ビットコイン(BTC)は8月2日午前(JST)時点で6万3,377ドル前後、24時間で0.6%高と小動きにとどまる一方、AIセクター全体の時価総額は213億ドルで24時間0.8%続伸した。ただし中身を見ると、ここ数日リードしてきたBittensor(TAO)とFetch.ai系のFET(Artificial Superintelligence Alliance)の上昇ペースが鈍り、代わってNEAR Protocol(NEAR)とInternet Computer(ICP)が相対的に強い動きを見せている。同じ「AIセクターの続伸」でも、けん引役の交代という新しい変化が起きている。

いま相場で何が起きているか

BTCは6万3,377.44ドルで24時間+0.6%、時価総額は約1兆2,720億ドル。ETHは1,874.51ドルで+0.4%、時価総額は約2,262億ドル。両者とも方向感の乏しいレンジ内の動きにとどまっている。

AIセクター全体の時価総額は213億ドルで24時間出来高は約12億9,300万ドル、変動率は+0.8%。個別ではNEARが1.70ドルで+2.4%と上昇率トップ、ICPが2.05ドルで+1.8%、RENDERが1.37ドルで+1.3%と続く。一方、先週まで主役だったTAOは193.47ドルで+0.8%(週間では+2.5%を維持)、FETは0.1413ドルで+0.4%、LINKは8.26ドルで+0.3%と、いずれも上昇率でNEAR・ICPの後塵を拝している。

センチメント面では暗号資産Fear&Greed指数が27で「Fear(恐怖)」の分類。前日も27、先週も26とほぼ横ばいで高止まりしており、恐怖圏からの明確な脱出はまだ見えていない。BTCドミナンスは58%、アルトコインシーズン指数は37(75以上でアルトシーズン)で、資金が仮想通貨市場全体でアルトコインへ大きく回転している局面ではないことを示している。

何がこの動きを作ったか

単一の大型ニュースが今回のローテーションを引き起こしたわけではない。TAOとFETはここ数日で先行して買われた分、短期的な利益確定売りが出やすい水準に達しており、その資金の一部が出遅れていたNEARやICPへ向かったとみるのが自然だ。ICPについてはAIエージェントがオンチェーン操作を実行するMCPベータの拡張など、AI統合を進めるエコシステム面の材料も伝わっているが、これが今回の価格上昇を単独で説明するほどの規模ではない。

より大きな構造としては、TAO・BitwiseによるスポットTAO ETF申請の審査がSECにより8月中に判断される見込みで、Grayscaleは自社のAI関連ファンド内でTAOの組み入れ比率をすでに43%まで引き上げている。この「8月中の結果待ち」という状態が続く中、TAO自体は方向感を出しにくく、代わりに同セクターの他銘柄へ資金が分散しているとも解釈できる。

ファンダメンタルをどう見るか

現時点でのNEAR・ICPの上昇は、収益やアクティブアドレスなど明確なオンチェーン指標の改善に裏付けられたものというより、セクター内の資金シフトによる短期的な値動きの色彩が強い。ICPが強調するAIエージェントのオンチェーン実行機能や、NEARが従来から掲げるクロスチェーン決済基盤といったナラティブ自体は目新しいものではなく、直近1〜2日で急に評価が変わったとは考えにくい。したがって、この動きが数日単位の資金ローテーションで終わるか、ファンダメンタルの実質的な見直しにつながるかは、来週以降の出来高の持続性を見極める必要がある。

資金はどこへ動いているか

ビットコイン現物ETFは週間(7月25日〜31日)で6,153万ドルの純流出となった一方、イーサリアム現物ETFは同期間で2,742万ドルの純流入と、4週連続のプラスを記録した。月間で見ると7月のBTC ETFは1億7,240万ドルの純流入(4月以来初のプラス月)にとどまったのに対し、ETH ETFは3億6,520万ドルの純流入とBTCを上回っている。ただし年初来の累計ではBTC ETFが約53億ドル、ETH ETFも約11億ドルの純流出で、どちらも年間ベースでは依然マイナス圏にある。

個別ファンドでは8月1日にIBIT(ブラックロック)が単日で1,948BTC・約1億2,266万ドルの純流出となり、フィデリティも約5,480万ドルの流出。BTCからの資金流出とETHへの資金流入が並行して進む構図は、AIセクター内でTAO・FETからNEAR・ICPへ資金が移った動きと似た「隣接資産間の物色シフト」として捉えられる。

過去の類似局面との比較

このAIセクターでは、7月後半だけでもTAOとFETが交互にリード役を務める場面が繰り返し観測されてきた。7月27日にはFET+10.0%・TAO+5.4%の逆行高、7月29日の FOMC通過後にもFET+5.3%・TAO+1.0%といった形で、この2銘柄が常にセクターの先頭を走ってきた。今回のようにNEARとICPが同時に上位へ浮上する場面は比較的珍しく、過去の類似パターンでは数日以内に元のリーダー銘柄(TAOやFET)へ資金が戻るケースが多かった。ローテーションが数日で終わるか、それとも新しい顔ぶれが定着するかは、今後数営業日のセクター内シェアの推移で判断できる。

注目銘柄と価格水準

NEARは1.70ドル、直近安値圏の1.50〜1.70ドル帯からの反発力が意識される水準にあり、この帯を明確に上抜けられるかが次の焦点となる。ICPは2.05ドルで24時間出来高も膨らんでおり、2ドル台を維持できるかが短期の分岐点だ。TAOは193ドル台で、8月中に予想されるETF可否判断を前にレンジ推移が続く可能性がある。BTCは6万2,000〜6万5,000ドルのレンジ内、ETHは1,850〜1,920ドルのレンジ内での往来が続いており、いずれもレンジ上限・下限の攻防が当面の注目点になる。

想定されるシナリオとリスク

上振れシナリオとしては、NEAR・ICPへの資金流入がセクター全体の出来高増加を伴って持続すれば、AIセクター時価総額が213億ドルを上回って直近レンジを上抜ける展開が考えられる。逆に、資金ローテーションが一巡してTAO・FETに資金が戻れば、NEAR・ICPは短期的な反落に転じる可能性がある。また、Fear&Greed指数が27のFear圏から改善しない状態が続けば、BTC現物ETFの週間流出が繰り返され、AIセクター全体の上値も重くなりやすい。TAOのETF審査結果が8月中に判明する点は、承認・却下いずれの結果もセクター全体のセンチメントに波及しうるリスク要因として意識したい。

まとめ

8月2日昼時点のAIセクターは時価総額213億ドルで24時間+0.8%の続伸を維持しているが、けん引役はTAO・FETからNEAR・ICPへと明確に交代した。BTC・ETHともに小動きが続く中、BTC ETFからETH ETFへの資金シフトと、AIセクター内でのTAO・FETからNEAR・ICPへの資金シフトが同時並行で進んでいる点が本日の特徴だ。過去のパターンではこうした主役交代は数日で元に戻ることが多く、持続性の見極めが引き続きの焦点になる。なお編集部はClaude Codeによる自動売買を実運用しており、検証結果は運用実績ページとニュースレターで公開している。