チリーズの今後は「材料はあるが、供給増と国内の取扱縮小が重い」

チリーズ(CHZ)の今後を決めるのは、ファントークンの売上が伸びるかどうかです。2026年10月11日時点の価格は約0.0153ドル(約2.4円)で、2021年3月の最高値 約0.88ドルから約98%安い水準にあります(CoinGecko)。

強気と弱気の材料を並べると、次のようになります。数値の到達価格は予想せず、材料だけを整理します。

区分 材料 時期 確度
強気 米SEC・CFTCの共同ガイダンスでファントークンが「デジタル・コレクティブル/デジタル・ツール」に分類 2026年3月17日 発表済み
強気 Securitize と Socios.com がスポーツチームの持分をトークン化する提携を発表 2026年9月2日 計画段階(当局の承認が条件)
強気 ファントークン売上の10%で CHZ を買い戻して焼却(累計 約6,252万枚) 毎月 継続中
強気 SBI Chiliz と東京ヴェルディが覚書を締結(Jリーグで初) 2026年4月15日 検討段階
弱気 発行上限が撤廃され、年率でインフレする設計に変わった(流通量 約105.5億枚) 2024年〜 構造的
弱気 GMOコインが CHZ の取扱を廃止(販売所は10月24日に終了) 2026年9月9日発表 確定
弱気 W杯の開幕後に約4割下落し、戻りが鈍い 2026年6〜8月 実績

国内で CHZ を日本円の板で買えるのは bitbank と Coincheck で、当サイトが2026年10月11日に測った10万円分の購入コストは bitbank のほうが小さい結果でした(後述)。

bitbankの公式サイトで手数料・取扱銘柄を確認する

チリーズ(CHZ)とは:ファントークンの基軸になる暗号資産

チリーズ(CHZ)とは、スポーツクラブの「ファントークン」を買うときの基軸になる暗号資産です。ファンはアプリの Socios.com で CHZ を使ってクラブのトークンを買い、クラブの投票や特典に参加します。

CHZ は2018年10月に発行が始まり、いまは独自のブロックチェーン Chiliz Chain(EVM互換)のガス代やステーキングにも使われます。FCバルセロナ、パリ・サンジェルマン、ユヴェントスなど欧州の大きなクラブが提携先です。

項目 内容(2026年10月11日時点)
名称・ティッカー チリーズ(Chiliz)・CHZ
価格 約0.0153ドル(約2.42円)
時価総額 約1.6億ドル(約255億円)・順位 216位
流通量 約105.5億枚(発行上限なし)
最高値 約0.879ドル(2021年3月13日)
国内で日本円の板がある取引所 bitbank・Coincheck

価格・時価総額・流通量は CoinGecko の値です。上位の解説記事の多くは「発行上限 約88.9億枚」のままですが、後で説明するとおり、この上限はすでにありません。

ファントークンと CHZ の関係

ファントークンはクラブごとに発行されるトークンで、CHZ とは別物です。Socios.com でファントークンを買うには CHZ が必要なので、ファントークンが売れるほど CHZ の需要が増える関係にあります。

2026年9月には Olympique de Marseille が公式ファントークン(OM)を出すと発表し、Chiliz は提携先を「80以上」としています(Chiliz の9月の焼却レポート)。

2026年の価格の推移:W杯のあとに大きく崩れた

CHZ の2026年は、1月の高値から W杯をはさんで7月末に安値をつけ、9月から少し戻している流れです。月ごとの値動きは次の表のとおりです(CoinGecko の日次終値から当サイトが集計)。

月 月初 月末 月中の安値 月中の高値
2026年1月 0.0427ドル 0.0491ドル 0.0412ドル 0.0621ドル(1/18)
2月 0.0444ドル 0.0339ドル 0.0322ドル 0.0461ドル
3月 0.0348ドル 0.0425ドル 0.0334ドル 0.0425ドル
4月 0.0422ドル 0.0424ドル 0.0357ドル 0.0503ドル
5月 0.0413ドル 0.0329ドル 0.0329ドル 0.0485ドル
6月 0.0339ドル 0.0191ドル 0.0174ドル(6/29) 0.0364ドル
7月 0.0178ドル 0.0128ドル 0.0128ドル(7/31) 0.0186ドル
8月 0.0129ドル 0.0132ドル 0.0119ドル(8/19) 0.0148ドル
9月 0.0132ドル 0.0162ドル 0.0132ドル 0.0171ドル
10月(11日まで) 0.0163ドル 0.0153ドル 0.0149ドル 0.0170ドル

6月の1か月で約44%、6月初めから8月19日の安値までで約65%下げました。W杯(6月11日開幕)の前に買われ、開幕後に売られる値動きです。

9月は約23%戻しましたが、1月の高値(0.0621ドル)の4分の1ほどにとどまります。過去1年では約53%安です。

強気の材料:規制の整理とスポーツ持分のトークン化

米国でファントークンの位置づけが整理された

2026年3月17日、米SEC と CFTC が暗号資産の分類についての共同ガイダンスを出し、ファントークンを「デジタル・コレクティブル」と「デジタル・ツール」の性格を持つ資産と位置づけました(Chiliz の発表)。

Chiliz の CEO はこれを「米国のチームがファントークンを始めるのに待っていた瞬間」と評価しています。米国の大きなリーグのチームがファントークンを出せば、CHZ の需要が増える筋道になります。

ただし、10月時点で米国の大きなリーグのチームがファントークンを出したという発表は確認できていません。規制が整っても、実際の発行が続くかは別の話です。

スポーツチームの持分をトークンにする提携

2026年9月2日、トークン化の大手 Securitize と Socios.com が、プロスポーツチームの少数持分をトークンとして売る提携を発表しました(Chiliz の発表)。ブランドは「Socios Equity Token」です。

これは「特典のトークン」から「法律上の有価証券」に広げる動きで、EU の DLT パイロット制度の下で進めるとしています。どのチームの持分が、いつ売り出されるかは決まっておらず、当局の承認が条件です。

毎月の買い戻しと焼却

Chiliz はファントークンの売上の10%で CHZ を市場から買い戻し、焼却しています。2026年9月の焼却は約1,346万枚(約18.3万ドル)、累計は約6,252万枚です(9月の焼却レポート)。

7月の焼却は約2,429万枚(約32.7万ドル)で、累計は約4,906万枚でした(7月の焼却レポート)。W杯の時期を含む7月分より9月分のほうが少なく、売上の勢いが落ちていることも読み取れます。

日本での展開(SBI Chiliz)

SBI デジタルアセットホールディングスと Chiliz の合弁 SBI Chiliz は、2026年4月15日に東京ヴェルディとファントークンの検討で覚書を結びました(Chiliz の発表)。Jリーグのクラブでは初めてです。

内容は教育コンテンツやイベントを通じた検討と、日本の規制に合うしくみの準備です。トークンの発行日は決まっていません。

弱気の材料(上がらない理由):供給が増え続けている

発行上限がなくなり、毎年増える設計になった

CHZ は当初 約88.9億枚の固定供給でしたが、2024年の Dragon8 アップグレードで発行上限のないインフレ型に変わりました(Chiliz Chain のトークノミクス)。新規発行は1年目が年8.80%で、毎年下がり、14年目以降は年1.88%で続きます。

新しく発行される分の65%はバリデーターとステーキングの参加者に配られます。ステーキングしない保有者から見ると、持ち分が少しずつ薄まる設計です。

当サイトの試算では、流通量は当初の約88.9億枚から2026年10月の約105.5億枚まで約16.6億枚増えました。2024年5月からの約2.4年で割ると、1か月あたり約5,800万枚のペースです。

一方、買い戻しによる焼却は9月が約1,346万枚、累計でも約6,252万枚です。9月の焼却量はこのペースの4分の1にも届かず、いまは焼却よりも発行のほうがずっと多い状態です。

「W杯で上がる」が裏目に出た

W杯のような大きな大会の前には期待で買われやすく、開幕後に売られる流れが2026年も起きました。6月に約44%下げたあと、7〜8月も戻りませんでした。

次の大きな材料は、米国チームの参入やスポーツ持分のトークン化のような「実際の売上」につながる発表です。大会の日程だけを理由に買うのは、高値で買う形になりやすいといえます。

国内の取扱が減っている

GMOコインは2026年9月9日に CHZ の取扱廃止を発表しました(GMOコインのお知らせ)。理由は「プロジェクト継続性や流動性の変化、カバー取引先の確保が困難となる可能性」です。

BitTrade の公開APIの通貨ペア一覧(2026年10月11日取得)にも CHZ はありません。国内で買える場所が減ると、日本からの買いが入りにくくなります。

アルトコイン全体の地合い

CHZ は時価総額で200位台の銘柄で、ビットコインが下がる局面ではより大きく下げやすい傾向があります。ファントークンの材料が出ても、相場全体が弱ければ上値は重くなりがちです。

GMOコインで CHZ を持っている人がやること

GMOコインで CHZ を持っている場合は、期限までに売るか、他社へ送る必要があります。日程は次のとおりです(GMOコインのお知らせ)。

日付 終わるもの
2026年9月15日 貸暗号資産
10月7日 つみたて(毎週プランの最終積立日)
10月24日(定期メンテナンス後) 販売所での売買・預入
11月7日(定期メンテナンス後) 送付の受付
11月中旬(予定) 残った CHZ を GMOコインが売却して日本円に

最後の強制売却は、市場の流動性が低いと想定より安い価格になる可能性があるとされています。送るなら、受け取り側で CHZ を扱う bitbank や Coincheck などの口座を先に用意しておくと安心です。

他のスポーツ系トークンとの比べ方

CHZ を見るときは、個別クラブのファントークンや国内のクラブトークンとの違いを押さえておくと判断しやすくなります。

比べる相手 中身 CHZ との違い
個別のファントークン(例:BAR・PSG) 1クラブの投票・特典の権利 CHZ は全クラブ共通の決済通貨。1クラブの成績に左右されにくい
Socios Equity Token(計画中) チームの持分(有価証券) 配当や持分の権利が付く予定で、CHZ とは法律上の扱いが違う
国内のクラブトークン(例:FC琉球コイン) 国内クラブ単位のトークン 国内の取引所で円建て。CHZ は世界のクラブが対象

FC琉球コイン(FCR)は GMOコインの公開API に銘柄があり、国内のクラブトークンとして CHZ とは別の選択肢になっています。

対 個別ファントークン

個別のファントークンは、そのクラブの勝敗や移籍のニュースで大きく動きます。CHZ はその土台なので、特定のクラブより「ファントークン全体の売上」に連動しやすいのが違いです。

対 Socios Equity Token

持分トークンは配当や持分の権利がある一方、投資家の要件や地域の制限がかかります。CHZ の需要につながるかは、購入に CHZ が使われるかどうかで決まり、10月時点ではその点は公表されていません。

対 国内のクラブトークン

国内のクラブトークンは日本円で買えますが、流動性は小さい傾向があります。CHZ は海外での出来高が大きく、国内で買う場合も板の厚さに差が出ます(次の節)。

国内で10万円分の CHZ を買う総コスト(当サイトの実測)

国内で CHZ を日本円の板で買えるのは bitbank と Coincheck です。2026年10月11日(日)12:25〜13:05に、両社の公開APIの板を5分おきに9回取得し、10万円分を成行で買ったときの総コスト(板の仲値からの滑り+取引手数料)を計算しました。

取引所 気配の差(平均) 滑り(平均) 取引手数料 10万円分の総コスト
bitbank 0.30% 約188円 テイカー 0.12%(120円) 約308円
Coincheck 7.9% 約4,288円 0%(改定後は一般 0.12%) 約4,288円(改定後 約4,408円)

bitbank の手数料はメイカー -0.02%・テイカー 0.12% で、bitbank の公開APIで確認しました。Coincheck は BTC 以外の板に段階制の手数料を入れる予定で、導入されると一般のテイカーは 0.12% になります(10月19日の予定から延期・日時未定、Coincheck のお知らせ)。

Coincheck の CHZ 板は気配の差が平均7.9%と広く、10万円分を成行で買うと仲値より約4.3%高く買う計算になりました。

bitbank は気配の差が平均0.30%で、手数料を含めても Coincheck の約14分の1のコストです。

Coincheck の板は9回とも中身が同じで、ティッカーの24時間の出来高は374 CHZ(約900円、12時27分時点)でした。

GMOコインの公開API には CHZ の板が無く、bitFlyer は販売所のみ(bitFlyer のチリーズ販売所)、SBI VCトレードは公式の銘柄ページで販売所・レバレッジ・積立・貸コイン・ステーキングの対象としています。

販売所は買値と売値の差が手数料の代わりになるので、まとまった額は板のある取引所のほうが割安になりやすいです。

ほかの銘柄の板の実測は国内取引所の比較と仮想通貨の手数料比較にまとめています。

bitbankの公式サイトで手数料・取扱銘柄を確認する

チリーズの買い方(4ステップ)

国内で CHZ を買う手順は次のとおりです。取引所全体の流れは仮想通貨の買い方でも説明しています。

  1. 口座を開く:bitbank か Coincheck のアプリで「口座開設」を選び、メールアドレスを登録して、スマホで本人確認書類と顔を撮影します。
  2. 日本円を入れる:アプリの「入金」から銀行振込などで日本円を入れます。方法ごとの手数料は仮想通貨の入金方法で比べています。
  3. 板で CHZ を買う:bitbank なら「取引」画面で CHZ/JPY を選び、「指値」か「成行」で数量を入れて「買い」を押します。少額でも滑りを抑えたいなら指値が向きます。
  4. 保管を決める:ファントークンを使うなら Socios.com のウォレットへ送ります。取引所で持ち続けるなら、二段階認証を必ず設定します。

販売所で買う場合(bitFlyer・SBI VCトレードなど)は、画面で金額を入れるだけで買えますが、表示される買値と売値の差が実質のコストになります。

チリーズを買う前の注意点

  1. 供給は毎年増える:発行上限がないため、焼却より発行が多い間は保有枚数あたりの価値が薄まります。ステーキングの報酬は Chiliz Chain 側で受け取る設計です。
  2. 国内の取扱が減る可能性:GMOコインの廃止のように、流動性が下がると取扱をやめる取引所が出ます。1社だけに頼らないようにします。
  3. 板が薄い:Coincheck の CHZ 板は気配の差が大きく、成行だと思った以上に高く買うことがあります。
  4. 大会の前後で大きく動く:W杯の前後のように、イベントで期待が先に織り込まれ、開幕後に下がる動きがありました。
  5. 海外取引所は使わない:Bybit は日本居住者向けの取引を終え、Bitget は日本向けのサービスを終了しました(Bitget のお知らせ)。金融庁に登録のない業者は、日本の利用者保護の対象外です。
  6. 税金:売って利益が出たら雑所得として申告が必要になる場合があります(国税庁の暗号資産の課税)。詳しくは税理士に相談してください。

まとめ:見るべきは「焼却量」と「米国・持分トークンの実行」

チリーズの今後は、ファントークンの売上が増えて焼却量が新規発行に追いつくかにかかっています。いまは月の焼却が約1,346万枚、新規発行は当サイトの試算で約5,800万枚ペースで、差はまだ大きいままです。

判断の材料になるのは、毎月の焼却レポートの枚数、米国のチームのファントークン発行、Socios Equity Token の最初の売り出しです。どれも発表段階なので、実行されたかを確認してから判断するのが無難です。

同じ KW マップで扱っている国内銘柄のFNCTの将来性やパレットトークンの今後もあわせてどうぞ。国内で CHZ を買うなら、板の厚い bitbank から比べると手間が少なくなります。

bitbankの公式サイトで手数料・取扱銘柄を確認する