2026年9月19日時点、NEARは3.59ドル前後まで上昇し日足RSIが80を超える過熱水準に入った。一方でビットコイン(BTC)の市場支配率は60.66%と8か月ぶりの高値を維持し、アルトコインシーズン指数は33〜37にとどまる。資金がBTCと一部のAI関連銘柄に偏在するなか、最も過熱したNEARから利益確定売りが出れば、セクター全体の反転につながりうる局面に差し掛かっている。
いま相場で何が起きているか
BTCは9月19日16時12分(米東部時間)時点で81,354ドル前後、24時間出来高は約101.5億ドル。9月18日につけた81,258ドル圏の高値水準をおおむね維持している。BTCドミナンスは60.66%で、これは約8か月ぶりの高水準にあたり、一部の分析では2025年6月につけた66%が次の目標として意識されている。対照的にアルトコインシーズン指数は33(前日比でも30台で推移)にとどまり、75以上とされる『アルトシーズン』の基準からは程遠い。
そのなかでNEARは3.59ドル前後で推移し、24時間出来高は約14.6億ドルとBTCの出来高の1割超に達する規模まで膨らんでいる。日足RSIは80を超えて張り付いており、200日移動平均線は9月15日以降上昇に転じている。週足では9月上旬比で50%を超える上昇となっており、テクニカル指標としては明確な過熱シグナルが点灯している状態だ。
何がこの動きを作ったか
NEARの急伸自体は、9月17日に実装されたConfidential Perpsを軸とした一連の材料が起点になっている。この材料はすでに市場で消化が進んでおり、9月19日時点で新たな追加材料が出ているわけではない。つまり足元の値位置は「材料そのもの」ではなく、材料を受けて積み上がった買いポジションの評価益がどこまで積み上がったか、という需給の話に移っている。RSI80超えという水準は、この買いポジションが利益確定のタイミングを探り始めても不思議ではない位置にあることを示している。
BTC側では、9月のビットコイン現物ETFに38億ドル規模の資金流入があったとされ、年初来の資金流出基調からの転換が進行中とされる。BlackRockのIBITが資金フローの9割超を占める構図は変わっておらず、ETF経由の資金がBTC一極への資金集中を後押ししている面がある。
ファンダメンタルをどう見るか
NEARの上昇は、Confidential Perpsという実際のプロダクト実装を伴っている点で、単なる思惑買いとは一線を画す。TVL(預かり資産)の拡大が伴っていれば、実需に基づく評価の切り上がりと解釈できる。一方でRSIの過熱と週間50%超の上昇ピッチは、実需の拡大スピードを上回るペースで価格が先行している可能性も否定できない。ファンダメンタルの改善そのものは事実だが、価格がそれをどこまで織り込み済みかという点では警戒が必要な局面だ。
BTC側のドミナンス上昇は、ETF経由の機関資金がBTCに向かいやすい構造(規制対応の明確さ、流動性の厚さ)を反映したものであり、一過性の資金逃避というより構造的な資金選好の表れに近い。
資金はどこへ動いているか
BTCドミナンス60.66%とアルトシーズン指数33という組み合わせは、資金がBTCに厚く配分され、アルト全体としては資金を集めきれていないことを示す。そのなかでNEARだけが例外的に資金を集めている状態であり、セクター内での選別色が強い。AIセクター全体の時価総額は集計方法により140億〜185億ドル程度と幅があるが、直近ではTAO(Bittensor)が直近30日で約24%上昇し時価総額28億ドルでAI単独銘柄の最大級に浮上、Venice AIのトークンも直近1か月でほぼ倍増するなど、NEAR以外にも資金が向かう銘柄が出てきている。ただしFET等は横ばい圏にとどまっており、資金はセクター全体ではなく個別銘柄を選んで入っている状態だ。
過去の類似局面との比較
9月上旬から中旬にかけても、NEARを含む一部のAI関連銘柄が急伸した後に伸び悩む場面があった。過去の類似局面では、RSIが80近辺まで過熱した後、数日から1週間程度の調整(高値から1〜2割程度の反落)を挟んで再度上昇トレンドに戻るパターンと、そのまま上昇の勢いを失い長期のレンジ入りするパターンの両方が見られている。今回との違いは、BTCドミナンスが同時に高水準にあることで、アルトへの資金余力自体が乏しい点だ。BTC側に資金が滞留したまま推移すれば、NEARの調整が入った際の受け皿(押し目買い)が相対的に細くなりやすい。
注目銘柄と価格水準
NEARは3.59ドル近辺が直近の高値圏で、下方には節目として3.00ドル(5月以降の抵抗帯)、3.33ドル(9月中旬に意識された水準)が意識される。これらを下回る動きが出れば、短期的な過熱の解消が本格化しているサインとなりうる。TAOは225〜245ドル台で推移しており、時価総額28億ドルの節目を維持できるかが焦点。BTCは81,000ドル台を維持できるかがまず注目され、上方では82,000ドルが直近の節目として意識されている。NEARは国内の暗号資産交換業者でも取扱いがあるが、TAOやVenice AI関連銘柄は主に海外取引所中心の取扱いとなっている。
想定されるシナリオとリスク
上振れシナリオとしては、NEARのTVL拡大など実需の裏付けが続けば、RSI過熱が続いたまま高値圏で推移する『強い相場』のパターンも否定できない。この場合はBTCドミナンスが高止まりしたまま、NEARなど個別のアルトだけが物色される展開が続く可能性がある。下振れシナリオとしては、NEARが3.33ドルや3.00ドルの節目を割り込めば、過熱の解消(利益確定売り)が本格化し、他のAI関連銘柄にも連想売りが波及するリスクがある。BTC自体は81,000ドル台を維持できるかが焦点で、ここを割り込めばETF資金の流入基調にも変化が生じうる。いずれの場合も、方向を断定できる材料はまだ出ていない。
まとめ
NEARはRSI80超えという明確な過熱シグナルが点灯しており、BTCドミナンス60.66%・アルトシーズン指数33という『資金がBTCに偏りアルトは選別』という地合いのなかで、その資金の受け皿の一つになっている。3.33ドル・3.00ドルの節目を維持できるかが当面の焦点であり、TAOなど他のAI銘柄への波及があるかどうかも合わせて見ておきたい。編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。
