BTCは2026年8月2日朝時点(日本時間8時)で62,781ドル前後(24h+0.2%)まで持ち直し、週末8月1日に記録した3.25%安からの下げ止まりを確認した。だが同じ時間軸で米国の現物ビットコインETFは8月1日に2.65億ドルの純流出(IBIT単体で1.23億ドル、フィデリティ約5,480万ドル)を記録しており、価格の反発ほどには機関マネーが戻っていない。対照的に、AIセクターの主要銘柄はTAO・FET・NEAR・RENDER・ICPがそろってプラス転換し、BTC・ETHの横ばいをよそに選別的な買いが入った一日となった。

いま相場で何が起きているか

BTCは62,781.50ドル(24h+0.2%)、時価総額は約1.26兆ドル。ETHは1,867.23ドル(24h+0.25%)、時価総額は約2,253億ドルで、両者ともに週末の下落からほぼ横ばいの水準まで戻している。AIセクターの合計時価総額は約211億ドルで24hはほぼ0%と膨らみは小さいものの、個別銘柄ではTAOが191.89ドル(+0.4%)、FETが0.1392ドル(+1.2%)、NEARが1.67ドル(+0.7%)、RENDERが1.35ドル(+1.1%)、VIRTUALが0.5507ドル(+1.2%)、ICPが2.02ドル(+1.8%)と軒並みプラス圏で推移している。恐怖強欲指数は27(Fear)で、前日8月1日の25(Extreme Fear)からわずかに改善した。BTCドミナンスは58%前後、アルトコインシーズン指数は37でアルトシーズンの水準(75以上)には遠い。

何がこの動きを作ったか

価格の反発自体は、週末の薄商いで売られ過ぎた反動と見るのが妥当だ。前営業日には62,500ドル近辺が下値の節目として意識されており、そこを割り込まずに切り返した形となる。一方でAI銘柄が軒並み逆行高となった背景には、TAO(Bittensor)についてグレイスケールとビットワイズが申請しているスポットETFのSEC審査が8月中に予定されている点が引き続き材料視されていることがある。FET・NEAR・RENDER・ICPについては個別の材料というより、先週までの下落で値ごろ感が出たところへ短期資金が入った値幅取り的な動きに近い。BTC・ETHが方向感に乏しい中、値動きの軽いAI銘柄の方が反発率で目立ちやすいという需給的な要因も大きい。

ファンダメンタルをどう見るか

TAOのETF審査は制度面の実質的な前進であり、承認されれば機関投資家がETF経由でAIセクターにアクセスする新しい導線ができる。この点は一過性の思惑買いにとどまらない構造変化になりうる。一方でFET・NEAR・RENDER・ICPの今回の上昇には、収益やアクティブアドレス数の明確な改善といった裏付けは今のところ確認できておらず、需給主導の反発である可能性が高い。BTC現物ETFの流出についても、7月は172.4万ドルの月間純流入(4月以来初の月間プラス)まで回復していたところからの反転であり、トレンドの転換というより短期的な利益確定・リバランスの範囲と見るのが妥当だろう。

資金はどこへ動いているか

8月1日の米国現物BTC ETFはIBITが1.23億ドル、フィデリティが約5,480万ドルの流出となり、合計で2.65億ドルの純流出となった。2026年の年初来では依然として約53億ドルの累計流出が残っており、5月・6月の大型流出(合計約70億ドル)からの完全な回復には至っていない。デリバティブ市場ではDeribit上の「BTC 6万ドルプット」の想定元本ベース建玉が1.17億ドルまで積み上がり、直近で最も人気のポジションとなっている。これは7万ドル・7.2万ドルのコールオプション建玉(それぞれ2.5億ドルから9.43億ドル・8.88億ドルへ縮小)からの資金シフトであり、金曜日の100億ドル規模のオプション満期通過とFOMC通過を経て、トレーダーの姿勢が強気から下方防御へ傾いたことを示している。BTCドミナンス58%・アルトシーズン指数37という水準は、資金がまだBTCに集中しておりAI銘柄への広範なローテーションには至っていないことを裏付ける。

過去の類似局面との比較

BTCの8月パフォーマンスは過去4年連続でマイナスとなっており、2022年-13.9%、2023年-11.3%、2024年-8.7%、2025年-6.5%と、下落幅は年々縮小しているものの反転には至っていない。2013年以降の8月の中央値リターンは-7.51%で、直近の7月が中央値8.61%に対し実績8.9%とやや上振れて着地した後だけに、今年も同じ季節性が繰り返されるかが注目される。過去の「週末急落→週明け反発」のパターンでは、反発の初動だけで終わり数日で再び売られるケースも多く、今回のAI銘柄の逆行高が実需に裏付けられたものかどうかは今後数日の値動きで判断する必要がある。

注目銘柄と価格水準

TAOは191.89ドル(+0.4%)で、8月中とされるETF審査の結果次第で大きく振れる可能性がある。過去には審査関連の思惑報道で1週間に25%超動いた実績もあり、上下双方向のボラティリティに注意したい。FETは0.1392ドル(+1.2%)、NEARは1.67ドル(+0.7%)、RENDERは1.35ドル(+1.1%)、ICPは2.02ドル(+1.8%)と続き、いずれも先週までの下落分を一部埋め戻す動きにとどまっている。BTCは62,500ドル近辺が直近の下値サポート、65,000ドル近辺が上値抵抗として意識されており、この範囲を上下どちらに抜けるかで週の方向性が決まりやすい。ETHは1,900ドル手前でのもみ合いが続いており、明確なブレイクにはもう一段の材料が必要な状況だ。

想定されるシナリオとリスク

上方シナリオとしては、BTCが65,000ドルを終値で上抜ければ68,000ドル方向への戻りが視野に入り、TAOのETF承認観測が強まればAIセクター全体への資金流入が加速する可能性がある。下方シナリオでは、8月の季節的な弱さが今年も再現され、62,500ドルを割り込めば60,000ドル方向、さらにDeribitの6万ドルプット建玉が示す通り一段安を想定した売買が優勢になれば58,000〜60,000ドル圏までの調整もありうる。AI銘柄についても、ETF審査が延期・否認されればTAOを中心に材料剥落による反落リスクがある点には注意したい。いずれのシナリオも条件付きであり、現時点でどちらか一方を断定できる材料はそろっていない。

まとめ

第一に、BTCは週末の下落から反発したものの、現物ETFの資金フローはまだ戻っておらず、価格とマネーフローの間に温度差がある。第二に、AI主要銘柄は軒並みプラス転換したが、TAOのETF審査観測を除けば明確な材料に乏しく、値ごろ感による短期的な反発の域を出ていない可能性がある。第三に、8月は過去4年連続でBTCがマイナスとなっている季節性があり、Deribitの6万ドルプット建玉の積み上がりはこのアノマリーへの警戒感を映している。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。