定的なため、購入を検討する場合は各取引所の取扱銘柄一覧を事前に確認する必要がある。

想定されるシナリオとリスク

上振れシナリオとしては、コインベースの決算悪材料が出尽くしとして消化され、FOMCの不透明感も後退すれば、6万ドルプットの解消に伴うショートカバーを伴ってビットコインが6万5,000ドル台を再び試す展開が考えられる。下振れシナリオとしては、8月アノマリー通りの調整が現実化し、Deribitの6万ドルプットの権利行使が近づくにつれてヘッジのアンワインドがかえって売り圧力を強める可能性がある。中東の地政学リスクが悪化すれば、さらに下押し材料が加わる。いずれの場合もAIセクターは全体地合いへの連動が強く、TAOについては8月中のETF審査結果が個別の分岐点になりそうだ。

まとめ

ビットコイン・イーサリアムともに3%前後の下落となった背景には、コインベースの決算未達、FOMCでのタカ派反対の余韻、Strategyの売却方針転換という複数の悪材料が重なったことがある。Deribitでの6万ドルプット建玉の急増は、8月アノマリーへの警戒が具体的なポジションとして可視化された結果と言える。AIセクターは全体的に軟調ななか、8月のETF審査を控えたTAOのみが底堅さを保っており、今後の材料として引き続き注目される。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。