Perp DEXとは:自分のウォレットで無期限先物を取引できる分散型取引所

Perp DEX(パーペチュアルDEX)とは、満期のない先物=無期限先物(パーペチュアル)を、取引所に資産を預けず自分のウォレットから取引できる分散型取引所です。「DEX 先物」と呼ばれることもあります。

取引の中身は、海外の取引所(CEX)の先物とほぼ同じです。ロングとショートを選び、証拠金にレバレッジをかけ、ロングとショートの間で資金調達率(FR)をやり取りします。違うのは、資産を誰が持っているかと、注文を誰が処理しているかです。

使い分けの結論を先に書きます。エアドロップ(独自トークンの無料配布)を狙う、または資産を自分で管理したいならPerp DEX。値動きを取るだけで、日本語サポートや入出金の手軽さを重視するならCEX先物が向いています。

DEXの使い方の記事一覧はDEX・Perp DEXのまとめ、海外取引所全体の選び方は海外取引所の選び方と比較にまとめています。本記事では、その中でも「DEXとCEXのどちらで先物をやるか」に絞り、実測データで比べます。

無期限先物と資金調達率の基本

無期限先物は満期日がないため、そのままでは現物価格から離れていきます。そこで先物が現物より高ければロングがショートに払い、安ければショートがロングに払う資金調達率で、価格を現物に引き寄せます。

CEX先物の多くは8時間ごとに精算しますが、Hyperliquidは1時間ごとに8時間レートの8分の1を精算する仕様です。金利部分は8時間あたり0.01%に固定されており、相場が中立でもロングが少しずつ払う設計です。FRの見方は資金調達率(ファンディングレート)の解説で詳しく扱います。

オーダーブック型とAMM(プール)型

Perp DEXには大きく2つの方式があります。1つはCEXと同じく指値注文を板に並べるオーダーブック型で、Hyperliquid・Lighter・Aster・edgeX・dYdXがこちらです。

もう1つは、流動性提供者が預けた資金のプールを相手に、外部の価格(オラクル)で約定するAMM(プール)型です。代表はGMXで、GMXの公式ドキュメントは板や外部のマーケットメイカーに頼らず、Chainlinkのオラクル価格で注文を処理すると説明しています。

オーダーブック型は指値で細かく売買でき、板が厚ければ大口でも滑りにくいのが利点です。プール型は板の厚さを気にせず約定できる一方、ポジションの偏りに応じた手数料や価格の調整がかかります。

CEX先物との根本的な違いは「資産の保管者」

CEX先物では、取引所の運営会社が利用者の資産を預かります。口座を開くには本人確認(KYC)が必要で、運営会社が出金を止めたり、国ごとにサービスを閉じたりすることができます。

Perp DEXでは、資産はスマートコントラクトや専用チェーン上にあり、秘密鍵を持つ本人しか動かせません。その代わり、秘密鍵をなくせば誰も取り戻せず、コントラクトの不具合も自分で負うことになります。

主要Perp DEX 6つの比較表(2026年10月4日確認)

主要6つを、取引量・建玉・最大倍率・手数料・チェーン・トークンで並べました。取引量はCoinGeckoのデリバティブ取引所一覧の公開APIで取得した24時間値を、同時刻のBTC価格(約8万5,300ドル)でドルに換算した値です。

建玉はDefiLlamaの建玉(Open Interest)集計の公開APIの値です。取得は2026年10月4日21時ごろ(日本時間)で、日曜のため平日より取引量は少なめに出ています。

DEX 方式 チェーン 24時間取引量 建玉 BTC最大倍率 手数料(テイカー/メイカー) トークン
Hyperliquid オーダーブック 独自L1 約23.4億ドル 約83.7億ドル 40倍 0.045%/0.015% HYPE
Lighter オーダーブック 独自のZKロールアップ 約8.9億ドル 約8.2億ドル 50倍 0%/0%(標準口座) LIT
Aster オーダーブック+簡易モード 独自L1(Aster Chain) 約6.7億ドル 約14.0億ドル 1001倍(1001xモード) 0.04%/0% ASTER
edgeX オーダーブック 独自L1 約2.9億ドル 約2.3億ドル 100倍 0.038%/0.018% EDGE
GMX プール(オラクル) Arbitrum・Avalanche・MegaETH等 約0.8億ドル 約1.7億ドル 100倍 開閉時0.04%または0.06% GMX
dYdX オーダーブック 独自チェーン(dYdX Chain) 約270万ドル 約3,900万ドル 50倍 0.05%/0.01% DYDX

手数料はいずれも最下位ランク(取引量の少ない一般利用者)の値です。Lighterは複数チェーン上の市場を合算し、GMXはArbitrum・Solana・Avalancheの合計です。

比較の土台として、世界最大級のCEX先物の24時間取引量は同じ時刻に約212億ドルでした。Hyperliquidはその約11%に当たり、Perp DEXの中では突出しています。

Hyperliquid:取引量と建玉が突出したオーダーブック型

Hyperliquidは、先物取引のために作られた独自のL1チェーン上で、注文と約定をすべてチェーン上で処理するPerp DEXです。手数料はHyperliquidの手数料ページで、基本ランクがテイカー0.045%・メイカー0.015%と定められています。

HYPEをステーキングすると5〜40%の割引があります。BTCの最大倍率は、2026年10月4日に公開API(metaAndAssetCtxs)で確認して40倍でした。

CoinPostのPerpDEX特集によると、Hyperliquidは最初のエアドロップで総供給の31%(約3.1億HYPE)を配りました。Perp DEXがエアドロップ目的で使われるようになった大きなきっかけです。

Lighter:手数料0%の標準口座が特徴

Lighterは、注文の照合をゼロ知識証明で検証できるようにしたオーダーブック型のPerp DEXです。2026年10月4日に公開APIで確認したBTC市場は、テイカー・メイカーとも手数料0%、最大倍率50倍(必要証拠金率2%)でした。

ただし、板の厚さはHyperliquidの3分の1程度でした(後の実測を参照)。手数料が0でも、大きな注文では約定価格のずれ(スリッページ)がコストになります。

Aster:1001倍の簡易モードを持つ

Asterは、注文を暗号化して板に出さないことを特徴とする独自L1「Aster Chain」上のPerp DEXです。Asterの手数料ページでは、通常の暗号資産の先物はメイカー0%・テイカー0.04%です。

Asterの1001xモードの説明によると、BTCは最大1001倍まで選べます。500倍以上では利益の上限(ROI約300〜500%)や、損益に応じた決済手数料などの別ルールがかかります。

edgeX:テイカー0.038%の独自L1

edgeXは独自のL1上で動くオーダーブック型です。2026年10月4日に公開APIで確認したBTCの手数料はテイカー0.038%・メイカー0.018%、最大倍率は100倍でした。

CoinPostの特集では、edgeXもトークン(EDGE)の配布をポイント制で行うPerp DEXとして紹介されています。

GMX:板を使わないプール型の代表

GMXはArbitrumやAvalancheなどの上で動くプール型です。GMXの手数料ページによると、建玉のロングとショートの偏りを減らす注文は0.04%、偏りを広げる注文は0.06%の開閉手数料です。

これに加えて、保有中は借入手数料と資金調達手数料がかかります。旧版(V1)の取引は2025年7月に終了し、現在はV2の仕組みで動いています。

dYdX:老舗だが取引量は縮小

dYdXはCosmos系の独自チェーン「dYdX Chain」で動く、Perp DEXの老舗です。2026年10月4日にチェーンの公開データで確認した最下位ランクの手数料はテイカー0.05%・メイカー0.01%で、BTCの必要証拠金率は2%(最大50倍)でした。

24時間の取引量は約270万ドルで、上位のDEXと比べると桁が2つ以上違います。板が薄いため、少額以外ではスリッページに注意が要ります。

同じ注文の総コスト比較:Hyperliquid 対 BTCC先物(試算)

DEXとCEX先物のどちらが安いかは、取引手数料だけでは決まりません。DEXは取引手数料にブリッジや出金の費用が乗り、CEX先物は取引手数料に加えてFRの水準が取引所ごとに違うからです。

そこで、同じ注文を両方で出した場合の総コストを、公式の手数料と公開データのFRで試算しました。以下はあくまで試算で、FRは時期によって大きく変わります。

試算の前提

  • 注文:BTCの無期限先物を1,000ドル分ロングし、3日(72時間)保有して決済する
  • 期間:2026年10月1日18時〜10月4日17時(日本時間)の実際のFRを当てはめる
  • 注文方法:新規・決済とも成行(テイカー)
  • 手数料:両方とも最下位ランク。BTCCはBTCC公式の手数料ページのVIP0(テイカー0.055%・メイカー0.03%、2026年10月4日確認。公式アカデミーのVIP解説には古い料率が残っている)
  • 国内取引所で暗号資産を買って送るまでの費用は、両方に共通なので含めない

FRは、Hyperliquidは公開API(fundingHistory)の毎時の値72回分の合計で+0.0717%でした。BTCCはBTCCの資金調達率ページの履歴データで、同じ期間の9回分の合計が+0.1601%でした。

試算結果(BTC 1,000ドル・3日保有)

費用 Hyperliquid(DEX) BTCC(CEX先物)
取引手数料(往復) 0.90ドル(0.045%×2) 1.10ドル(0.055%×2)
資金調達率(3日分) 0.72ドル(+0.0717%) 1.60ドル(+0.1601%)
出金・ブリッジ 1.00ドル(出金手数料) 0ドル(ネットワーク手数料は別)
入金時のガス代 約0.01ドル未満 0ドル(入金無料)
合計 約2.63ドル(約415円) 約2.70ドル(約426円)

1,000ドルの注文では、両者の差は約7セント(約11円)でほぼ同じ水準でした。Hyperliquidは出金に1ドル(Hyperliquidの出金APIの説明)かかり、少額ほどこの固定費が重くなります。

入金時のガス代は、2026年10月4日にArbitrumの公開RPCで確認したガス価格(0.02gwei)で計算すると、1回あたり1セント未満でした。円換算は1ドル=約157.8円です。

注文が大きくなるとFRの差が効いてくる

同じ条件で注文を1万ドルにすると、Hyperliquidは約17.2ドル(手数料9.0+FR7.2+出金1.0)、BTCCは約27.0ドル(手数料11.0+FR16.0)になりました。差の大半はFRです。

この3日間、BTCCのBTCのFRは8時間1回あたり平均約+0.018%で、Hyperliquidを8時間に換算した約+0.008%の2倍以上でした。ロングを長く持つほど、この差が積み上がります。

逆に、指値(メイカー)で入って出る場合は、1,000ドルでHyperliquid約2.02ドル、BTCC約2.20ドルになります。どちらが安いかは、注文サイズ・保有期間・その時のFRで入れ替わります。

試算に含めていない費用

DEXの場合、国内取引所からArbitrum上のUSDCを用意するまでに、海外の取引所を経由したり、ブリッジを使ったりする手間と費用がかかります。経路によって金額が変わるため、上の表には入れていません。

CEX先物の場合、出金時にブロックチェーンのネットワーク手数料がかかります。BTCCの手数料ガイドは、出金に独自の手数料は上乗せせず、ネットワーク手数料のみと説明しています。

清算・板の厚さ・入出金の手順をDEXとCEX先物で比べる

コスト以外に差が大きいのが、清算(ロスカット)の仕組み、板の厚さ、入出金の手順です。2026年10月4日に確認した内容を表にまとめました。

項目 Hyperliquid Lighter BTCC
清算の方法 板に成行で決済。足りなければ清算用の金庫(HLPの一部)が引き取る 板で決済(APIの設定値で清算手数料1%) 取引所のシステムが強制決済
証拠金を超える損失 自動デレバレッジで取引所の赤字を防ぐ 公式で要確認 ゼロカットで追証なし
BTCの板(中値±0.1%) Bid約2,900万ドル・Ask約2,500万ドル Bid約690万ドル・Ask約780万ドル 公開APIで確認できず
口座開設 ウォレット接続のみ(KYCなし) ウォレット接続のみ メールと本人確認
入金までの手順 国内取引所→Arbitrum上のUSDC→ウォレット→入金(4段階以上) Hyperliquidとほぼ同じ 国内取引所→BTCCの入金アドレス(2段階)
出金 1ドル・約5分 公式で要確認 ネットワーク手数料のみ
日本語サポート なし(コミュニティ中心) なし あり
金融庁の登録 なし なし なし

清算の仕組みの違い

Hyperliquidの清算ルールでは、維持証拠金は最大倍率での初期証拠金の半分(40倍銘柄なら1.25%)です。下回るとまず板に成行注文を出し、残った証拠金は本人に戻ります。

板で決済しきれず証拠金が維持証拠金の3分の2を下回ると、清算用の金庫がポジションを引き取ります。この場合、維持証拠金は戻りません。それでも口座がマイナスになると、自動デレバレッジで利益の出ている反対側のポジションが強制的に決済されます。

BTCCはBTCCのゼロカットの解説で、追証は一切発生しないと案内しています。急変動で証拠金を超える損失が出ても、利用者の最大損失は証拠金までという設計です。

板の厚さを実測した結果

2026年10月4日21時15分ごろ、各取引所の公開APIで、BTCの中値から±0.1%以内に並ぶ注文の合計を数えました。BidはBTCを手に入れたい側、Askは手放したい側の指値の合計です。

HyperliquidはBid約2,900万ドル・Ask約2,500万ドルで、世界最大級のCEX先物(両側とも約2,600万ドル)と同程度でした。

LighterはBid約690万ドル・Ask約780万ドルで、Hyperliquidの3分の1以下でした。Hyperliquidの値は10ドル刻みに集約された板から数えたため、おおよその値です。

1,000ドル程度の注文なら、どの取引所でも板の厚さはほぼ影響しません。数十万ドル以上の注文を成行で出す場合に、差がスリッページとして表れます。

入出金の手順数

CEX先物は、国内取引所で購入した暗号資産をBTCCの入金アドレスに送れば、先物の証拠金として使えます。手順の具体例はBTCCの使い方で解説しています。

Hyperliquidは、ウォレットで接続する場合Arbitrum上のUSDCだけを受け付け、5USDC未満の入金は失われます。国内取引所からArbitrum上のUSDCを用意する工程が増えるため、手順は2倍以上になります。

Hyperliquidを実運用して分かった使い勝手(運営者の立場から)

本サイトを運営するCryptoAIは、HyperliquidでLLM(大規模言語モデル)とルールベースを組み合わせた自動売買botを実際に運用しています。ここでは成績ではなく、使い勝手だけを書きます。

良かった点:APIと取引専用の鍵

価格・板・FRの履歴は、認証なしの公開APIで誰でも取得できます。本記事の比較表や試算の数字も、同じAPIで取ったものです。

注文は、親ウォレットが承認したAPIウォレット(エージェントウォレット)で署名できます。出金は親ウォレットの署名が必要なので、bot側に置く鍵が漏れても資金を引き出されにくい構成にできます。

ガス代なしで注文でき、約定も速いため、短い間隔で注文を出し直すbotでも手数料以外の費用はほとんどかかりません。

気をつけている点:毎時のFRとチェーンの集中

FRが1時間ごとに精算されるため、数時間の保有でもFRが発生します。CEXのように「精算時刻の直前に決済すればFRがかからない」という考え方は通用しません。

2026年10月4日に公開API(validatorSummaries)で確認したところ、登録されたバリデータは35、稼働中は27でした。数千のノードを持つチェーンと比べると少なく、いざというときに少人数の判断で介入できる構造です(次の章のJELLY事件を参照)。

Perp DEXの始め方:国内取引所から発注まで

Hyperliquidを例に、日本の居住者が始めるまでの流れを示します。DEXは日本の登録業者ではないため、トラブル時はすべて自己責任になる点を前提にしてください。

  1. 国内の暗号資産取引所で口座を開き、送金に使う暗号資産を購入する
  2. 自分で管理するウォレット(MetaMaskやRabbyなど)を作り、復元フレーズを紙に書いてオフラインで保管する
  3. Arbitrum上のUSDCと、ガス代用の少額のETHをウォレットに用意する
  4. Hyperliquidの公式サイトにウォレットを接続し、まず少額でUSDCを入金する(5USDC未満は失われる)
  5. 低い倍率・分離証拠金(Isolated)で小さく発注し、清算価格を確認する
  6. 出金を一度試し、1ドルの手数料と着金までの時間を確かめてから本格的に使う

始める前のチェックリスト

  • 復元フレーズを紙で保管し、写真やクラウドに残していない
  • 公式サイトのURLをブックマークし、検索広告やDMのリンクから開かない
  • 入金ネットワークが「Arbitrum」で、金額が5USDC以上である
  • 最初の発注は10倍以下で、清算価格をメモした
  • 取引履歴をCSVで保存する方法を確認した(税金の計算に使う)

破綻・ハッキング・相場操縦の事例(DEXとCEXの両方)

DEXだから安全、CEXだから危険という単純な話ではありません。どちらにも、資金が失われたり、出金が止まったりした実例があります。

時期 場所 何が起きたか 利用者への影響
2023年11月 dYdX(v3) YFIの相場操縦で清算が連鎖 保険基金から約900万ドル。利用者資金は無事
2025年3月 Hyperliquid JELLYの価格つり上げで金庫に約1,200万ドルの含み損 バリデータ投票で上場廃止・固定価格で決済
2025年7月 GMX(V1) コントラクトの不具合で約4,200万ドル流出 500万ドルの報奨金と引き換えに残りを回収
2026年9月 Bitget(CEX) ホットウォレットから約3.9億ドル流出 出金を一時停止し、段階的に再開

JELLY事件(Hyperliquid、2025年3月)

暗号資産ニュースメディアJinaCoinの報道によると、2025年3月26日、あるトレーダーが小型銘柄JELLYのショートを大きく持ち、証拠金を引き出して自分のポジションを清算させました。

清算されたポジションはHyperliquidの金庫(HLP)が引き取り、JELLYの価格がつり上げられたことで、約1,200万ドルの一時的な含み損が出ました。バリデータは投票でJELLYを上場廃止し、0.0095ドルで決済して損失を回避しました。

Hyperliquidの財団は、不審なアドレスを除く利用者に補償を行いました。一方で「少人数の判断で価格を決めた」として、分散型の取引所らしくないという批判も受けました。

GMX V1の流出(2025年7月)

セキュリティ事故を記録するrekt.newsのGMXの記事によると、2025年7月9日、GMXの旧版(V1)で約4,200万ドルが流出しました。コントラクトの再入可能性の不具合を突かれ、プールの評価額が不正に操作されたものです。

攻撃者は500万ドルの報奨金を受け取る形で応じ、残りの約3,700万ドルは回収されました。GMXはその後、V1の取引を終了しています。

dYdXのYFI相場操縦(2023年11月)

rekt.newsのdYdXの記事によると、2023年11月、dYdX(v3)のYFI市場で建玉が短期間に約80万ドルから約6,700万ドルまで膨らみ、その後の急落で清算が連鎖しました。

保険基金が約900万ドル減りましたが、利用者の資金は影響を受けなかったとされています。小型銘柄の先物は、DEXでもCEXでも相場操縦の標的になりやすい典型例です。

CEX側:ハッキングと日本からの撤退

CEXでは、運営会社のウォレットが攻撃されるリスクがあります。財経新聞の報道によると、Bitgetは2026年9月24日に約3億8,750万ドルが流出し、出金を止めたうえで段階的に再開しました。

もう1つのリスクが、日本居住者向けサービスの終了です。Bybitは2026年7月22日に強制決済まで終え、BitgetはBitgetの日本居住者向けのお知らせで2026年12月31日以降の残ポジション強制決済を予告しています。

DEXは運営会社が国ごとに口座を閉じる形の撤退が起きにくい一方、フロントエンドのサイトで日本からの接続を制限することはあり得ます。CEX側の撤退の経緯はBybitとBitgetの代わりの取引所にまとめています。

Perp DEXのリスクと注意点

Perp DEXを使う前に、少なくとも次の7点を理解しておく必要があります。影響が大きいものから順に並べます。

  1. 秘密鍵の自己管理:復元フレーズをなくしたり盗まれたりすると、誰も資産を取り戻せません。フィッシングサイトへの署名も、取り消しがききません
  2. スマートコントラクト・ブリッジの不具合:GMX V1のように、監査を受けたコントラクトでも不具合で資金が流出した例があります。入金に使うブリッジも攻撃対象になります
  3. 運営・バリデータの介入:JELLY事件のように、少人数のバリデータの判断で上場廃止や決済価格が決まることがあります
  4. 相場操縦と清算の連鎖:板の薄い小型銘柄は、価格をつり上げて清算を誘う手口の標的になります。自動デレバレッジで、利益の出ているポジションが強制決済されることもあります
  5. 高い倍率による即時清算:1001倍のような倍率では、0.1%の値動きで証拠金を失います。倍率の上限は、使うべき倍率の目安ではありません
  6. 日本の制度の外にあること:金融庁の登録業者ではなく、日本語サポートや分別管理などの保護はありません。トラブル時の相談先もありません
  7. エアドロップは約束ではない:ポイントがトークンに交換される保証はなく、配布条件や時期は運営が変えられます。ポイント目的の過剰な取引は、手数料とFRで損失になりがちです

日本居住者の税金:Perp DEXの損益は雑所得

Perp DEXの損益は、CEX先物と同じく雑所得として総合課税の対象です。給与所得者は、雑所得などの合計が年20万円を超えると国税庁の確定申告が必要な人の説明のとおり申告が必要になります。

あたらしい経済に掲載された税理士のPerp DEX税務解説は、決済時の損益に加え、受け取ったFRは利益、支払ったFRは損失として計算する考え方を示しています。エアドロップで受け取ったトークンも、受け取り時の時価や売却時の扱いを確認する必要があります。

同じ解説は、Perp DEXの多くは取引履歴をチェーン上に残さないため、自分で記録を取ることが欠かせないと指摘しています。HyperliquidなどはCSVやAPIで履歴を取り出せるので、取引したら定期的に保存しておきます。

分離課税の対象外になる見込み

2026年7月に成立した改正金融商品取引法などにより、暗号資産の譲渡益は施行の翌年1月1日から20%の申告分離課税になる見込みです。カオーリア会計事務所の解説は、2028年1月以降の取引分からという見通しを示しています。

ただし泉純税理士の取引経路の解説は、分離課税は国内の登録業者を通じた取引に限られ、海外取引所やDEXでの取引は総合課税のままになるとしています。最大約55%の税率が続く可能性があるため、具体的な判断は税理士に相談してください。

使い分けの結論:エアドロ・自己管理ならDEX、値動きを取るだけならCEX先物

ここまでの比較から、どちらが向いているかは目的で分かれます。どちらも金融庁の登録業者ではないので、国内取引所に比べて保護が弱い点は共通です。

Perp DEXが向いている人

  • 独自トークンのエアドロップやポイントを狙いたい
  • 取引所の出金停止や日本からの撤退のリスクを避け、資産を自分で管理したい
  • APIでbotを動かしたい(Hyperliquidは公開APIと取引専用の鍵が使いやすい)
  • ウォレット・ブリッジ・ガス代の扱いに慣れていて、トラブルを自力で調べられる

CEX先物が向いている人

  • 値動きを取ることだけが目的で、トークン配布には興味がない
  • 日本語のサポートや、日本語の画面で取引したい
  • 国内取引所から暗号資産を送るだけの、少ない手順で始めたい
  • 秘密鍵の管理ミスで資産をなくすリスクを負いたくない

CEX先物の候補として本サイトで詳しく扱っているのがBTCCです。BTCCは金融庁の無登録業者への警告リスト(令和8年9月版まで)に名前はありませんが、金融庁の登録業者でもありません。

金融庁の暗号資産交換業の無登録業者リストには、掲載されていない業者でも無登録業者に当たり得ると明記されています。評判や注意点はBTCCの評判と注意点で整理しています。

国内の暗号資産FXという選択肢

日本の登録業者の暗号資産FX・CFDは、GMOコインの暗号資産FXの商品説明のとおり、レバレッジは最大2倍です。倍率は低い代わりに、日本の制度の中で取引でき、分離課税の対象になる見込みです。

高い倍率が不要なら、国内の取引所で始めるのがもっとも手堅い選択です。各社の違いは国内の暗号資産取引所の比較で確認できます。

まとめ:Perp DEXとCEX先物は「コスト」より「目的」で選ぶ

Perp DEXは、自分のウォレットから無期限先物を取引できる分散型取引所です。2026年10月4日時点では、Hyperliquidが取引量・建玉・板の厚さのいずれも突出し、Lighter・Aster・edgeXが続いています。

BTC 1,000ドル・3日保有の試算では、HyperliquidとBTCCの総コストはほぼ同じでした。注文が大きく保有が長いほど、FRの差でDEXが有利になりやすく、少額では1ドルの出金手数料が効いてきます。

一方で、DEXは秘密鍵の管理・コントラクトの不具合・バリデータの介入といった、CEXにはないリスクを負います。エアドロップや自己管理が目的ならDEX、値動きを取るだけならCEX先物、と目的で選ぶのが現実的です。

Hyperliquidの紹介コード「CRYPTOAI」

Hyperliquidを使うなら、紹介コード「CRYPTOAI」を入れると取引手数料が4%割引になります。紹介リンクから登録するか、Referrals画面の「Enter Code」に入力してください(割引率は2026年10月4日に公式画面で確認)。

このコードは運営者CryptoAIのもので、コード経由の取引手数料の一部が運営者に支払われます。