証拠金維持率とは?計算式と「何%で危ないか」の答え

証拠金維持率は「純資産 ÷ 必要証拠金 × 100」で求める、口座の余力を示す割合です。純資産は預けた証拠金に含み損益を足した額で、含み損が増えるほど数字が下がります。

国内の登録業者では、100%を下回ると追加証拠金(追証)の対象になり、50〜80%まで下がるとロスカット(強制決済)です。海外のBTCCは維持率ではなく「残高が使用証拠金の40%を割ったら強制決済」という別の物差しを使います。

どの取引所でも、個人が上限の2倍で建てた瞬間の維持率はほぼ100%です。少しでも含み損が出れば判定時刻に追証が発生するため、上限いっぱいで建てないことが最初の対策になります。

国内でレバレッジ取引ができる取引所の手数料やサービスは国内取引所の比較にまとめています。

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国内3社とBTCCのロスカット基準の比較【2026年10月8日確認】

ロスカットの基準は取引所ごとに違い、同じ「2倍で10万円」でも耐えられる下落幅が変わります。次の表は、各社の公式の説明書・ルールのページを2026年10月8日に確認した内容です。

取引所 向いている人 追証の判定 ロスカット・強制決済 必要証拠金の計算
bitFlyer(Crypto CFD) 日本円でBTCを2倍まで動かしたい人 毎営業日18時に維持率100%未満 維持率50%に達した時点、または追証の未解消 現在の現物価格×数量×証拠金率
SBI VCトレード(レバレッジ取引) 複数の銘柄を円で2倍まで扱いたい人 毎日7時にポジション証拠金が不足 維持率80%以下 現在の取引価格で随時計算
bitbank(信用取引) 板で売買し、建値基準で管理したい人 毎日15時に維持必要保証金が受入保証金を上回る 維持必要保証金×0.5が受入保証金を上回る(維持率50%相当) 建玉数量×平均建値×リスク想定比率
BTCC(スタンダード無期限先物) 2倍を超える倍率を使いたい人(金融庁未登録) 追証なし 口座残高が使用証拠金の40%を下回る 建玉÷レバレッジ

出典はbitFlyer Crypto CFDのご利用案内、SBI VCトレードの契約締結前交付書面(2026年10月7日現在版)、bitbankの信用取引ルール、BTCCの先物強制決済ルールです。

一番の違いは右端の列です。bitbankは建てた時の価格で必要額が固定されますが、bitFlyerとSBI VCトレードは今の価格で計算し直すため、同じ維持率でもロスカットまでの値幅が変わります。この差は次の計算例で数字にします。

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証拠金維持率の計算式と3つの用語

計算に使う言葉は3つだけです。ここを押さえると、取引画面の数字がすべて読めるようになります。

用語 意味 求め方
純資産(有効証拠金) 今の口座の価値 預けた証拠金+評価損益(含み益・含み損)
必要証拠金 ポジションを持つのに要る担保 建玉の金額×証拠金率(個人は50%=2倍)
証拠金維持率 担保に対する余力 純資産÷必要証拠金×100

国内では、個人のレバレッジは2倍が上限です。証拠金率50%は「建玉の半分を担保として預ける」という意味で、20万円分のビットコインを持つには10万円が要ります。

含み損が出ると分子の純資産が減ります。現在値で計算する取引所では、価格が下がると分母の必要証拠金も少し減るため、維持率の下がり方がゆるやかになります。

建値基準と現在値基準の違い

bitbankの信用取引は、必要な保証金を「建玉数量×平均建値×リスク想定比率」で出します。分母は建てた時点で決まり、その後は動きません。

bitFlyer Crypto CFDは、分母に「Lightning現物の直近取引価格×建玉数量×証拠金率」を使います。SBI VCトレードもポジション証拠金を今の取引価格で随時計算します。

分母が動く取引所では、ロングは価格が下がるほど分母も小さくなり、ロスカットまでの値幅が広がります。ショートは価格が上がると分母が大きくなり、値幅が狭まります。

計算例:10万円を入れて2倍でビットコインを買ったとき

ここからは、bitbankで2026年10月8日6時15分に取得したBTC/JPYの直近価格13,190,665円を建値として計算します。証拠金10万円、上限の2倍で20万円分を買った場合です。手数料と資金調達料は含めていません。

  1. 建玉を決める:20万円÷13,190,665円=約0.01516 BTC
  2. 必要証拠金を出す:20万円×50%=10万円(建てた瞬間の維持率は100%)
  3. 価格が下がったときの純資産を出す:10万円+0.01516 BTC×(現在値−建値)
  4. 各社の基準を当てはめてロスカット価格を求める
取引所の基準 ロスカットまでの下落 ロスカット価格の目安 その時点の損失
SBI VCトレード(維持率80%・現在値基準) 約16.7% 約1,099万円 約3.3万円
bitbank(維持率50%相当・建値基準) 25.0% 約989万円 約5.0万円
bitFlyer(維持率50%・現在値基準) 約33.3% 約879万円 約6.7万円

同じ2倍・同じ10万円でも、ロスカットまでの下落幅は16.7%から33.3%まで倍の開きがあります。ロスカットまで遠いほど安全というわけではなく、損失も大きくなる点に注意してください。

3社とも、上限の2倍で建てていると含み損が出た時点で維持率が100%を下回ります。そのまま判定時刻を迎えると追証が発生し、期限までに入金か決済が必要です。

ロスカット価格の計算式【ロングとショート】

自分のポジションのロスカット価格は、次の式で近似できます。記号は、建値をP0、預けた証拠金をD、数量をq、ロスカットの維持率をk、証拠金率をrとします。

計算の基準 ロング(買い) ショート(売り)
建値基準(bitbankなど) P0−(D−k×r×q×P0)÷q P0+(D−k×r×q×P0)÷q
現在値基準(bitFlyer・SBI VCなど) (P0−D÷q)÷(1−k×r) (P0+D÷q)÷(1+k×r)

bitFlyerならk=0.5・r=0.5、SBI VCトレードならk=0.8・r=0.5、bitbankならk=0.5・r=0.5(リスク想定比率が50%の銘柄)を入れます。

ショートは上昇側の余裕が小さくなる

現在値基準の取引所では、同じ2倍でもショートのほうがロスカットが近くなります。価格が上がると、含み損と同時に必要証拠金も増えるからです。

取引所の基準 ロングのロスカットまで ショートのロスカットまで ショートのロスカット価格の目安
SBI VCトレード 約16.7%の下落 約7.1%の上昇 約1,413万円
bitbank 25.0%の下落 25.0%の上昇 約1,649万円
bitFlyer 約33.3%の下落 20.0%の上昇 約1,583万円

前提は前の節と同じ(建値13,190,665円・証拠金10万円・2倍)です。下落を狙うショートを国内で建てるときは、ロングと同じ感覚で倍率を決めないようにしてください。

証拠金維持率と実質レバレッジの対応表

維持率は「今どれだけの倍率で張っているか」と言い換えられます。国内の証拠金率50%では、実質レバレッジは「2÷維持率」で求まります。

証拠金維持率 実質レバレッジ 20万円分を持つのに入れる証拠金
100% 2.0倍 10万円
125% 1.6倍 12.5万円
150% 約1.33倍 15万円
200% 1.0倍 20万円
400% 0.5倍 40万円

証拠金を足すとロスカットまでの下落幅はどう変わるか

bitFlyerの基準(維持率50%・現在値基準)で、20万円分のロングに入れる証拠金を変えて計算すると、次のようになります。

入れる証拠金 建てた時の維持率 ロスカットまでの下落
10万円 100% 約33.3%
15万円 150% 約66.7%
20万円 200% 価格が0になっても50%を割らない

建玉の金額を変えずに証拠金を1.5倍にすると、耐えられる下落は2倍になります。実質1倍(維持率200%)のロングは現物とほぼ同じリスクで、ロスカットされません。

海外の無期限先物の清算価格【BTCCの40%ルール】

海外取引所の無期限先物は、2倍を超える倍率を選べる代わりに強制決済までの距離が短くなります。BTCCのスタンダード無期限先物は、口座残高が使用証拠金の40%を下回ると強制決済が始まります。

つまり、分離マージンなら証拠金の60%を失った時点が強制決済です。ロングの強制決済価格は「建値×(1−0.6÷レバレッジ)」、ショートは「建値×(1+0.6÷レバレッジ)」で近似できます。

次の表は、OKXの公開APIで2026年10月8日6時15分に取得したBTC無期限先物の直近価格83,336.3 USDTを建値にして、証拠金1,000 USDTでロングした場合の目安です。

レバレッジ 建玉の大きさ 強制決済までの下落 強制決済価格の目安 新規の取引手数料(テイカー0.055%)
2倍 2,000 USDT 30.0% 約58,335 USDT 約1.1 USDT
5倍 5,000 USDT 12.0% 約73,336 USDT 約2.75 USDT
10倍 10,000 USDT 6.0% 約78,336 USDT 約5.5 USDT
20倍 20,000 USDT 3.0% 約80,836 USDT 約11 USDT
50倍 50,000 USDT 1.2% 約82,336 USDT 約27.5 USDT
100倍 100,000 USDT 0.6% 約82,836 USDT 約55 USDT

手数料はBTCCの手数料ページのVIP0(テイカー0.055%・メイカー0.03%)です。100倍では、建てる手数料だけで証拠金の5.5%が消え、0.6%の逆行で強制決済に届きます。

BTCCの強制決済は、ロングなら最良買気配、ショートなら最良売気配で判定されます。チャートに表示される中間値ではまだ届いていなくても、スプレッドが広がると先に強制決済されることがあります。

資金調達料で強制決済価格は近づく

無期限先物では、8時間ごとに建玉の大きさに対して資金調達料がかかります。証拠金ではなく建玉にかかるため、倍率が高いほど証拠金に対する負担が重くなります。

例として、10倍・建玉10,000 USDTのロングに資金調達率0.01%が1日3回かかると、1日3 USDT、30日で90 USDTです。証拠金1,000 USDTのうち9%が削られ、強制決済までの下落は6.0%から約5.1%に縮みます。

資金調達率の決まり方と各社の水準は資金調達率(ファンディングレート)の解説で詳しく扱っています。

クロスマージンでは口座全体で耐える

クロスマージンでは、先物口座の残高全体がクッションになります。たとえば先物口座に3,000 USDTを置き、1,000 USDTの証拠金で10倍のロングを持つと、残高が400 USDTを割るまで耐えられます。

計算上は2,600 USDTの損失、約26%の下落までです。分離より強制決済は遠くなりますが、そのときは口座の大半を失います。BTCCは複数のポジションがある場合、損失の大きいものから順に強制決済します。

先物の注文手順や分離・クロスの切り替えはビットコイン先物のやり方、BTCCという業者の評価はBTCCの評判を参照してください。

追証とゼロカットの違い

国内と海外では、ロスカットが間に合わなかったときの扱いが逆です。国内は不足分を利用者が払い、BTCCは取引所が負担すると定めています。

項目 国内の登録業者 BTCC
追証 あり(判定時刻に100%未満で発生) なし
ロスカット後に残高がマイナスになったとき 不足金を利用者が入金する リスク準備金で負担し、利用者に請求しない
不足金の期限の例 SBI VCトレード:翌日から2銀行営業日目の15時まで —

bitFlyerも、ロスカット後に不足金が出た場合は速やかに入金するよう求めており、解消するまで送付や出金を止めると定めています。

BTCCのゼロカット相当の扱いは利用者に有利に見えますが、BTCCは金融庁に登録していない海外の業者です。日本居住者への勧誘には制約があり、トラブルの際に国内の制度で守られる保証はありません。

金融庁は無登録の海外業者について無登録業者への注意喚起を出しています。BybitとBitgetが日本向けのサービスを終えた経緯はBybit・Bitgetの代わりの取引所にまとめました。

ロスカットされないための5つの対策

ロスカットを避ける方法は、純資産を増やすか、必要証拠金を減らすかのどちらかです。実際に使える手段を効く順に並べます。

  1. 上限の2倍で建てない:証拠金を多めに入れ、維持率150〜200%から始める。追証の判定時刻に慌てずに済む
  2. 逆指値(損切り)を先に置く:ロスカット価格より手前に自分で決済する価格を置く。BTCCでは強制決済に手数料がかかるため、手前で切ったほうが残る金額が多い
  3. 一部を決済する:建玉が減ると必要証拠金も減り、維持率が上がる。損失は確定するが、残りのポジションを守れる
  4. 証拠金を追加する:維持率は回復するが、相場が戻らなければ損失が増えるだけになる。足すのは理由があるときに限る
  5. 判定時刻と通知を把握する:bitFlyerは18時、SBI VCトレードは7時、bitbankは15時に追証を判定する。アプリの通知を有効にしておく

維持率の目安は、取引所のロスカット水準の2倍以上を保つことです。bitFlyerやbitbankなら100%以上、SBI VCトレードなら160%以上が一つの線になります。

ロスカットが計算どおりに動かないとき

ロスカットは損失を一定の範囲に抑える仕組みですが、決めた価格で約定する保証はありません。各社の説明書も、急変時には証拠金を上回る損失が出ることがあると明記しています。

計算どおりにならない典型は次の3つです。

  • 価格の急変:成行で決済するため、ロスカット価格から離れた価格で約定することがある
  • メンテナンス明け:SBI VCトレードは毎週水曜12時〜13時の週次メンテナンス中に値洗いをせず、再開時の価格差で一気に損益が動く
  • スプレッドの拡大:SBI VCトレードはロングを買値でなく売値(Bid)で評価する。証拠金のほとんどを必要証拠金に使う取引では、建てた直後にロスカットされることもあると説明している

国内のレバレッジ取引は2020年5月から金融商品取引法の対象で、ロスカットのルールや不足金の扱いは契約締結前交付書面に書かれています。口座を開く前に、維持率の基準と判定時刻だけは自分の目で確かめてください。

まとめ:証拠金維持率は「判定時刻」と「分母」まで見る

証拠金維持率は純資産÷必要証拠金×100で、国内は100%未満で追証、50〜80%でロスカットです。上限の2倍で建てると、少しの含み損で追証の対象になります。

同じ2倍・10万円でも、ロスカットまでの下落はSBI VCトレード約16.7%、bitbank 25.0%、bitFlyer約33.3%と違います。現在値基準の取引所では、ショートの余裕がロングより小さくなります。

海外のBTCCは残高が使用証拠金の40%を割ると強制決済で、10倍なら約6%、100倍なら約0.6%の逆行です。追証はありませんが金融庁未登録の業者で、手数料と資金調達料が強制決済価格を近づけます。

国内の取引所ごとの手数料や口座開設の流れは、bitFlyerの評判やSBI VCトレードの評判でも確認できます。

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