結論:海外取引所のおすすめは「撤退しにくさ」で選び、手数料はその次に比べる

海外取引所とは、日本の金融庁に登録していない、国外の会社が運営する暗号資産の取引所です。2026年10月8日時点で日本居住者が新規に口座を作れて、金融庁の警告もまだ受けていない候補は、BTCC・BingXと、取引所に資産を預けないHyperliquidに絞られます。

2025〜2026年にかけて、Bybitは撤退を終え、Bitgetは撤退手続きの最中で、Zoomexは2026年9月25日に金融庁から警告を受けました。比較記事の上位には、今も撤退済みや警告済みの取引所を1位に置いたものが残っています。

選び方の順番は、①日本居住者の新規登録が止まっていないか、②金融庁の警告を受けていないか、③先物の手数料はいくらか、の3つです。板の厚さは、主要な取引所ならBTCで差がほとんど出ないことを、下の実測で確かめました。

順位 取引所 向いている人 先物の手数料(テイカー/メイカー) 金融庁の警告 新規登録(日本居住者)
1 BTCC 撤退リスクを最優先し、日本語で先物を使いたい人 0.055%/0.03% なし 可能
2 BingX コピートレードや銘柄数も重視する人 0.05%/0.02% なし 停止の告知なし
3 Hyperliquid(DEX) 取引所に資産を預けたくない人 0.045%/0.015% なし 登録不要(ウォレット接続)
4 MEXC 新しい銘柄を最優先する人(撤退リスクは高め) 0.02%/0%(BTC) 3回 停止の告知なし
5 KuCoin 銘柄数を重視し、警告歴を理解したうえで使う人 0.06%/0.02% 2回 規約の制限地域に日本の記載なし

手数料はBTCCがBTCC公式の手数料ページ(2026年10月4日確認)、HyperliquidがHyperliquid公式ドキュメントの手数料表、BingX・MEXC・KuCoinは各社の公開APIの契約情報(BTC/USDT無期限先物)に載る標準の料率です。いずれも2026年10月8日に確認しました。

BTCCは新規ユーザー向けに、ミッション達成型の報酬(最大30,000 USDT)を公式ページで案内しています。条件は公式で確認してください(2026年10月7日確認)。

海外取引所5社の比較表(2026年10月8日確認)

海外取引所5社の比較とは、日本居住者が今使えるかを先に確かめ、そのうえで手数料・倍率・銘柄数・金融庁の警告歴を同じ表に並べることです。数字は公開APIか公式ページで、同じ日に確認しました。

取引所 種類 先物の手数料(テイカー/メイカー) BTCの最大倍率 USDT建て無期限先物の数 金融庁の警告(2つのリストの合計) 日本語
BTCC 中央集権型(CEX) 0.055%/0.03% 発注画面の表示が正(公式内で250〜500倍と表記が割れる) 公式表記「300以上」 0回 対応
BingX CEX 0.05%/0.02% 公式で要確認 959 0回 対応
Hyperliquid 分散型(DEX) 0.045%/0.015% 40倍 178 0回 非対応(英語)
MEXC CEX 0.02%/0%(BTC) 500倍 1,074 3回 対応
KuCoin CEX 0.06%/0.02% 125倍 682 2回 対応

先物の数は、各社の公開APIの銘柄一覧で取引中のUSDT建てを数えた値です(2026年10月8日)。MEXC・KuCoin・Hyperliquidの最大倍率も同じ公開APIの値で、建玉が大きくなると上限は下がります。

警告の回数は、金融庁の無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等と無登録で金融商品取引業を行う者の名称等を、2026年10月8日に数えました。MEXCは暗号資産の側で2回(2023年3月・2024年11月)と金商法の側で1回(2025年6月)、KuCoinは2024年11月と2026年3月です。

同じ注文の総コストを実測:1万ドル分の先物を成行で買うと

1万ドル分の無期限先物を成行で買ったときの総コストは、BTCではどの取引所も滑りが0.010%未満で、差はほぼ手数料だけでした。XRP・SOLでも1万ドルなら滑りは小さく、10万ドルになると取引所ごとの板の差が出ます。

2026年10月8日(木)06:10〜06:51(日本時間)に、各社の公開APIで無期限先物の板を5分おきに9回取得しました。売り板を上から食べたときの平均約定価格を仲値と比べた「滑り」に、テイカー手数料を足して総コストにしています。

取引所 BTC 1万ドルの滑り XRP 1万ドルの滑り SOL 1万ドルの滑り XRP 10万ドルの滑り 1万ドルの総コスト(BTC・滑り+テイカー)
BingX 0.000% 0.007% 0.008% 0.010% 約5.03ドル(約796円)
MEXC 0.000% 0.004% 0.005% 0.004% 約2.02ドル(約320円)
KuCoin 0.000% 0.019% 0.017% 0.056% 約6.01ドル(約950円)
Hyperliquid 0.001% 0.004% 0.004% 0.008% 約4.56ドル(約721円)
Binance(参考) 0.000% 0.004% 0.004% 0.010% —(比較用)
OKX(参考) 0.000% 0.004% 0.005% 0.012% —(比較用)
Bitget(参考) 0.000% 0.004% 0.006% 0.021% —(新規登録は停止)

表の「参考」は、日本居住者の新規登録を止めたBitgetや、比較のための大手です。

BTCCの先物の板は公開データで取得できなかったため、この表には入れていません。BTCCの総コストは、手数料0.055%だけで1万ドルあたり5.5ドル(約870円)になります。

円換算は1ドル=158.2円(同時刻のbitbankのBTC/JPYとBinanceのBTC/USDTの比)です。結果から言えるのは、BTCを1万ドル程度で取引するなら、板の厚さより手数料の差(5社で0.02〜0.06%)のほうが効くということです。

アルトコインで10万ドル単位の注文を入れる人は、事前に板を見て、成行ではなく指値で分けて入れるのが基本です。資金調達率まで含めた保有コストは資金調達率(ファンディングレート)の解説で比べています。

日本居住者が使えなくなった・使わない方がよい海外取引所

日本居住者が使えなくなった海外取引所とは、新規登録の停止や強制決済まで進んだ取引所のことです。上位の比較記事に今も載っている名前も多いので、まず候補から外します。

取引所 2026年10月8日時点の状況 出典
Bybit 2025年10月31日に新規登録停止、2026年7月22日に強制決済。出金と一部の両替のみ Bybit公式の是正完了のお知らせ
Bitget 2026年8月3日に新規登録停止。11月1日から決済のみ、12月31日に強制決済の予定。9月24日に約3.9億ドルの流出 Bitget公式の日本居住者向けのお知らせ
Zoomex 2026年9月25日に金融庁が金商法の無登録業者として掲載。サービス終了の公式告知は確認できず 金融庁の無登録業者リスト(金商法)
BitMart 2026年8月26日に全取引を停止。2027年1月31日に運営終了の予定 公式の告知(報道で照合)
CoinEx 2026年9月15日に事業終了を発表。出金は12月22日までと案内 創業者の発表(報道で照合)

Bybit・Bitgetから資産を移す具体的な手順と期限は、Bybit・Bitgetの代わりになる取引所でまとめています。

Zoomexは、Bybit・Bitgetと同じく「警告の後に撤退へ進む」流れの入口に立った段階です。比較記事で上位に推されていても、警告を受けた直後の取引所に新しく資金を入れる理由はありません。

撤退は5段階で進む:警告リストの見方

海外取引所の撤退は、①金融庁の警告、②日本のアプリストアからの削除、③新規登録の停止、④決済のみのモード、⑤強制決済、の順で進んできました。Bybitは③から⑤まで約9か月、Bitgetは約5か月でした。

段階 起きること 該当する取引所(2026年10月8日)
0 警告前 通常どおり使える BTCC・BingX
1 警告 金融庁のリストに掲載される Zoomex
2 アプリ削除 日本のApp Store・Google Playから消える MEXC・KuCoin
3 新規停止 新しい口座が作れない —
4 決済のみ 新しいポジションが建てられない Bitget(11月1日から)
5 強制決済 残ったポジションが閉じられる Bybit(完了)

リストに名前がないことは、安全を意味しません。金融庁のリストには「掲載されていない者であっても、無登録で業を行っていることがあり得る」と明記されています。

2026年7月15日に成立した改正金融商品取引法では、無登録業の罰則が引き上げられます。施行の時期と海外取引所の利用者への影響は、暗号資産の金商法改正と海外取引所で整理しています。

海外取引所おすすめ5社の特徴

5社の特徴を、どんな人に向くか・注意する点で分けて見ていきます。どれも日本の金融庁には登録されていない点は共通です。

BTCC:警告歴がなく、先物に絞って使う

BTCCは2011年創業の先物中心の取引所で、金融庁の2つのリストのどちらにも名前がありません。日本語のサイトとアプリがあり、デモ取引で注文の練習ができます。

先物の手数料はVIP0でテイカー0.055%・メイカー0.03%です。現物はテイカー0.3%と高いため、現物は国内、先物はBTCCという使い分けが合います。評判と出金の注意点はBTCCの評判で検証しています。

BingX:コピートレードと銘柄数

BingXは、他のトレーダーの売買を自動で写すコピートレードと、959本のUSDT建て無期限先物が特徴です。金融庁のリストには載っておらず、日本のApp Storeにも取引アプリがあります(2026年10月8日にApp Storeの検索で確認)。

先物の手数料はテイカー0.05%・メイカー0.02%で、BTCCより少し安くなります。日本円は直接入れられないので、国内取引所から暗号資産を送るのが基本です。

Hyperliquid:資産を預けないパーペチュアルDEX

Hyperliquidは、自分のウォレットをつないで使う分散型の先物取引所(パーペチュアルDEX)です。運営者が日本居住者の口座を閉じるという形の撤退がなく、手数料もテイカー0.045%・メイカー0.015%と低めです。

その代わり、秘密鍵の管理、USDCの用意とブリッジ、英語の画面は自分で負います。BTCの最大倍率は40倍で、CEXより低めです。CEXの先物との違いはPerp DEXとは?主要6つの比較で比べています。

MEXC:銘柄は最多だが、撤退の段階が進んでいる

MEXCは1,074本の無期限先物を扱い、新しい銘柄の上場が早い取引所です。BTCの先物はメイカー0%・テイカー0.02%と、今回の5社で最も安い水準です。

一方で、金融庁の警告は2つのリストで合計3回です。2025年2月に日本のアプリストアから削除され、2026年10月8日のApp Storeの検索でも取引アプリは見つかりませんでした。撤退前のBybit・Bitgetと同じ段階にいるため、資金を長く置く取引所には向きません。

KuCoin:銘柄数は多いが、警告が重なっている

KuCoinは682本の無期限先物を扱い、2026年10月8日に確認したKuCoinの利用規約の制限地域に日本は入っていません。

ただし2024年11月の暗号資産交換業に続き、2026年3月に金商法の無登録業者としても掲載されました。手数料もテイカー0.06%と5社で最も高く、積極的に選ぶ理由は銘柄数に限られます。

目的別のおすすめ:先物・銘柄数・資産の置き場所

目的別に選ぶと、先物を低コストで続けたい人はBTCCかBingX、新しい銘柄を触りたい人はMEXC、資産を取引所に預けたくない人はHyperliquidです。どの場合も、資金は1か所に集めすぎないことが前提です。

先物を続けたい人:BTCCかBingX

先物を数か月単位で続けるなら、警告歴がなく、日本語で使える取引所が安心です。BTCCとBingXの手数料の差はBTC 1万ドルあたり0.5ドルなので、撤退リスクの低さを優先して選んで構いません。

新しい銘柄を触りたい人:MEXC(少額で)

国内で買えない新しい銘柄を最初に扱うのはMEXCであることが多い一方、撤退の段階は進んでいます。使うなら少額にとどめ、利益が出たらこまめに国内へ戻します。

資産を預けたくない人:Hyperliquid

取引所の撤退や出金停止を避けたい人には、資産を自分のウォレットに置いたまま取引できるHyperliquidが合います。運営者CryptoAIも、HyperliquidでLLMとルールを組み合わせた自動売買botを実運用しています。

初めて先物を使う人:まずデモ取引

初めてなら、BTCCのデモ取引で注文・倍率・損切りの操作を確かめてから、少額で始めます。先物の仕組みと清算価格の計算はビットコイン先物のやり方で解説しています。

海外取引所の始め方:5つのステップ

海外取引所の始め方とは、国内取引所で暗号資産を買い、海外取引所へ送って取引する一連の作業です。日本円を海外取引所へ直接入れられる取引所は限られるため、この流れが基本になります。

  1. 国内取引所で口座を作る:金融庁に登録された国内取引所で口座を開き、日本円を入金します。候補は国内取引所の比較で整理しています。
  2. 送る暗号資産を買う:送金手数料が安く、送金先も対応している通貨(XRPやUSDTに替えやすいBTCなど)を選んで買います。
  3. 海外取引所で口座を作り、本人確認を済ませる:メールアドレスで登録し、本人確認書類と顔認証まで終えます。BTCCの画面の流れはBTCCの口座開設で解説しています。
  4. 入金アドレスをコピーして送る:海外取引所の「入金」画面で通貨とネットワークを選び、表示されたアドレスを国内取引所の「送付」画面に貼ります。最初は少額で試し、着金を確かめてから残りを送ります。
  5. 先物口座に振り替えて取引する:着金したら資産を先物口座に移し、倍率と損切りの位置を決めてから注文します。

国内取引所の中には、トラベルルールの関係で送れない海外取引所があります。送る前に、国内側の送付先一覧に相手の取引所があるかを確認してください。手数料と注意点は暗号資産の出金方法で詳しく見ています。

国内取引所と海外取引所の違い

国内取引所と海外取引所の違いは、日本の法律で守られるかどうかと、使える倍率・銘柄数の差です。海外を使う場合でも、日本円の出入口は国内の登録業者になります。

項目 国内取引所 海外取引所
金融庁の登録 あり(暗号資産交換業者) なし
レバレッジの上限 2倍 数十〜数百倍(銘柄・建玉で変わる)
持ち越しの費用 建玉管理料(1日0.04%前後の例が多い) 資金調達率(相場で変わり、受け取ることもある)
日本円の入出金 銀行振込で可能 原則できない(暗号資産で送る)
資産の管理 分別管理が法律で義務 各社の方針次第
トラブルの相談先 国内の窓口・金融ADR 海外のサポート(日本の制度は使えない)

倍率が高いことは、損失が速く大きくなることでもあります。国内の取引所の登録状況は金融庁に登録された国内取引所の一覧で確認できます。

海外取引所の税金:国内と同じく雑所得

海外取引所での利益も、国内と同じく原則として雑所得で、ほかの所得と合算する総合課税です。国税庁のタックスアンサー(暗号資産の課税関係)のとおり、売却だけでなく暗号資産どうしの交換も利益の計算が要ります。

先物で確定した損益、資金調達率の受け取りと支払いも計算に含めます。海外取引所は撤退すると履歴を出せなくなることがあるため、取引履歴と入出金履歴のCSVを毎月保存しておきます。

改正金商法の施行後に予定される20%の申告分離課税について、無登録の海外取引所での取引が対象になるかは決まっていません。2026年分は総合課税として準備しておくのが安全です。

海外取引所を使うときのリスクと注意点

海外取引所のリスクは、取引所そのものの撤退・事故と、高い倍率による損失、日本の保護が無いことの3つに分けられます。主なものを7つ並べます。

  1. 撤退・サービス停止:今は使える取引所も、警告→アプリ削除→新規停止と進む可能性があります。資金は1か所に集めすぎないことが前提です。
  2. 日本の投資者保護の外にある:トラブルが起きても、日本の金融ADRや登録業者の監督は使えません。
  3. ハッキング・出金停止:2026年9月のBitgetのように、大手でも流出と出金停止は起きます。長く使わない資産は取引所に置きっぱなしにしません。
  4. 高倍率による急な損失:倍率は上限ではなく、損切りの幅から逆算して決めます。
  5. 送金ミス:送金元と送金先でネットワークが違うと、資産が届かないことがあります。タグ(メモ)の入れ忘れも同じです。
  6. 出金の条件:BTCCの追加の出金手数料のように、取引所ごとに出金の条件があります。入金前に規約を読みます。
  7. 偽サイト・偽サポート:撤退やハッキングの直後は、補償や移行支援をうたう詐欺が増えます。ブックマークした公式サイトだけを使います。

まとめ:海外取引所は「残るかどうか」で選ぶ

2026年10月8日時点で、日本居住者が新規登録でき、金融庁の警告を受けていない海外取引所はBTCCとBingX、資産を預けない選択肢としてHyperliquidがあります。MEXC・KuCoinは使えても警告が重なり、Bybit・Bitget・Zoomexは候補から外れます。

1万ドル程度のBTCの先物なら、板の厚さによる差はほとんど無く、比べるべきは手数料と撤退リスクです。どの取引所を選ぶ場合も、金融庁に登録されていないことを前提に、余剰資金で少額から始めてください。

海外取引所の全体の選び方は海外取引所の選び方と比較でも整理しています。

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